PCでゲームを遊ぶことがすっかり当たり前になった昨今。ゲーミングPCの存在感は過去に類を見ないほど高まっています。新生活シーズンを迎え、新しいゲーミング環境の構築に一歩踏み出そうとしている方も多いのではないでしょうか?
とはいえ、その導入までのハードルは決して低くはありません。BTOや自作などゲーミングPC自体にたくさん選択肢があれば、デバイス周りもどのように選べばいいか分からない!……そんなお悩みの声も日々聞こえてきます。
そこで今回は、人気ストリーマーとして活動しているはつめさんとyunocyさんに「ゲーミングPC」に関わることを教えてもらいました。彼女たちがどのようにPCと出会い、現在はどのようなPCを使っているのかだけでなく、最近のゲーミングデバイスのベストバイまで根掘り葉掘り。ゲーマーという目線から飛び出したお話を是非参考にしてみましょう。
◆ふたりがPCに触れたきっかけ
――早速ですが、初めて“パソコン”に触れたきっかけはいつでしたか?
はつめ:お父さんがネットゲーマーで、気づいたときにはゲームができるスペックのPCが家にありました。普通と違ってPCがあってゲーム機がない家庭だったんです(笑)。幼稚園の頃からお父さんがゲームしているのを横で見ていて、お父さんがいないときに勝手にオンラインゲームを始めたのがきっかけでした。
――はつめさんは幼い頃からゲーミングPCがある環境で育ったんですね。
はつめ:めっちゃ身近にありました。常に2台以上はあって、お父さんが買い換える度に私がお下がりを貰っていました。ふたり並んで一緒にゲームしていましたね。
――まさに英才教育ですね(笑)。yunocyさんはいかがですか?
yunocy:私は小学校4年生くらいの頃、家にあったノートPCを触ったのが始まりです。ネトゲをプレイしたり、ニコニコ動画などでゲーム実況を見たりしていましたね。中学生の頃には一度だけ配信したこともありました。
――最初はゲーミング向けではない、一般的なノートPCだったんですね。
yunocy:そうですね。お母さんのノートPCでした。MMORPGなど処理の重たいゲームをプレイしていたのですが、処理が追いつかず、キャラクターが表示されないこともあって……(笑)。それで何回か泣いたこともあります。
――そこからゲーミングPCに移行したのはいつくらいでしたか?
yunocy:18歳くらいなので結構最近です。『PUBG: BATTLEGROUNDS(以下、PUBG)』をやりたくて仕方なかったなか、ちょうど自作PCに関する番組へ出演する機会がありまして。組み立てたPCをそのままいただきました。でもそのPCで『PUBG』は動かなくて(笑)。知り合いにグラボ(=グラフィックボード)を貰って一緒に組み立て直しました。
◆ゲーミングPCは自作派?BTO派?
――最近はPCパーツにこだわって自作PCを組む方も多いですが、おふたりは自作とBTOではどちら派でしょうか?
はつめ:私は「自作」派です。かつてプロチームに所属していたとき、2年間で6台ものPCを組み立てる“PC組み立て屋”になっていました。最初は全く分からなかったのですが、すっかり1から10までできるようになり、パーツを入れ替えたり、冷却を簡易水冷にしてみたりなど、ひとりで色々組み替えていますね。
yunocy:私は自作ができないので「BTO」派ですね。何度かお仕事でPCを組み立てたことはありますが、いかんせん不器用なのでプロに任せた方がいいなと(笑)
――いま愛用しているゲーミングPCのスペックについても教えていただけますか?
はつめ:CPUは「インテル® Core™ i9-11900 プロセッサー」で、グラボは「GeForce RTX 3090」です。
yunocy:バチバチだね!
はつめ:バチバチに高いスペックにしました。
yunocy:私は「インテル® Core™ i9 プロセッサーシリーズ」のCPUと、グラボは「GeForce RTX 2080ti」です。3年前くらいに買ったものですが、まだ全然戦えていますね。
――そのPCのこだわりポイントはいかがでしょうか?
