『VALORANT』の年間王者を決める国際大会「VALORANT Champions 2023」がアメリカ・ロサンゼルスで開催中。Pacificリーグ1位のPaper Rex(PRX)は、8月25日に行われたUpper Bracket Finalにて、Evil Geniuses(EG)と対戦。マップスコア2-1で勝利しました。
PRXはこの勝利によってGrand Final(決勝)へ進出します。PRXは昨年Stage 1 Masters Reykjavíkではベスト4、Stage 2 Masters Copenhagenでは準優勝、今年6月のMasters Tokyoでもベスト3と、上位に食い込むもののトロフィーを掲げるには至っていません。
そして、チームでデュエリストを担うJinggg選手は、兵役により2024年よりチームを去ることが明らかになっています。彼にとって今回のChampionsは兵役前最後のトーナメントとなるのです。そんなJinggg選手へ、Upper Bracket Finalの後にインタビューを実施。大会にかける想いや、兵役後の活動について伺いました。
◆チームのモットーは「勝つことより、楽しむことを大切に」
――Grand Final出場おめでとうございます。今日から会場が大きな「Kia Forum」へ変わりましたが、印象はいかがでしたか?
Jinggg:こちらの会場は良いね。これまでよりも大きくて、観客もたくさんいて、エキサイティングで全体的に良い気分だよ。
――Grand Finalまで出場を決めました。今大会へ向けた思いを聞かせてください。
Jinggg:僕らのチームは「勝つことより、楽しむことを大切に」という、マインドセットでいつも戦っているんだ。もちろん勝利も意識しているけど、楽しめば楽しむほど流れがよくなって、より良いプレイができると思ってる。だからこの大会も楽しむように心がけているよ。
――いつもお母様が会場に応援に来ていますよね。
Jinggg:母は僕を一番応援してくれる人で、いつも応援に駆けつけてくれるんだ。今回も会場に来てくれて、試合前に励ましてくれたよ。いつもサポートしてくれて感謝しかないね。
◆EGは“間違いなくトップ3にいるべきチーム”
――EGとの試合の印象を教えてください。
Jinggg:接戦だったね。1stマップ(アセント)では10-13で負けてしまったけど、気持ち的には僕らが優勢だったんだ。マップの終わり際にミスが積み重なって、それを付けけ込まれてしまったのは反省点だよ。勝つべきマップだったね。
――その後はいかがでしたか?
Jinggg:アセントではEGは自信がついたんだと思うけど、2nd・3rdマップではEGに押され気味だったと思う。でもすべきことを完璧にこなして、結果的に勝つことができたよ。
――アセントではWコントローラー・Wデュエリストと、かなりクレイジーな構成ですよね。
Jinggg:Pacificリーグから似たような構成を続けてるし、僕らにとっては当たり前な感じだよ。むしろEGの構成のほうがずっとクレイジーだと思うね。パールでのヨルを入れた構成は戦ったことがなかったから、楽しい試合になったよ。
――実際にEGと戦ってみてどんな印象を受けましたか?
Jinggg:彼らは実力のあるチームだよ。Masters Tokyoから成長をし続け、間違いなくトップ3にいるべきチームだと思うよ。
――PRXはアグレッシブな戦いができるのは何故なんでしょうか?
Jinggg:攻めるとき「自分ならやれる」という自信があるからだね。これまでの経験から、相手への予測と攻めるタイミングがよく分かるんだ。それがアグレッシブさに繋がって、もっと自信を持てるようになるんだ。
――ところで、Jinggg選手はWooting(キーボード)を使っていますよね? 現在ラピッドトリガーブームが訪れていますが、やはり普通のキーボードとプレイは変わりますか?
Jinggg:少しアドバンテージがあると思うよ。でも僕にとってはラピッドトリガーはあまり影響がないね。それよりWootingの感触に惚れ込んでしまったから使っているというのが理由だよ。もちろんラピッドトリガーのおかげでストレイフが早くなるとは思うけど、正確に計ったことがないので気のせいかも(笑)
◆最後の大会に賭ける想い
――alecksコーチに、Jinggg選手は来年から兵役によってチームを去ると聞きました。なぜ去年に行かなかったのでしょうか?
Jinggg:シンガポールではいつ兵役に就くかは時期が分からないんだ。今年は兵役の手紙が届いたから来年から行くん。
――今回のChampionsは最後のトーナメントとなりますが、特別な想いはありますか?
Jinggg:特別な感情は湧いてくるよ。頭では考えないようにしているけれど、やっぱりどこかで「これが最後の大会になる」ことが頭の隅にあるんだ。だからこそ、良い成績を残したいし、優勝も狙いたい。でもプレッシャーを自分にかけないようにしてる。でもやっぱり、この大会はいつもより感情的になってしまいます。
――兵役を終えたら競技シーンに戻るつもりはありますか?
Jinggg:兵役義務が終わって、まだ僕の腕が錆びついていなければ絶対に戻ってくるよ。選手としてプレイするのが一番楽しいから、戻ってきたいね。
――決勝を前に少し気の早い話ですが、今年1年のVCTを振り返っての感想を聞かせてください。
Jinggg:LOCK//INからChampionsを振り返るととても長かったと感じるよ。大会間の休みがあまりなかったし、Masters TokyoとChampionsを経て正直言うとみんな疲れて燃え尽きている印象も受ける。長い期間プレイを続けて疲れ切っているけど、僕らにできることはただ集中してプレイをし続けるだけだ。そして今、Grand Finalへ出場できたことはとても嬉しいよ。
――では最後に日本のファンへメッセージをお願いします。
Jinggg:僕らの試合を観続けてくれたファンのみなさんに本当に感謝しています。みなさんが楽しんでくれたら嬉しいです。これからも応援し続け、僕の復帰を待っていてもらえたら嬉しいです。本当にありがとうございます。
――ありがとうございました。
PRXは8月27日午前4時(日本時間)より、Grand Finalにて再びEGと対戦します。今回はマップ3本先取のBO5。再び勝利を掴み、Pacificチーム初の国際大会優勝を収めることができるのか、注目が集まります。