テスト段階であるにも関わらずSteamで人気を博す『Dark and Darker』ですが、海外メディアの報道より、かつてネクソンが開発していた「Project P3」の素材やアセットが流用されているという疑惑が浮上しています。
プロトタイプとされる「Project P3」とは
韓国メディア・This Is Gameによれば、『Dark and Darker』開発元であるIRONMACEのスタッフにはネクソンを懲戒解雇されたメンバーが在籍しており、同作のプロトタイプはネクソンの開発本部で作られていた「Project P3」という作品であるとのこと。その後コア開発メンバーがIRONMACEを立ち上げ、『DaD』として形作られたものと伝えられています。
「Project P3」という作品は2021年8月に発表されており(PRTIMES)、『DaD』と似たゲーム画面も確認できる海外報道も確認できます。しかし「P3」は一旦開発が中止され、チームメンバーを維持したまま「Project P7」というコードネームに切り替えられた模様。過去にThis Is Gameが行った取材では、「P7」はPvPvEミリタリーシムになったとされており、ダークファンタジー的なゲームから大きく方針転換されたようです。
開発元は否定。『Dark and Darker』の大半は社内開発、一部アセットはUEマケプレで購入
この疑惑に対しIRONMACEは、公式Discord(該当メッセージ)にて疑惑を全面的に否定。『DaD』のコードはゼロから書かれているほか、アセットのほとんどはUnreal Engineマーケットプレイスにて購入したもので、その他のアセットやゲームデザインに関する資料はすべて社内で作成されたものであると述べています。
しかしその後のThis Is Gameの取材で、P3の発表直前に同プロジェクトを率いていたリーダーが懲戒解雇されており、加えてチームメンバーの一部が退社したことが伝えられています。リーダーが懲戒解雇された理由は、リモートワークに伴い一定期間のみ許可されていたゲーム全体のリソースやアセット、ビルドといった重要なデータを期間が過ぎても持ち出していたことに加え、チームメンバーに「P3はリリースされないから、同様のゲームを準備して発売しよう」という虚偽の情報を伝え集団退職を提案していたことなどとされています。
海外メディア取材で伝えられる『DaD』開発元・IRONMACEの経緯とは
さらにその後、匿名のIRONMACE内部事情に詳しい人物に対するインタビューも公開されます。このインタビューによると、ネクソンは小さなプロジェクトに経営陣が干渉しないという文化があったものの、『メイプルストーリー』の確率操作事件を発端に社内チェックが行われたとのこと。その過程で「規模を拡大しよう」という方針転換を余儀なくされ、大きな制約を受けることになり、これに反発する形でリーダーを含む一部のメンバーが解雇・退社してIRONMACEを立ち上げたとされています。
また、『DaD』には持ち出したアセットを使っていないというのは事実であり、懲戒解雇の時点ですべてのデータは削除、警察の捜査でもそういったデータは出ていないといいます。
ネクソンは、解雇・退社したIRONMACEのメンバーを不正競争防止法および秘密保護の違反容疑で京畿南部警察庁で起訴。現在も警察が引き続き捜査中であるとのことです。