ライアットゲームズが手掛ける人気タクティカルシューター『VALORANT』。10月18日(火)に開幕するEPISODE5・ACT3では、新たなコントローラー「ハーバー」が登場します。
エリアコントロールが重視される『VALORANT』において、一時的に敵の視界を遮ることが主な役割となるのがコントローラーですが、新エージェントとしては2021年3月に実装された「アストラ」以来となります。アストラ実装直後はほとんどのチームがアストラを採用するなど、大幅な弱体化が来るまではメタとして君臨し続けていましたが、ハーバーはどの程度のインパクトがあるのか。本稿では先行プレイインプレッションをお届けします。
まず最初にお伝えしたいのが、“コントローラーをハーバーだけに任せるな”ということ。例えば、ブリーズ・アイスボックスなどのマップではヴァイパー、その他のマップではブリムストーン・オーメン・アストラのワンコントローラー構成が可能でしたが、ハーバーはあらゆるマップでワンコントローラーでの構成は難しいように感じます。
その理由は、射線を切るアビリティーが、2つ(うちひとつはシグニチャーアビリティー)であり、それぞれの効果時間が短いというもの。これを踏まえて、まずはそれぞれのアビリティーをおさらいします。
シグニチャーカーテン、「ハイタイド(E)」
腕輪を構え、「発射」で前方に向かって、または「発射長押し」でクロスヘアの方向に誘導しながら水の軌跡を地面に描き、その軌跡上に水の壁を発生させる。水の壁は地形
を貫通する。壁の誘導中に「オルト射撃」で早めに止めることができる。これに当たったプレイヤーはスロウ状態になる。
ハイタイドは、一度使用した時点から40秒で再び使用できるようになる(リコン・ホウント同様に一定時間のクールダウンで再利用できるようになる)シグニチャーアビリティーです。これは約55mのカーテンを約14秒出現させることができ、プラウラーを操るように視点移動することでカーテンの軌道を曲げることもできます。言ってしまえば、ハイタイドはフェニックスのブレイズをアップグレードさせた“カーテン”です。長さ自体は55mと、ヴァイパーのカーテンとほぼ同じくらいですが、やはり曲げることができるのが特徴的で、例えば、パールのBサイトのリンク・タワー上下の射線を切るようなカーテンを繰り出すことも可能です。
ヴァイパーのカーテンのように毒素による再利用ができないので、使用感としてはネオンのファストレーンや、フェニックスのブレイズと同じような印象です。
また、わずかではありますがカーテンに触れた数秒間はスロウ効果があります。ただし、セージのスロウオーブやチェンバーのツール・ド・フォースのスロウフィールドのように、小さな段差を登れないなどのディスアドバンテージはなく、少し移動が遅くなったかな?という程度です。
このハイタイドをひとつとってみると、再利用と衰弱効果を兼ね備えたヴァイパーのトキシックスクリーンのほうが有効に思えます。ただし、再利用時には別の場所に展開できることを考えると、エントリーの失敗時やフェイクなどに使うことができるという利点があります。
謎の壁を作り出す「カスケード(C)」150クレジット
構えを取り、「発射」で前方に向かって波を発生させる。波は地形を貫通する。「再使用」で、波の動きを止めることができる。波に当たったプレイヤーはスロウ状態になる。
最も「?」となったのはこのカスケード。そこそこ高さのある壁を自由に設置できるというイメージですが、停止させてから約6秒で消えてしまううえ、ハイタイドと同様のスロウ効果のため、敵の進行を止めるような使い方には向きません。また、ひとつしか持っていないため、1ラウンドに一度しか敵の視線を遮ることができないという代物。
正直に述べると、このアビリティーの使い所はあまり想像できませんでした。設置後に解除するディフェンダー側が出すスモークや、一時的に片側の射線を切るなどの使い方はできますが、6秒間しか効果範囲がないため、ちょっと不便です。
ひとつ応用できそうな点は、この壁は約35m先まで前方へ移動するということ。再び(C)を押すことで任意の場所に停止させることができますが、一度発動させた状態では前方へ進むようになっています。これを利用して狭い通路で前線を押し上げたり、ブリーチのフォールトラインのように、少し離れた位置からカバーのアビリティーとして使ったりと、活用できるかもしれません。
バリアオーブの代打?「コーヴ(Q)」350クレジット
シールドを発生させる球状の水を構え、「発射」で前方に投げる。「オルト射撃」では軽く放る。地面に当たると、弾丸を防ぐ水のシールドが展開される。
こちらのアビリティーは、防弾仕様のスモークのようなものを出せるアビリティーです。アイスボックスやバインドでは、セージのバリアオーブを利用してスパイクを設置することが多くみられますが、それらの代用として期待できます。約18秒間持続しますが、アビリティーそのものにダメージ(約500HP)を与えると、防弾効果はなくなり、まもなく消滅してしまいます。
セージのバリアオーブと同様にダメージには弱いため、使い所は限られますが、一時的にダメージを防ぐ必要がある場面では活躍してくれます。なお、敵のアビリティーは通るので、空爆を防ぐような使い方はできません。
流れを変える「レコニング(X)」
構えを取り、「発射」で遺物の力を解放して、地面に間欠泉のエリアを展開する。エリア内にいる敵プレイヤーは間欠泉から繰り返し攻撃を受け、攻撃に当たったプレイヤーはスタン状態になる。
アルティメットアビリティー「レコニング」は、範囲内に一定時間おきに間欠泉の攻撃を与えようとするもの。範囲内の敵の足元にAoE(Area of Effect)が現れた後、スタン状態にする攻撃が繰り出されます。これだけ聞くと強く聞こえますが、AoEの出現から発動までには数秒のタイムラグがあり、普通に歩いたり走ったりすることでスタンを避けることができます。
特徴的なのはその広さにあり、ブリーズのBサイトをまるっと覆ってしまうほどです。その中にいる敵の枚数を探るほか、エントリーに合わせることで混乱に乗じた攻撃やリテイクができるというわけです。
これらのアビリティーを一通り使ってみると、コントローラー単体としての能力は低く感じます。例えば、ヘイヴンやアセントでウィンドウ・ハイミッドにスモークを炊いてエリアを取る動きや、敵が来そうなポイントにスモークを炊いて進行を阻止するなど、これまでのコントローラーにできていたことはほぼできないと言っても過言ではありません。
そこでやはり考えなければならないのが、味方のアビリティーと組み合わせてのエリアコントロールです。動き壁であるカスケードと味方のフラッシュアビリティーを組み合わせたり、ハイタイドに合わせてスピーディなエリア取りをしたりと、しっかりと味方とコミュニケーションを取ることで、その真価を発揮するエージェントといえます。つまり、ひとりでなんでもできてしまうようなコントローラーではないということです。味方としっかり合わせて、細かい局所的なエリアコントロールに長けたエージェントと言えます。他のコントローラーと組み合わせて、ダブルコントローラー構成で挑むのが吉です。視界を遮るアビリティーが少ないのは難点であり、アグレッシブにエリアを取りに行くことを考えた戦術に適したコントローラーという立ち位置かもしれません。
エージェント「ハーバー」は、10月18日(火)より開幕のEPISODE5・ACT3で登場します。『VALORANT』はWindows向けに公式サイト/Epic Gameストアにて配信中です。