個人ゲーム開発者のShasaur氏は、自身の制作するゲーム『Heard of the Story?』がAIコンテンツの利用を理由に販売停止処分を受けたことを明らかにしました。
一部のAI機能を理由に販売停止処分へ……異議申し立て手段もなし
Redditの投稿によると、Shasaur氏は3か月ほど前に『Heard of the Story?』のテストビルドへChatGPTを利用したNPCの会話機能を切り替え可能なオプションとして搭載。1か月前にゲームを早期アクセスレビューに提出したところ、Steamからチームによる追加の評価が必要でありAI に関する詳細を求めるとの返答があったそうです。
これを受けて、Shasaur氏は“ChatGPTを利用したNPC会話機能”の内容と、直接的にAI機能が含まれているわけではない旨を説明し、さらに同機能を排した別バージョンも作成していました。しかしその後1か月間、開発者側からの問い合わせにも反応がないまま、9月2日より作品が販売停止となったとのメールを受けたといいます。
Shasaur氏は本作に3年半にわたって時間と資金を注ぎこんできたといい、今回の決定で本当にショックを受けたと語ります。最後に送られた通知のメールは「申し訳ありませんが、アプリを廃止させていただきます」「この件はこれで完了ですが、支払ったアプリケーションの金額は返還可能です」との短い文章があるのみで、異議申し立ての手段もなかったとのこと。
氏はサポートへ新しくメッセージを送ってはみたものの、返答は期待できないと考えているようです。Redditのコメントでは作者に対し、他のプラットフォームでのリリースの道や、Modとしての同コンテンツの別配布といった対応が取れたなどの反省点の指摘が集まり、作者も感謝を示しています。
「AIとゲーム」の関係に影響を与えるか
Steamを運営するValveは以前より学習元の不明なAIに対して警戒していて、今回の件もこの基準に照らせば該当し得るのは確かですが、一方で以前にはAIの排除を目的としているわけではないとの声明もありました。『Heard of the Story?』はAIが主体の作品ではなく、開発者側も充分な受け答えをしていたことから、Valveの対応は頭ごなしだったと取られても仕方がないでしょう。いずれにせよ、作者の挙げた声が広まることは、AIとゲームの関係の在り方を定めていくうえで重要な意味を持ちそうです。