プロゲーミングチーム「Crazy Raccoon(以下、CR)」に所属するrion選手が、プレイヤーとしての『VALORANT』競技シーンを引退し、再びストリーマーへ転向することを発表しました。
そんななか編集部は、10月9日(日)に東京・有明ガーデンシアターで行われた「RAGE VALORANT 2022 Autumn」の終演後、rion選手へインタビューを実施。『VALORANT』を題材にした同イベントでは、Day1には人気ストリーマーが。Day2にはファン投票で決められたプロゲーマーが集結し、エキシビションマッチやトークセッションなどが行われました。
rion選手は、「鬼に金棒」チームとして、同じチームのneth選手、ZETA DIVISIONのTENNN選手、NORTHEPTIONのMeteor選手、そしてDRXのRb選手とともに「VCT オールスターマッチ」に挑み、見事な連携で3試合全ての試合に勝利します。そんなイベントの感想を交えたインタビューで飛び出したのが「選手引退」という衝撃の一言。
これからrion選手はどんな歩みを進めていくのか、そのインタビューの模様をお届けしましょう。
――本日のイベントお疲れ様でした。見事な全勝おめでとうございます!
rion:いやぁ、すごかったですね。チームが発表された時点で「強いな」と思ってましたけど。
――夢のようなチームでしたね。
rion:これまで一緒にプレイしたことが無いなか、「こういう感じなんだろうな」という想像はしていたんですが、実際にプレイするとその通りで、とても楽しいチームでしたね。
――あえて想像と違ったところを挙げるなら、どんなところですか?
rion:想像以上にフィジカルが高かったなど、すべて良い方向に違う感じでしたね。
――連携も、事前に練習していたんじゃないかと思うほど噛み合っていましたよ。
rion:本当ですよね。とてもやりやすかったのが、僕が「こうしよう」みたいな提案をすると実際にできてしまうんです。ボイスチャットの雰囲気も良くて、盛り上がっていましたね。
――neth選手がナイフキルしたシーンは今日一番の盛り上がりと言えるほどでしたが、あのときはどんな雰囲気でしたか?
rion:「マジか!」「そこでナイフ出して振るか!」みたいな(笑)。あの場面でナイフを振る思考回路はよくわかんないですけど、僕は思わず立っちゃいましたからね(笑)
――特に印象に残ったメンバーはいますか?
rion:やっぱり韓国勢ですね。nethやTENNNなど、日本人選手たちはみんな「合わせ」が得意で、なにやらせても上手いタイプですが、RbやMeteorは、フィジカルがとても強くて、どんなシーンでもワンチャンス生み出し、切り開いてくれるんですよ。それを支えるサポートもみんな上手くて、本当に夢のような時間でしたね。
『VALORANT』から離れて満喫する私生活
――オフシーズンに入りましたが、どんなことをして過ごしていますか?
rion:今までは『VALORANT』以外のゲームに触らないことが当たり前でした。もともと僕はいろんなゲームをプレイするタイプですが、シーズン中は『VALORANT』一筋で、他のゲームを全く起動せず、一日通してずっと『VALORANT』をプレイしていたんです。オフシーズンに入ってからは時間ができたので、まったり他のゲームをプレイしたり配信したりできています。もちろん『VALORANT』も、欠かさずプレイしていますね。
――ゲーム以外のところでいうと、DJイベントへの参加や、実際にDJブースでプレイするような様子もSNSに投稿していましたよね?
rion:いろんな繋がりがあって、DJの知り合いが多いんです。たまにクラブなどに関係者として遊びに行くことがあるんですが、そこで見たDJがめちゃくちゃカッコよく見えて憧れちゃいました(笑)。その後、知り合いと一緒にDJを練習する場所へ行って、ちょっと触らせていただいたりとかしてました。防音室と最新の機材がある「スタジオノア」とか、都内に点々とあるので、そこへ音源を持っていって、いじってみるという感じです。面白いですよ。
――その他にも、SNSでは「オートファジー」を実践してると投稿していましたが、効果ありましたか?
rion:まだブクブクしてるんですけど、68.3kgから64kgまで痩せました。オートファジーというよりは、はじめしゃちょーさんがやっていた「一度食事したら16時間食事しない」というのを実践してましたね。
ストリーマーへの転向を決意した、リーグ落選
――来年はVCTが大きく変化しますが、そのひとつである「インターナショナルリーグ」が発表されたときは、どんなお気持ちでしたか?
rion:まず、フォーマットが発表されたときには、一年間海外へ行く必要があるんだ、というところでした。世界で戦っていく以上、練習はこれまでよりもキツいだろうし、どういう状況になるのかあまり想像ができなかったというのが正直なところです。
そして、CRが出場できないことがわかったときは、自チームが大きなチームだと思っていたからこそインターナショナルリーグへ出場できるだろうな、という慢心があったので、驚きましたね。
――どのような形で、参加できないことが伝えられたんですか?
rion:公式発表前日にチームのみんなで集まって「CRは行けなくなりました」というのを聞きました。
――みなさんの反応はどうでしたか?
rion:どうしようもできないことなので、どう言っても仕方ないという話しになりましたけど、僕としては、リーグへ参加できないことでモチベーションが下がってしまったこともあり、選手を引退してストリーマーになることを考えました。その後、一週間くらい考えて、引退を決断しました。
――それは初めて伺ったのでとても驚いています。ツイッターでは「大きな決断をした」と投稿していましたが、引退のことだったんですね。
rion:そうです。オーナーに副社長、マネージャーや、配信者の友達に相談して決めました。
――そのうえで、今年の5月に選手へ復帰してから、今年のVCTをどのように振り返りますか。
rion:10代のころから競技シーンで刺激を受けて育ってきたので、復帰したときはとても楽しくて、競技シーンが居場所だな、と思いましたね。でも今後を見据えたとき、楽しいという気持ちだけでは、そこでキャリアは止まってしまうとも思いました。
僕は、もっといろんな人に知ってもらいたいという目立ちたがり屋な部分もありますし、前にストリーマーだった期間が短かったこともあり、いろんなことをやりたいという思いがあるんです。選手を続けたい気持ちもありますが、年齢も年齢だし「やれることはやったかな」という感じはあります。
――ご自身のなかでは落とし所は見つけているという感じですか。
rion:そうですね。コンビニとか行っても「何を買おうかな」とずっと悩んじゃうんですよ。それで結局あんまり食べたくないもの買っちゃうんです。「これでいっか」みたいに妥協的に決めた結果「これじゃなかったな」みたいな感じにはなりたくないので、ストリーマーになると決めたからには、更にステップアップしていけるように頑張りたいと思っています。
――最後にひとこと、ファンへメッセージをいただけますか?
rion:これからストリーマーとして生きていこうと思っています。これまで選手としての僕を応援してくださったことはとてもありがたく、応援の声があったからこそ、5月には選手として復帰できました。本当にありがとうございます。これからはストリーマーとして、いろんな人に僕のこと知ってもらえるように頑張っていくので、よかったらこれからも応援していただけたらなと思います。
――貴重なお話、ありがとうございました。
ストリーマーとして生きていくことの決意を、どこか晴れ晴れとしたような表情で語る姿が印象的なインタビューとなりました。rionさんが今後ストリーマーとしてどのような活躍を見せてくれるのか、注目したいところです。