『VALORANT』の年間王者を決める国際大会の集大成「VALORANT Champions 2023」にてEMEA・FNATICは、初戦で日本のZETA DIVISIONと対戦。マップスコア2-0で快勝しました。
2023年2月の「LOCK//IN São Paulo」に続き、6月の「Masters Tokyo」。『VALORANT』競技シーン史上初の2大会連続優勝という功績を収めたチームの強さは健在で、多くのファンからChampionsでの優勝、すなわちグランドスラムへの期待が寄せられています。
そんななかで今回は、ZETAとの対戦を終えたばかりのFNATIC・Boasterにインタビューを実施。試合の感想やChampionsにかける思いについて。そしてLaz選手とどのようなやり取りをしたのかを伺いました。
■ZETAには「もっとアルティメットのラウンドが必要」
――勝利おめでとうございます。いきなりZETAとの対戦でしたね。
Boaster:僕はただZETAのみんなが素晴らしい経験をすることを願っているよ。Championsへ出場を果たしただけでも大きな功績だしね。次のNRG戦では足元を固めて彼らの実力を見せ、日本のコミュニティに何かを与えられると良いね。
――戦ってみて、ZETAはどんなチームであるように感じましたか?
Boaster:レベルの高い選手たちが揃っていて、高い火力を持っていると思う。常に改善を求め、常に新しい方法を見つけてきた成果だろうね。
――彼らにアドバイスを与えるとしたら、なんと言いますか?
Boaster:もし彼らが僕にアドバイスを求めるなら「もっとアルティメットのラウンドが必要だ」と言うだろうね。もっとアルティメットを積極的に使っているところを見たいかな。フラクチャーではレイズとネオンのアルティメットを4ラウンドくらい保持してたと思う。
アルティメットで1ラウンド取れるかもしれないし、試合の勢いを左右するかもしれない。もっとアルティメットを戦略に組み込めば脅威的なチームになると思うよ。
Boaster:あと、ヘイブンでも彼らは確かな準備をしてきていた。どれくらいの準備をしてきたのかは具体的にわからないけれど、過去のヘイブンは、特にRRQ戦(※)であまり良い結果を出せていなかったよね。
(※)ZETAは「VCT LCQ Pacific 2023」におけるRRQ戦のヘイヴンにて、2-13と大差で敗北している
彼らはマッププールを改善し続ける必要があると思う。彼らは撃ち合いでは決して負けていないから、自信を持ってプレイして欲しいね。今回の試合もラウンドスコアだけ見ても分からないけど、僕らにとってはずっと接戦で難しい戦いだった。多くのラウンドで僕らは危うい展開になっていたよ。
――ちなみにZETA側のフラクチャーピックは想定通りでしたか?
Boaster:そうだね。フラクチャーかスプリットを選ぶかもしれないと思っていたね。フラクチャーは僕たちも好きなマップで、IGLとしてコールするのも好きなマップなんだ。だから同マップを期待していたし、彼らが何を持ってくるかは予想していなかったけど準備はできていたよ。
――フラクチャーでのFNATICは、エージェント構成をフェイドからソーヴァへ変更していましたね。
Boaster:それは試してみたかったからなんだ。ソーヴァを採用するEG(Evil Geniuses)に負けたとき、ソーヴァのアルティメットはフラクチャーで本当に厄介だと感じたんだ。フラクチャーはアルティメットを使いまくれるマップだからね。特にフェイドのアルティメットよりもインパクトがあるし、それだけでラウンドを取れることもある。
ということもあって練習でEGの構成を試してみたら、自分たちに適していると気づいたんだ。 Leoはソーヴァを使いこなしているしね。 一定まで溜め込んだら、「このアルティメットを使おう。こっちのアルティメットをやろう。今度はこのアルティメット」って感じに一斉攻撃できるんだ。
◆Championsには“リセット”して挑む
――Championsという舞台でプレイする心持ちはいかがですか?
Boaster:いつも僕らは“これまで優勝したことがない敗者”として、リセットして臨んでいるんだ。その上で、すべての手順・セットプレー・セットアップを確認する。試合当日のラインアップや細かいところで、自分たちが何をするのか確認する。だからとても集中力が必要で、試合が終わった後はとても疲れていることが多いんだけど、今年最後の2週間だから、頭を冷やして、眠たくなるまで頑張るしかないんだ。
――少し気が早いですが、今大会が終わったら何がしたいですか?
Boaster:ほかの色んなビデオゲームを遊びたいな。何をやるかはまだ決めていないけどね。それと実は、また日本に遊びに行く楽しい計画を立てているところなんだ。だからまた皆さんと会えたらいいね。
――日本のファンはきっと歓迎してくれますよ。
Boaster:そうだと嬉しいね。 日本は本当に楽しいところだから。あとココイチ!
――実は、ここロサンゼルスにもココイチがあるみたいですよ……!
Boaster:そう聞いてたんだよ! でも他チームのホテルからは近いのに僕らのホテルの近くにはないんだよ…...。あとはゆっくり休みたいね。この1年間、特にこの2ヶ月は本当に濃かった。だから、少しリラックスしたいんだ。
――グランドスラムを獲得するために必要なものはなんだと思いますか?
Boaster:集中を切らさずに自分たちのプレイをするだけだよ。世界最高の選手たちと一緒にプレイして、ヘッドショットを決める。慌てすぎず、感情を抑えて冷静にね。感情が邪魔をすると、それだけで負けが込んでしまうからね。今日のZETA戦でも少しそういうことがあって、最初は引き離していたのに追いつかれそうになった。初戦からいい試合ができたと思うよ。
◆友人・Lazへ贈ったアドバイスとは
――LazさんがIGLについてアドバイスを求めたと発言していましたが、その件についても話してもらえますか?
Boaster:LazがTwitterで僕にメッセージをくれて、スケジュールや戦略、燃え尽き症候群との向き合い方などについてアドバイスを求めてきたんだ。僕は練習の進め方についてメッセージを送ったほか、僕らが戦略を立てるときに使っているものなども伝えてあげたよ。
僕はLazのことが好きだし、他のIGLが僕に連絡をくれればいつでも協力したいとも思っている。ただし、知り合い限定でね!みんなに手を貸していたら長すぎるウェイトリストになってしまうからね。
僕はLazを尊敬しているし、ベストな彼を見たいんだ。彼らの情熱も知っている。特にアイスランド(レイキャビク)では、彼らが勝って泣いていた。そんな彼らのために僕もベストを尽くしたいと思ったんだ。彼らはいい人たちだからね。
――素晴らしいエピソードです。それでは最後に日本のファンへメッセージをいただけますか?
Boaster:みんなたくさんの応援をありがとう。ZETAを応援したいけど、僕たちも優勝目指して頑張ります。こんなことを言える立場ではないけれど、もしZETAが敗退してしまったらFNATICを応援してほしい。すべてに感謝している。またすぐに会おうね。
――ありがとうございました。またトロフィーを掲げる姿を楽しみにしています。
FNATICは8月10日10時より、ブラケットステージへ進出をかけ中国・Bilibili Gamingと対戦します。公式大会の場でFNATICが中国のチームと対戦するのは初。NRGを倒した同チームとの一戦に注目が集まります。