■シンプルかつトンデモ、だけどクセになるゲーム性
野球ゲームと聞いて、苦手な方は敬遠してしまうかもしれません(野球だけに)。ですが、ゲームシステムは本格的な野球ではなく、いわば「野球盤」に近いもの。投球は4つの球種から選び、パワーを調整するだけ。グレートゾーンでパワーを止めると、より強力な投球になります。
打つ場合は、画面をタッチするだけでバットをスイング。早めに振れば打球は左に、遅めなら右側に飛んでいくので、左右への打ち分けが可能です。ボールがホームベースの真上にきた時に打つとセンター(真ん中)に飛んでいくので、これを目安に左右への打ち分けを使いこなしましょう。
投手と打者の操作を簡単に説明しましたが、試合で必要なのはほとんどこれだけ、守備は全てオートで行ってくれますし、打球の結果は野手が捕球するか、最後方にあるパネルに当たった結果で判定。アウトから1~3塁打、ホームランまで、その結果は一目瞭然です。
「野手を操作してボールをキャッチ」「どの塁に投げるか決める」といった野手側の操作はないので、プレイヤーは投手と打者だけに専念できます。こうした省略の形式が野球盤に近いため、野球らしいゲーム展開をシンプルな操作だけで楽しめました。
しかも、野球は通常、1試合で9回裏まで行いますが、本作はいい意味で“トンデモ野球”なので試合は2回の裏まで。1試合にかかる時間は非常に短く、テンポの良さも抜群です。
また、プレイヤー側は常に後攻で、さらに1回表が終わって得点されている状態で開始。プレイするのは、1回裏と2回表、2回裏だけで済みます。ゲームプレイの負担を極力取り除くバランス感覚も、素晴らしい魅力のひとつです。
またゲーム性も、シンプルながらクセになる出来栄え。投手は、パワーゲージの“グレートゾーン止め”を成功させれば、強打者相手でもまず抑え込めます。ですが、わずかでも外してしまうと球が甘くなり、「しまった」と思った時には相手のバットがジャストミート。こうした、成功と失敗を指先ひとつで渡っていく感覚、悪くありません。
打者の場合は、どれだけいい当たりでもパネル次第でアウトになるので、打ち分けが非常に重要。しかしアウトになっても、打球で野手を吹っ飛ばす気持ちよさがあるので、その差し引きでストレスは少な目。トンデモ野球ながら結構考えられた作りだと感じました。
■今日という日を『FGL』で駆け抜けたい!
今回のプレイでは、1回戦からスタートし、現状でプレイできる決勝戦まで駒を進めてみました。その体験を振り返ってみると、『FGL』のプレイ全般が楽しく、心地よく遊んだひとときでした。
1試合ごとの時間が短いのでサクサクと進みますし、相手の選手を自分のチームに加入させられるので、お気に入りのサーヴァントを集めるため、ついつい繰り返しプレイしてしまいます。
しかもホームランを打つと、数十点もの得点になる時もあるので、常に一発逆転が狙えるのも嬉しいポイント。リアルな野球ゲームだと1点を返すだけでも一苦労ですが、こちらはそれなりに気が楽。野球盤テイストな豪快トンデモ野球だからこそ、本作でしか味わえない気持ちよさがありました。
攻撃にせよ守備にせよ、プレイヤーがしっかりと関わってゲームが進行。それでいて、極力簡素な作りになっているので、面倒な部分はほとんどなし。そして行き詰まっても、選手を育成すれば格段に戦いやすくなります。
手ごたえあり、テンポよし、育成要素で救済可能と、コンパクトながらほどよくまとまっている『Fate/Grail League』。1日限りで終わるのがもったいないと、素直に感じさせるゲームアプリでした。
今回は主にゲーム部分に触れましたが、各サーヴァントのイラストを見ているだけでも、かなり和んで癒されるので、鑑賞目的で触れるのもオススメです。
毎度お馴染みのリヨ氏だけでなく、「ぐだぐだ」シリーズの経験値氏、『FGO』で概念礼装などを手がけているちょこ庵氏やTAa氏、めばる氏など多数の面々が参加。概念礼装「クック・ハート」を手がけた際に話題となった、漫画家のなもり氏のイラストも見られるので、ファンの方はお見逃しなく。
サービスが始まったばかりの『Fate/Grail League』ですが、その終わりはもう目の前に迫っています。物語のラストを見届けたり、六香の実況に聞き惚れたり、サーヴァントを揃えてイラストを楽しんだりと、悔いのないように『FGL』をお楽しみください!
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