「手札を増やし、手札を生み出す力が必要」―crow選手に訊く、今のZETA DIVISIONに足りないモノとChampionsで学んだこと【インタビュー】

Championsを終えたZETA DIVISIONから、crowさんにインタビューを実施。NRG戦の手応えや今のZETAに何が足りないと感じるかなどを伺いました。

e-Sports インタビュー
「手札を増やし、手札を生み出す力が必要」―crow選手に訊く、今のZETA DIVISIONに足りないモノとChampionsで学んだこと【インタビュー】
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アメリカ・ロサンゼルスで『VALORANT』年間王者を決める国際大会「VALORANT Champions 2023」が開催中。Pacific代表の日本チーム「ZETA DIVISION(以下、ZETA)」は、Americas代表の「NRG」にマップスコア0-2で敗北し、本大会からの敗退が決定してしまいました。

8月12日に行われたこの試合は、両者ともに大会からの敗退がかかったエリミネーションマッチ。1stマップ:バインドではオーバータイムにもつれ込む接戦に惜敗し、2ndマップ:ヘイヴンでは1-13という大差をつけられての敗北という形でした。

そこで本稿では、試合直後に実施したcrow選手へのインタビューの模様をお届けします。試合の手応えや今回のChampionsで学んだことなどを語ってもらいました。



◆NRGの構成は「アジアでほとんど見ない」ものだった

――試合お疲れ様でした。まずは試合を終えた感想をお願いします。

crow:そうですね......。一勝でもしたかったのでとても悔しいというのが、今の気持ちですね。

――対戦相手のNRGには、どんな印象を抱きましたか?

crow:特にバインドでは、相手の防衛時にこちらの攻めに対する対応をすぐ実行しているのが印象的でした。相手の対応が上手かったですね。

――ヘイヴンでは一方的な内容になってしまいました。どのような要因があったのでしょう。

crow:LCQを終えて構成も変え、いろんなマップを練習する必要があるなかで、ヘイヴンの練度が世界レベルに追いついていなかったんだと思います。

――ヘイヴンのチェンバー・キルジョイを含めた2センチネル構成について、実際に試合で戦って手応えはいかがですか。

crow:FNATIC戦に関しては通じる部分もあって、手応えは感じていました。今回の試合に関してはNRGが普段戦わない、アジアでも見ないような構成(NRGはヘイヴンでヴァイパー・ハーバーを採用)で、こちらに来てからの練習試合でもあまり見ないものだったので、それに対する対応が遅れたというか、ほぼできていなかったですね。

――NRGのヴァイパー・ハーバー構成は、対策を練るに難しいものがありましたか?

crow:ヴァイパーのカーテン(トキシックスクリーン)や波(ハイタイド/カスケード)でエリアコントロールが容易にできるのが強みです。一度エリアを取った後に、そこにプレイヤーがいなかったとしてもカーテン系でプレッシャーを常に与え続けることができるので、かなり苦しかったですね。

――ワイプを見ていて、特にLazさんがもどかしい表情をしている印象を受けました。彼のメンタル的な面はどうでしたか?

crow:Lazも長いことやっていてこういう試合もあったと思うし、そこは普段のVCと比べて違うことはなかったですね。ただ、相手の構成に対してこちらの回答がなかなか出せなかったのが表れていたのかなと思います。

◆ZETAがChampions 2023で得たものとは

――前回のFNATIC戦から、どのような話し合いを経て今回の試合に臨みましたか。

crow:JUNiORも言っていた通り、自分たちの得意マップ・自信を持って戦えるマップがあまり多くないなかで、相手のBAN/PICKを見てマップを絞って練習していました。

――改めてFNATICは強かったですか?

crow:FNATICはマクロがかなり上手かったですね。NRGとも似ていますが、勝つための徹底した動き……対応力や細かいところが上手いという話は、チームでしていましたね。

――今回のChampionsにおいて、公式の二試合だけでなく練習試合も含めて、どのようなことを学べたと考えていますか?

crow:自分たちが変わった構成をしているなかで「勝ち切れるような戦い方」は、練習試合から学べたかなと思います。構成が尖っている分、個々人のアルティメットが強かったりするので、「このラウンドは落としたとしても、(アルティメットポイントを溜めて)次にこのアルティメットを使って戦おう」みたいな感じです。アメリカのチームやこちらに来ているヨーロッパのチームは、少人数戦の戦い方が上手いので、そこも学べたかなと思います。

――crowさんから見て、今のZETA DIVISIONに足りないモノはなんだと思いますか?

crow:今回感じたのは、どんな構成が来てもどのマップで戦っても、手札を多く持つことが大事だということです。NRGやDRXなどはかなりの手札を持っていると思います。さらに言うと、手札にないものを試合中に生み出すことが求められると感じました。

――最後に読者へのメッセージをお願いします。

crow:Championsに出場できたのは良かったんですが、一勝もできないという残念な結果になってしまったのは、応援してくれた皆さんに申し訳ないと思っています。ありがとうございました。


これにてZETA DIVISIONの2023年『VALORANT』競技シーンは終了。LOCK//INから始まり、初のインターナショナルリーグを駆け抜け、Championsを戦い抜いたシーズンが幕を閉じます。

次に彼らが競技シーンで切磋琢磨する姿を見られるのは2024年です。長いオフシーズンを経て来年のZETA DIVISIONがどのようになるのか、期待に胸が高鳴ります。

《Okano》
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東京在住ゲームメディアライター。プレイレポート・レビュー・コラム・イベント取材・インタビューなどを中心に、コンソールゲーム・PCゲーム・eスポーツについて書きます。好きなモノは『MGS2』と『BF3』と「Official髭男dism」。嫌いなものは湿気とマッチングアプリ。

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