『VALORANT』における全ての競技プレイヤーが渇望する舞台。それが「Champions」です。シーズンを通して行われる「VALORANT Champions Tour(VCT)」という文字が示す通り、全てのトーナメントはChampionsが終着点であり、この大会が一年間の集大成を示します。
8月6日~26日に行われた「VALORANT Champions 2023」は、開発を手掛けるライアットゲームズのお膝元であるアメリカ・ロサンゼルスにて開催。今年から設立されたインターナショナルリーグと、来年からリーグ化される中国予選大会から合計16チームが参戦し、世界一の称号を賭けた戦いの末、アメリカのEvil Geniusesが優勝を収めました。
本稿では、そんな特別な大会のFinalsと、併催されたTake Over(ポップアップ)イベントやファンフェスタを現地からレポート。気感をお届けします。
今大会の最後の3日間が行われたのは、ロサンゼルスの「Kia Forum(キア フォーラム)」です。1967年に「The Forum」として開業したこのホールは、昨年より韓国の自動車メーカー「起亜自動車」がネーミングライツを取得しました。eスポーツチーム「Dplus KIA」でその名前を聞いたことがある方も多いでしょう。
なお、グラープステージとブラケットステージ(プレイオフ)が行われたShrine Expo Hall(シュライン・エキスポホール)については以下の記事で別途レポートしているので、あわせてご覧ください。
◆ファンフェスタはまさにファンのためのお祭り
会場となったKia Forumの屋外特別エリアでは、試合が始まる前にファンフェスタが実施され、特別な催しが行われました。
会場では来場者が直接楽しめるアミューズメントも用意されていました。例えば以下は、ヨルやレイズといった作品に登場するエージェントをモチーフとしたネイルシールで自身の爪を『VALORANT』で彩ることができるというもの。なんと無料。
また、こちらは髪を染めることでゲッコーっぽくなれるというもの。なんと無料。
VCTやChampionsのパートナーである企業のブースもあります。ゲーマーに翼を授けてくれるRed Bullは、バスケットボールが楽しめるアトラクションを用意しています。
INZONEブースでは、その場で撮影した写真をプレイヤーカード風に加工してもらえます。画像データもメールで送ってくれる親切設計。
余談ですが、アンケートに回答すると抽選でFNATICのメンバーのサインが入ったINZONE H9(ゲーミングヘッドセット)が貰えるキャンペーンも実施。なんと筆者は引き当ててしまいました。当選したときに回りにいる一般のお客さんまで一緒になって盛り上がってくれたのがアメリカっぽかったです。
そのほかに、不定期で選手やストリーマー、開発者によるサイン会も実施していました。こちらは『VALORANT』のエージェントリードデザイナーJohn Goscicki氏とコンセプトアーティストKonstantin Maystrenko氏。
『VALORANT』ファンであればとても楽しい空間であり、これがチケットを持っている人であれば無料で楽しめる(食事や物販など有料コンテンツもあり)のは太っ腹。Championsが特別なものであることを改めて実感させられます。
◆野生のTenZも?ロサンゼルス各地ではポップアップイベントも
Champions期間中にはロサンゼルスの各地でイベントも行われました。取材班はそのなかのひとつ、ショッピングモール「ROW DTLA」で行われたものに参加することができました。なお、かつてこの場所は卸売市場であり、現在はレストランやファッション店舗が入居したショッピング施設になっています。
ここではソーヴァ、レイズ、ジェットといったエージェントの持つアビリティーをモチーフにしたチャレンジが用意され、条件をクリアするとTシャツやフーディ、トートバッグなどが貰えます。これも無料。かなり太っ腹です。
◆特大ディスプレイもりもりの会場が豪華すぎる
ここまでだけでもかなりお腹いっぱいな内容ですが、肝心なのはここからです。いよいよ会場の中に入っていきましょう。
会場に入ってまず思うのは「とてつもなくデカい」ということ。会場は一番上の客席まで登るだけで疲れるほど大きく、それら多くの客席にゲーム画面を届ける巨大な7枚のディスプレイは圧巻の一言です。
また、ステージはこれまでのVCTでお馴染みの円形となっています。そして注目すべきは、選手席の背面、観客側に向かって設けられた5つのモニター。ここは選手の表情を捉えるカメラや選手の持つ武器やKDAなどが表示されるほか、フラグトップの選手の画面には特別なオーラがみられます。
ステージの左右からそれぞれの選手が入場。選手席に通じる花道もディスプレイになっていて、スポンサーのロゴやラウンド勝利などの文字が表示され、とにかくリッチなデザインです。
また、観客にはリストバンド型のライトが配布されました。これは遠隔制御によってスパイク設置時にスパイクの音に呼応して光るほか、クラッチやACEなどのスーパープレイが出た時には特別な光り方で会場を彩ります。
◆オープニングセレモニーは過去最高の豪華さ
Champions恒例ともいえる、テーマソングのライブパフォーマンスも、2023年はひと味違います。セレモニーでは決勝に進出したEGとPRXのメンバーも登場する映像を交えつつ「greater than one」からスタート。
大量のディスプレイをフルに活用した演出も相まって会場のボルテージはMAX。するとGrabbitzが現れ、Champions 2021の楽曲である「Die For You」のワンフレーズを歌唱し、続けて今年のテーマソングである「Ticking Away」へシームレスに移行。間奏ではこれまでの大会でみられた選手たちの表情やスーパープレイが映し出されます。ZmjjKKのオペレーターパフォーマンスの映像では会場から多くの歓声があがっていました。
『VALORANT』の国際大会は、とりわけ後半になるに連れてレベルが高いものであることは明白です。地域を制し、強豪を倒し、世界のトップに上り詰める選手たちのプレイングは素晴らしいものであり、綺麗なショットや美しいアビリティーのセットなどは、見ていてこちらが気持ちよいほどです。しかし裏を返せば「Champions」という特別な場でも、「Masters」であってもその素晴らしさに変わりはないとも言えます。
そこで明白にこれまでの国際大会とは違う特別な場所であるということを強調したのが、今回のChampionsです。ファンを迎えるイベントや、豪華すぎて鳥肌が立ちっぱなしのオープニングセレモニー、巨大な会場も含めてさまざまな「演出」を用いてその大会を特別なものとして完成させました。
ライアットゲームズはこれまでも『リーグ・オブ・レジェンド』の国際大会にて豪華なセレモニーを行ってきましたが、『VALORANT』でもこの規模感で続けていくぞという気概を感じさせます。
来年は年間を通じてChallengersが開催されるほか、インターナショナルリーグに「中国」が追加され、Mastersはマドリードと上海を舞台に行われることが決定しています。ますます盛り上がりを見せる『VALORANT』競技シーンから目が離せません。
そして、日本からインターナショナルリーグに出場するZETA DIVISIONとDetonatioN FocusMeの活躍に期待しましょう!