大手グローバルeスポーツ組織「Gen.G Esports」のCEO・アーノルド・ハー(Arnold Hur)氏が、海外掲示板「Reddit」でAMA(Ask Me Anything=なんでも質問スレッド)を行い、eスポーツビジネスやチームについて語っています。その中で特に興味深いのが“eスポーツの冬”についてです。
「Gen.G Esports」は、ロサンゼルス・上海・ソウルを拠点に活動するeスポーツ組織であり、近年は『リーグ・オブ・レジェンド(League of Legends)』部門や、『オーバーウォッチ』部門(Seoul Dynasty)などが活躍を見せています。また、『VALORANT』部門にはかつて日本チーム「NORTHEPTION」のメンバーであったMeteor選手が移籍したこともあり、名前を知っている方も多いのではないでしょうか。
2021年12月からGen.GのCEOを務めるハー氏は、LCK(『LoL』の韓国リーグ)におけるビジネスの崩壊と、財政面での危惧についての質問を通じて、「“eスポーツの冬”が来るとは考えていたが、ここまで寒いとは思わなかった。今後2年間、世界の30%以上のチームが成功しないだろう」と自身の見解を述べています。
リーグについては、「放映権料やスポンサー収入に依存するリーグは生き残れないだろう」とし、タイトルのパブリッシャーがゲームを通じた収益機会を増やしていくことが求められていると語っています。現在は世界的に見て消費者ブランドがマーケティングコストを削減する傾向にあり、そのなかで顧客へのアプローチとして実験的なものであるeスポーツへのスポンサーは真っ先に削減される対象になると危機感を示しています。
また、他の地域と比べ、LCKではトッププレイヤーへかかる費用は高騰を見せており「スポンサー収益額のトップを争うGen.Gですら、スポンサー収益だけでまかなうことが難しい」と、トッププレイヤーを保有し続ける難しさを語っています。そして、パブリッシャー、リーグ、チーム、プレイヤーのそれぞれがリスクを負ってビジネスモデルを改革して行く必要があるとしています。
日本では徐々に盛り上がりと地位を確立させつつあるeスポーツ業界ですが、海外の一部チームには厳しい冬が訪れているようです。