2023年1月、キャスターとして知られるふり~ださんは、7年担当してきた『レインボーシックス シージ』を卒業。『VALORANT』の国内競技シーン「VALORANT Challengers 2023 Japan」のキャスターとして新たなスタートを切りました。
6月3日・4日に行われたPlayoff Finalsでは、Day2で司会・進行として『VALORANT』オフラインイベントへ初の登壇を果たしました。そこで今回はイベント出演直後のふり~ださんにインタビューを実施。『VALORANT』の国内競技シーンに一区切りついた今の印象や、『レインボーシックス シージ』との違い、今後の課題などを伺いました。
◆『VALORANT』と『シージ』の違いは?
――ふり~ださんにとって本日は『VALORANT』のオフラインイベントにおいて初の登壇となりました。実際に観客の前に立った印象はいかがでしたか?
ふり~だ:イベント出演という意味では7~8年経験してきましたが、今回はやはり僕にとってひとつの節目であり「やっと立てる……!」という嬉しい思いがありましたね。
――今回は実況ではなく、入場コールなどを行う司会というポジションでしたね。
ふり~だ:これまでの『VALORANT』大会の選手コールは、比較的おとなしめという印象を持っていました。以前のゲームのイベントでは「プロレスノリ」みたいなものが求められる場面が多くて、ちょっとがなるような、喉を震わせる発声をするようにしていたんです。
そして今回、ライアットゲームズの担当者さんにもOKをもらった上で、リハーサルで試してみたら、「こんな感じでいくの!?」とみんな驚いている様子でした。今のところスタッフさんなどから「良かった」と言っていただけていますが、コミュニティにとってはいきなりのことだったので、受け入れられているのか不安ではありますね。
――やはり新しいコミュニティへ踏み入れるには気を遣うんですね。
ふり~だ:違う文化を入れて良いものか、というのは実況でも同じです。『レインボーシックス シージ』では人数のことを1枚、2枚。1onXは1vXと呼ぶような違いがあります。これまで『VALORANT』で使われてきた言葉を使わないとリスペクトが足りないと感じる方もいらっしゃると思うので、上手くバランスを取る必要があると思っています。
――他に『レインボーシックス シージ』と違うな、みたいなものありますか。
ふり~だ:『レインボーシックス シージ』の国内シーンと比べて、『VALORANT』には海外のプレイヤーが多いということですね。試合後のインタビューが大変だったりします。仕方のないことですが、通訳も毎回同じ方とは限りませんし、ゲームに対する理解度が分からない場合もあります。今日は直前に質問やゲームについて話し合うことができたのでスムーズにできました。
――『レインボーシックスシージ』と『VALORANT』では、コミュニティにどのような違いを感じますか?
ふり~だ:タイトルがF2P(Free to Play)か否か、これは明確に感じます。『VALORANT』ではゲームをプレイしていない方や、ストリーマーから繋がっている方がとても多く感じます。今日もそうですし、パブリックビューイングなどに参加していても思いますね。もちろんゲームを熱心にプレイしている人もいらっしゃいますが「大会を見ることが好き」という、いわゆる『VALORANT』箱推し(*1)な方が多いです。
(*1)箱推し...特定の単一なものでなく、グループ全体が好きという意味。この場合は特定のチームというよりは『VALORANT』全体を推していることを指す)
一方『レインボーシックス シージ』は、ゲームをプレイもしている人がとても多いです。その上でイベントに参加するという流れがほとんどだと思います。どっちにも良い面があると思いますが、この違いはとても感じますね。
◆既にあるコミュニティに入っていく難しさ
――改めて、2023年のSplit 1から『VALORANT』に関わるようになっていかがですか。
ふり~だ:『VALORANT』自体はアカウントレベル400を超えるくらいプレイしているので、理解度は高いと思っています。でも改善する必要があるのは、コミュニティとの関わり方です。今日初めてウォッチパーティにお邪魔して、ストリーマーのrionさんやadeさんと直接お話をしたんです。このようなコミュニティを牽引してきた方々に対して上手く関わりが持てていないことが課題に感じています。
『レインボーシックス シージ』は競技シーンの起ち上げ段階から関わっているのに対し、『VALORANT』はある程度できあがったコミュニティに関わる形ということもあって、そこを改善していくと、僕の実況の良さもどんどん上がっていくと思います。
この数ヶ月は今日も含めて、やれることはやったと思っています、次のステップはコミュニティとの相乗効果、シナジーを持てるようになっていきたいと考えています。
――前のタイトルとは違った苦労があるんですね。ところで、タイトルを移行したことへの反響はどうでしたか?
ふり~だ:いろんな声がありました。なかには、何かを下げるような言い方をする方もいましたが、どのコンテンツに対しても良くないことなのでやめていただきたいというのが本音です。タイトルの移行は、『レインボーシックス シージ』に対してできることをやりきった上でのチャレンジです。今でも同作のアップデート内容のチェックや大会観戦もしていますし、「シージコミュニティ」を無碍にするつもりは全くありません。素直にみんなで応援していこうぜ!という気持ちです。
今日の入場コールもそうですが、会場が盛り上がる、すると選手たちの士気も上がる、それによって良いパフォーマンスが出ることを僕は常滑(*2)を通じて知っています。SNSや配信コメント、ファンのサポート選手たちが気持ちよくプレイできる環境を作り上げていって欲しいですし、僕らキャスターへも同じです。
(*2)常滑...2019年11月、「レインボーシックス シージ プロリーグ シーズン10 ファイナル」が愛知県常滑市で開催。ふり~ださんは実況として関わっている。
――ありがとうございました!
7年間務めた『レインボーシックス シージ』から『VALORANT』へ移行し、コミュニティへのリスペクトを持ちつつ丁寧に歩み寄る姿勢が印象的です。SCARZの優勝をもって、一旦の区切りがついた国内競技シーン。Masters Tokyoやアセンショントーナメント、Championsなどが控えていますが、ふり~ださんがどのように登場するのか、期待が高まります。