『VALORANT』の年間王者を決める国際大会「VALORANT Champions 2022」が、トルコ・イスタンブールにて開催中です。
初戦ではブラジル代表「LOUD」と対戦し敗北を喫した日本代表「ZETA DIVISION」は、9月4日(日)に行われた2戦目で、APAC最終予選を勝ち抜いて出場した「BOOM Esports」と生き残りをかけた戦いに挑みました。
◆激戦の模様を振り返り
第3マップへもつれ込んだ試合はマップスコア2-1でZETA DIVISIONが勝利。プレイオフ出場をかけて再びLOUDとの戦いへ駒を進めました。
BOOMピックの1stマップ:ヘイヴンでは、ディフェンダースタートのZETAが1stラウンドを落とすも、続く2ndラウンドで見事なアビリティーの組み合わせでスリフティを勝ち取るという幸先の良いスタートを切ります。一時は11-6と大差をつけることに成功しますが、その後のBOOMのタイムアウトから状況が一転、巧みなエリアコントロールでZETAの攻撃箇所を丁寧に誘導、読み取ったBOOMがラウンドを重ね、まさかの逆転で11-13で1stマップを落としてしまいます。
続くZETAピックの2ndマップ:パール。ZETAが見せる初のパールは、オーメンとヴァイパーのダブルコントローラーを採用。そしてイニシエーターにはスカイのみと、フェイド採用が見られることの多いChampionsではやや特殊な構成に。
局所でのエリアコントロール、アビリティの駆け引きやガンファイトではZETA・BOOM共に五分の戦いを見せ、攻撃スタートのZETAが8-4と有利な折り返し。その後BOOMの揺さぶる攻撃やエリアコントロールの隙をつく動きに勢いを削がれますが、最終的には13-11で競り勝ちました。最終ラウンドではLaz選手がオペレーターで2キル、ヘッドハンターで3キルのACEを繰り出すなど、Laz選手のB守りが光った防衛でした。
運命の3rdマップはフラクチャー。先のLOUD戦では敗北したもののZETAは得意としているほか、BOOMは先のOpTic戦で13-3で敗北しているというマップです。
フラクチャーは終始一貫してZETAの独壇場と言っても過言ではなく、最初のピストルラウンドを落としてしまうも、その後は1ラウンドも譲らずに13-2で大勝利。マップスコア2-1でChampionsでの初勝利を収めました。
◆初戦勝利後の合同インタビューまとめ
――ヘイヴンはとても惜しい試合でしたが、BOOMのどこが上手かったと感じましたか?
Laz選手:ジェットのBerserX選手が使うオペレーターが驚異的だったほか、ブリーチの配置も少し特殊でうまく対応することができませんでした。それでいて、細かい連携がスピーディで上手かったと思います。
――パールではエリアコントロールが上手くいっていたように感じましたが、実際に公式戦でパールをプレイしてみていかがでしたか?
SugarZ3ro選手:練習と全く変わりはないので、特に「大会だったから」というのはありません。
――パールのラウンドスコア11-11のラウンドが逆転の鍵になったと思うのですが、その直前のタイムアウトではどのような話しがあったのでしょうか?
XQQコーチ:そのタイミングで話した内容は覚えていません。それまで逆転するまでの間に刺さっていた、A守りの内容を継続して使っていこうという話をしていたと思います。
――XQQコーチはパールの最後の方で、頭を抱えていらっしゃったのが印象的でした。その時にどういったことを考えていたのでしょうか。
XQQコーチ:この試合は頭を抱えるシーンが多かったので、どのタイミングかわかりませんが、こちらが9本取れてからBOOMに連取されたところだと思います。もともと用意していたAセットの守り方があまり通らず、頭を抱えていました。
――LazさんのパールでのACEは勝利における象徴的なシーンでした。ACEを取ったときの心境やメンバーの反応などはいかがでしたか?
Laz選手:11本取れた時点でこれは行けるという確信がありました。ただ、オペレーターやヘッドハンターを2、3発くらい外してしまったので、もっと上手くできたなと思っています。チームの反応は「来たな!」みたいな感じでした。
――チェンバーの弱体化(ヘッドハンターの価格上昇、ランデブーの範囲縮小、ツール・ド・フォースの部位設定)が入りました。その弱体化はLaz選手のパフォーマンスを見るとあまり影響がないように感じますが、チェンバー使いとして、現状のチェンバーの性能をどのように評価していますか?
Laz選手:ヘッドハンターの価格上昇やランデブーの範囲縮小は、多くのプレイヤーに影響がありそうです。個人的には、ヘッドハンターは連射しないので使用感は変わりません。ランデブーは、もちろんこれまで通りにはいきませんが、狭くなったとはいえうまく使えていると思っています。また、オペレーターを使う場合はまだ強いなと思います。ライフルを使う場合は、チェンバーでなくても良いと思います。
――TENNN選手はブランクがあるなか、短い練習期間での出場ですが、いかがでしたか?また、自身から見て、今パフォーマンスをどれくらい出せていると感じますか?
TENNN選手:一ヶ月間『VALORANT』に触れられていない状態だったうえに練習期間が1週間ぐらいしかなく、その状態で強いチームと戦うのはとても大変でしたね。パフォーマンスは50~60%くらいしか出せていないと思っています。
――配信などでも、モニターと眼の距離を離すようにしていると話していました。影響はありましたか?
TENNN選手:元のモニターと眼の距離が13cmで、今は27cmくらいでやっています。モニターから離れることで敵の見え方などが違うので、かなりやりにくい状態ではありますね。
――マップを重ねるにつれて調子が上向いている印象を受けましたが、実際にプレイしていていかがでしたか?
Laz選手:見ての通り試合を重ねることで、ちょっとずつ調子が上がってきています。パールでは結構辛い押され方をされてしまいましたが、最後の方に巻き返すことができて「これは来たな!」という感じでした。
crow選手:そうですね。アイスランドでの経験があったからこそ、全然まだ勝てるなっていう気持ちが働いて、どんな状況でも行けるなという感じになっていきました。
――LOUDとは再戦になりますが、前回の戦いを振り返って改善しなければならない点はどこにあると考えていますか?
XQQコーチ:前回のLOUD戦ではミクロ面でのミスがかなり目立っていて、取れるラウンドを取れず、結果的にとても惜しい試合になっていました。そこの修正をしっかりして、そのうえで再戦には再戦なりの用意をして、戦いに挑もうと思っています。
――Stage1 Mastersではベスト3に輝きましたが、あの快進撃を再現するために、前回のStage1と比較して、現在のチームの完成度はどの程度だと考えていますか?
XQQコーチ:Stage1 Mastersと比較すると、60~70%くらいなのかなと思います。理由としては、単純に今のロースターでの準備期間が短いことと、Stage1 Mastersのときのようにメタにマッチした構成をすべてのマップで用意できてはいない点が大きいと思います。ただ、大会はすごく吸収することができる場なので、このまま戦い続ければStage1 Mastersのようにもっと勝ち上がれるかなと思います。
まだチームの完成度は60~70%と話すXQQコーチでしたが、戦いを重ねる中で成長していくZETA DIVISIONは苦しい状況からどこまで勝ち上がれるのでしょうか。ローワーから這い上がるZETAチャレンジに期待しましょう。リベンジマッチとなるLOUD戦は、9月8日(木)午前2時からスタートです。