はつめ:私は配信をしながら動画撮影をしたりもするので、電源の供給が追いつくように、電源ユニットは強いものを積んでいます。あとグラボも高価なものを選ぶようにしています。全体的なスペックを上げて、常に円滑に作業できるようにしていますね。
――やはり高いスペックにこだわりがあるんですね。
はつめ:あとはビジュ(ビジュアル=見た目)ですね。片面がクリアパネルになっている真っ白なケースを使っていて、中が見えるようになっています。RGBLEDで光らせて配信に映るように置いていますね。
――光るパーツを採用しているんですね。
はつめ:配線を光るものにしたり、光るグラボを選んだりしています。とにかく光るものをバランス考えずに入れているので、配信部屋が光のパレードみたいになっています(笑)
――yunocyさんはいかがですか?
yunocy:私も重たいゲームが配信でスムーズに動いてくれることがまず絶対で、あとはやっぱりビジュですね。今はG-Tuneの赤と黒のかっこ良いデザインのものを使っていますが、ホワイトの可愛いタイプも欲しいですね。
はつめ:白いケースが流行っているよね。
yunocy:そして冷却ファンのところが水色に光る、みたいな。
はつめ:ファンは制御ソフトでいろいろ変えられるんだけど、面倒くさくてやっていないや(笑)
◆ゲーミングPCの買い方&やってみたいこと
――ゲーミングPCを選ぶうえでCPU以外で重視しておきたいポイントはありますか?
はつめ:私はグラボだと思いますね。電源やCPUとの相性もあるのでセットで変えるのが望ましいですが、グラボを買い替えていく人は多いです。あとはメモリも、足りないと感じたら増設したりすることもあります。
はつめ:グラボだけをずっと買い替え続けている人もいますよね。電源やCPUとの相性もあるのでセットで変えるのが望ましいですが、やっぱりメインで買い替えていくのはグラボですね。あとはメモリも、足りないと感じたら増設したりすることもあります。
――PCの“脳”と呼ばれることもあるCPUはいかがですか?
はつめ:CPUは最初からめちゃくちゃ強いのを積んでいます。はじめてPCを組むそのときに一番強いものを選んで、長く頑張ってもらいます。
yunocy:やっぱり長く大事に使いたいよね。
はつめ:最初に良いCPUを使っておけば、1年や2年で買い換えるグラボにも対応できます。この点はインテルのCPUであれば、まず問題ないと本気で思っています。
yunocy:インテルの一番強いやつを置いておけばいいよね。
はつめ:要望があるとすれば、数世代前のインテル® Core™ i9 プロセッサーは梱包がサッカーボールみたいになっていて、ずっと飾っていたんです。インテルさん、もう一度あれに戻してください(笑)。見た目でワクワクさせてほしいです(笑)
――おふたりはPCを買う時は、オンラインor店舗どちらで選びますか?
はつめ:断然店舗ですね。実際に見る方がワクワクします。
yunocy:ケースのサイズ感とか質感とかも、実際に見ないと分からないよね。
はつめ:「こんなのあるんだ!」みたいな出会いもあるし。
yunocy:「こっちのほうが強そうだな!」みたいなビジュも確認できます。
――より具体的にどの店舗が良いなどは……?
はつめ:秋葉原エリアであれば、どこのお店も店員さんの知識が豊富なのですが、強いてあげるならTSUKUMOさんですね。プライベートで連れていった友達は、100万円くらいのPCを組んでもらっていました。
――ちなみにyunocyさんは数年前のゲーミングPCをお使いですが、なにか困っていることとかありますか?
yunocy:最近異音がするんですよね......。
はつめ:それ絶対に虫がいるって!ケース内は温かいから繁殖しちゃって、掃除したときに粉々になった虫が出てきた友達がいたよ。
yunocy:えぇ!?でも、直そうとしてPCに触れると音が止むんだよ?
はつめ:じゃあ配線の問題とかかな?
――それは買い替えも視野に入れないといけないですね。次に買うならこんなPCにしたい!などプランはありますか?
yunocy:なるべく高性能で白いケースが良いなあと思っています。中にフィギュアとか入れてみたいですね。
はつめ:水冷にしちゃいなよ。簡易水冷ならメンテナンスもいらないし。
yunocy:そういえば最近、自作PCのイベントで水冷を活かして豆苗を育てているPCが展示されてた!
