『VALORANT』における年間王者を決める国際大会「VALORANT Champions 2023」が、アメリカ・ロサンゼルスにていよいよ開幕。前回の「VCT Masters Tokyo」で快進撃を見せたチームのひとつ「Evil Geniuses(EG)」は、初陣となった対FPX(中国)において、マップスコア2-0で快勝をみせました。
デュエリスト(たまにコントローラー)のDemon1を筆頭に、どのプレイヤーも瞬間的な爆発したプレイを見せるポテンシャルを秘めたチームは、Masters Tokyoではグランドファイナルで惜しくもFNATICに敗れました。
本稿では、ヘッドコーチであるpotter氏へ試合直後に実施したインタビューの模様をお届け。チームはChampionsに向けて何を用意してきたのか、そして初の公式試合での戦いとなったFPXの印象について伺いました。
――勝利おめでとうございます。本日の試合の感想を教えてください。
potter:最初のスタートはつまづいたわね。特にAAAAY(スカイ)が良い攻撃をしてきて、私たちの出足をくじいたし、アセントでは少人数戦を落とすなどのアンラッキーも重なったわ。パールのアタッカーは見直すべき点も見つかった。でも結局勝利することができてよかったわ。
――パールでは追い上げられましたが全体的には快勝でした。この結果をどう捉えていますか?
potter:パールはオーブが簡単に手に入ることも関係して、とても情報が伝達しやすいマップのひとつ。そこで私たちは、残念ながら何度か判断を誤った場面があったの。でも、それも『VALORANT』というゲームの一部。勝つためにはラウンドを失う覚悟も必要。私たちとしては、スタートはよくなかったかもしれないけど、何が起こっているかはちゃんと把握できていたわ。FPXの追い上げはあったけど、ちゃんと状況を理解していたからこそ、みんな自信に満ち溢れていたわね。
――ラウンドスコア11-8で取ったタイムアウトから流れが変わったようにみえました。どんなことを話していましたか?
potter:具体的に何を話したかはここでは話せないわ。タイムアウト中は私が選手たちにゲームプランを伝えるの。ピストルラウンドや半エコラウンド、ボーナスなどでは私がコントロールすることが多いわね。
――実際に戦ってみて、FPXはどのようなチームであると考えていますか?
potter:FPXに対する印象は、私たちが考えていた通りのものだったわ。彼らは機械的な精密さで動ける才能がある、危険なチームだと思う。私たちがピークのひとつでも失敗すれば、あっさり全滅させられてしまうようなね。それがFPXの特徴であり、危険なポイント。追い詰められているチームでも勝ち目があるのが『VALORANT』の素晴らしいところのひとつだね。
私たちは運を含む戦いに挑んでしまって、FPXはそれを利用してきた。勝つべきチームとしてもう少し責任を持たないといけないし、あのような戦いに身を投じないようにする必要があるね
――中国リージョン全体の特徴はどんなところにあると思いますか?
potter:私たちは長いことEDGとZmjjKKのファンなの(笑)。EDGはすごいよ。中国のチームはみんなセンスがある。彼らは自信に満ち溢れていて、それを押し通してくるわ。各選手はただピークして、戦いを挑み、リスクを冒してくる。ある意味中国チームのプレイを見るのは本当に新鮮よ。
――Championsに向けてどのような練習を行ってきましたか?やはり目標はFNATICへのリベンジですか?
potter:もちろんFNATICにリベンジはしたいね。また、今回はちょっと方針を変えて、BO5を念頭に置いて準備してきたの。Masters Tokyoのグランドファイナルでは、自分たちのマッププールで惜しくも負けてしまったけど、今回はそうさせないわ。
――自信がありそうですね。
potter:でも今はまずグランドファイナルに進出しなければいけないわね。もしグランドファイナルに進めたら同じ質問をしてよ、その時は「準備完了」と答えるから(笑)
――同じグループで特に警戒しているチームはありますか?
potter:T1が強敵になると予想していたわ。でも1がFUTに惨敗してしまったのでもう分からない。もちろんFUTは強いチームです。 EMEAのチームはいつも責任感の強いクリーンで構造的なプレイをするよね。いずれにせよグループがどうなるか楽しみだね。
――今のEGの強さはどこにあると考えていますか?
potter:今大会では、全チームの中で最強のマッププールを持っているのが我々の強みであると、大会後に言えるようになりたいね。2つ目は対エコとボーナスラウンド。これが私たちの強みかな。
――最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。
potter:(日本語で)アリガトウ! Masters Tokyoから帰ってきたばかりだけど、まだ東京のことを思い出していて、はやくまた行きたいと思っているわ。 日本の『VALORANT』コミュニティは、私が経験したことのないものばかりで、みんな最高よ。これからも成長しつづけて、もっと大会を開けるようになって欲しいわ。そうしたら私ももっと頻繁に日本に行けるもの。チームみんなその時を待っているわ!
――ありがとうございました!
BO5へ注力する……つまりどんなマップでも戦う自信を見せたpotterコーチ。Masters Tokyoで見せた大躍進をロサンゼルスの地でも再現することができるのでしょうか。EGは次戦、8月9日午前10時(日本時間)より、トルコのチームであるFUT Esportsと対戦します。これに勝利すればブラケットステージへ進出となります。