はつめ:いや豆苗って(笑)。自作PC界隈は変なことする人が多いから底なし沼に面白いよね。
――はつめさんがさらなるバージョンアップを考えている部分はありますか?
はつめ:配線をめちゃくちゃ綺麗にしたり、側面のクリアパネルに刻印を入れたり、やりたいことは多いですね。
yunocy:お店で買うPCは配線めちゃ綺麗だよね。たまに開けて見ちゃうもん(笑)
――プロの組み立ては美しいですよね。おふたりならではのPC組み立てに関するエピソードはありますか?
yunocy:そういえば、水着で組み立てたことがあります(笑)。お仕事で。
はつめ:静電気が出ないので服を着ないってのは、理にかなってるよ(笑)
◆ストリーマーのデスク環境とは?
――ゲーミングPC周りの環境についても教えてください。サブモニターやサブPCなどはあるんでしょうか?
はつめ:私はメインPCに240Hzのモニターを2台繋いでいます。そして配信用のサブPCに繋ぐモニターが1台で、モニターは計3枚とPCは計2台ですね。トレーダーみたいな机になっています(笑)
yunocy:私もデュアルモニターです。イラストを描くために大きい液タブ(=液晶タブレット)が置いてあって、その反対側に外に持ち出す用のノートPCを置いています。
――ストリーマーは配信用のPCを持っている方が多いイメージですが、どんな役割を持っているのですか?
はつめ:ゲームをするメインPCは、特に強いグラボを積んでいて、配信用は配信処理だけ任せるようにしています。後に組んだ方を配信用にしていたので、配信用PCのほうがスペック高いことに最近気づきました。
――入れ替えるのも苦労しますからね(笑)。yunocyさんはどのようにノートPCを使っていますか?
yunocy:オフラインイベントのとき、遠征先のホテルからでも配信できるように持ち歩いています。
――その他にデバイス関連のこだわりはありますか?
はつめ:やっぱビジュですね~。
yunocy:ビジュだよね。
はつめ:あとは全部ワイヤレスにしています。ヘッドホンもキーボードもマウスも全部ワイヤレスで、マウスはワイヤレス充電に対応したマウスパッドの上に、お気に入りの白いマウスパッドを置いて使っています。
――それは賢い使い方をされていますね。
はつめ:天才なので。でも以前イベントのときにマウスの充電が切れてしまったことがありまして。その日は自動給電のマウスパッドを新しく買いました(笑)
yunocy:私はデバイスを一途に使い続ける女だったんです。気になるメーカーのデバイスが出たら買い替える人が多いですが、私はそういうことしてこなかったんです。でも最近は色々買ったデバイスをそばの棚に飾って、いつでも入れ替えられるようにしています。
はつめ:コレクターみたいだね(笑)
yunocy:あとはキーボードのキーキャップを変えるのが大好きで。いろいろ買いそろえています。白色のキーボードに水色のキーキャップにしてみたり、絵柄のものにしてみたりしてます。
――そんなこだわりの深いおふたりが考える、周辺アイテムのなかで最も投資すべきものはなんでしょうか?
はつめ:“マウス”だと思います。用途にも寄りますが、金額とか関係なく安くても自分の手に馴染むものを実店舗に行って触るのが良いですね。
――こだわりのマウスに出会ったきっかけはどこにありましたか?
はつめ:今はロジクールの「G705」を使っているんですが、一番最初はお父さんがMMOをやっていた関係で、RazerのNagaシリーズのようなサイドボタンがいっぱい付いているマウスを使っていたんです。あれは私の手には大きかったので、お父さんに秋葉原のパソコンSHOPアークに連れて行ってもらいましたね。それで自分に合うマウスを探して……。
yunocy:いいなあ~。
はつめ:その時に出会ったのはSteelSeriesのKinzuシリーズでしたね。
yunocy:私はRazerのDeathadderをとりあえず使っていたんですが大きくて、Lanceheadに変えてみたりした末に、今はViper Ultimateが小さくてフィットしています。それとこだわりたいアイテムといえば、“椅子”もですかね。素材や硬さなど色んな種類があります。最近は価格が安いものも増えてきましたね。
はつめ:ハーマンミラーの20万円くらいするやつが欲しい~!
yunocy:あ、それとデスク変えたらめっちゃ快適になりました。横160cmの奥行き70cmくらいの大きいものにしました。液タブなんかも置いてもスペースがありますし、ゲームするときもマウスを自由に動かせるから快適なんです。
――その上で、もしおふたりが「ゲーミングデバイススターターキット」を作るとしたら、ゲーミングPC本体のほかにどんなアイテムを入れますか?
はつめ:ゲーミングモニターですかね。モニター選びで苦戦する人は多い気がします。
yunocy:最適なサイズとか分からないもんね。私も分からなくて、湾曲の横の広いタイプを買っちゃって(笑)
――ウルトラワイドモニターですね。
はつめ:楽曲作りとか、レーシングゲームとか一部のジャンルには良いですよね。FPSとかだと視界が広すぎるところが多すぎるよ(笑)
――モニターはどんなスペックがいいと思いますか?
はつめ:できるなら240Hzが良いですが、60Hzを知らないと凄さが分かんないんですよね……。そういう意味では60Hzは一度通ってほしい(笑)。最近は144Hzのモニターも安くなってきたので、それでも良いと思いますよ。
――ちなみに、ゲーミングノートはおふたりのなかで購入の選択肢に入りますか?
yunocy:さっきと重なりますが、外で配信するためにゲーミング用途のノートPCを購入するのはアリだと思いますね。
はつめ:私は格ゲーをやっていたことがあって、海外大会に行くときはゲーミングノートPCを持って行くことが多かったです。昔はコンソール機が大会で使用されていて、ポータブルモニターとゲーム機を一緒に持って行っていたんですが、最近はPC版になったので、ゲーミングノートPC一台で済むようになりました。プラスで配信もできちゃうんで、格闘ゲーマーにはピッタリだと思います。
◆最近のベストバイ
――最近のベストバイについても教えてください。
はつめ:「StreamDeck」という、配信で必要な動作やエフェクトをボタンひとつでかけられるデバイスは良かったですね。あとはスマホで一括で部屋を光らせるライトとか、リビングの電気を寝室からでも消せちゃうみたいな。
yunocy:私は全然ゲームと関係ないんですが、液タブで絵を描く用の鉛筆型のペンが良かったですね。見た目も質感も鉛筆のまんまでもうニッコニコです。
はつめ:あと最近ついに……小型冷蔵庫を買っちゃいました!ゲーム部屋から出るのが嫌すぎて、飲み物をPCの横に置いてます。飲み物を取りに行く以外、トイレとお風呂以外に席を立たないので、これだけは買ったらある意味で終わりだと思っていたんですが、ついに買っちゃいました。……マジで超快適です。
――それも、やっぱり光るんですか?
はつめ:ドアはクリアパネルになっていて、もちろん光ります!
――(笑)。それでは最後に、ゲーミングPC選びに迷っている方へメッセージをお願いします。
はつめ:PCショップに行きましょう!
yunocy:ネットで調べていても無限に情報が出てきて分からないので、お店に行った方がいいです!
はつめ:秋葉原じゃなくても、ツクモとパソコン工房とかドスパラとか、BTO系のお店にいって用途と予算を伝えるのが良いです。みんな優しいから大丈夫。
yunocy:良いPC買うためにいっぱい働こうー!
はつめ:労働を頑張ろうー!!
……インタビューの最終着地点はまさかの「労働」でした。
ゲーミングPCの盛り上がりに応じてか、秋葉原だけでなく各主要都市には大きなPCショップがあり、一部には地方展開に力を入れているショップもみられます。少しでもゲーミングPCを購入したいと思ったらまずお店に足を運んで、実際に部屋に置いている様子やどのような使い方をするのか想像してみると良いかもしれません。
まずは価格コムで気になるPCをチェック!