全世界が待ち侘びていた対戦格闘ゲームシリーズの最新作『ストリートファイター6』が発売されてから、世界中で大会が開かれたり、配信でエキシビションマッチが開催されたりしています。本稿では、そんな『ストリートファイター6(以下、『スト6』)』の大会をざっくりと振り返りつつ、今からでもチェックしておきたい激アツベストバウトをいくつか紹介したいと思います(尚、選手名は敬称略とさせていただきます)。
この世で一番強いのは誰だ? 「EVO 2023 ストリートファイター6」部門 GRAND FINAL
まずは何が何でも観て欲しい世紀の一戦をご紹介します。こちらは「The Evolution Championship Series」という毎年ラスベガスで行われている対戦格闘ゲームの世界大会です。『スト6』に限らず、『GUILTY GEAR -STRIVE-(ギルティギア・ストライヴ)』や『鉄拳7』など、いくつかの種目が存在します。
EVOの面白い点は、「どんなプレイヤーでも参加できる」というところ。その結果、『スト6』は7000人以上の参加者が集まったとのこと!
そんな7000人の思いを背負った試合が、決勝戦……ANGRY BIRD(ケン)対MenaRD(ブランカ/ルーク)。アラブ首長国連邦出身で、優勝候補として名高い実力者ANGRY BIRDと、ドミニカ共和国からやってきた純正PSコントローラ―使いのMenaRDが激突する形です。
正確無比かつアグレッシブなANGRY BIRDのケンと、ブランカとルークを使い分ける多彩なプレイが売りのMenaRDの激闘は、これからも長く語り継がれることでしょう。途中のアクシデントとそれに対する紳士的な対応も素晴らしいです。
若きJP使い翔の大活躍を追いかけろ! 「Gamers8: The Land of Heroes 2023 ストリートファイター6」GRAND FINAL
「Gamers 8」は、サウジアラビアで開かれる招待制の大会です。なんとEVOのわずか4日後に開かれました。32名のプロゲーマーが中東の地で鎬を削る様は観応え抜群で、いいから全試合観てくれと言いたくなるところですが、絞りに絞るならばこちらも決勝戦をオススメします。ANGRY BIRD(ケン)対翔(JP)という組み合わせです。
EVOから向こうずっとノリノリのANGRY BIRDに対して、「Red Bull Kumite 2023」という南アフリカで開かれた大会で凄まじいスキルを見せつけた翔……波動昇竜のスタンダードな性能を持つケンと、遠距離からのハメ技で相手を翻弄するJPというのも面白いマッチングですね。
特に見所は当日のX(旧:Twitter)のトレンドにも入った翔の「ジャストパリィ」です。跳びは落とせるわ……ガードさせて有利だわ……というケンの十八番「龍尾脚」に対し、翔が出した解答は全部見てからパリィでした。バッチバチにゾーンに入ったアスリートの集中力に、開いた口が塞がりません!
クラシックとモダンの使い分け! 「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2023」1st Stage 第3節
続いてはCAPCOM公式のチームリーグ戦「ストリートファイターリーグ」からの抜粋です。今までに紹介した大会と異なり、本大会はチーム戦なのがポイント。事前に両チームが先鋒・中堅・大将を一人ずつ選出し、選手と使用キャラクターが伏せられた状態でマッチアップを行います。相手の使用キャラを読んで有利なキャラをぶつけるといった盤外の読み合いがあるのも面白いところですね。
現時点で、本大会において最も面白かった試合は、DetnatioN FocusMe所属ふ~ど(ダルシム)対Saishunkan Sol 熊本所属Shuto(マリーザ)でしょう!
長いリーチとトリッキーなワープで相手を牽制し、ついでにヨガの間違ったイメージを世間に流布したダルシムに対して、重たい一撃をぶちかまして一気にダメージを取るパンクラチオン系女子マリーザというこれまたワクワクするような組み合わせですが、それだけではありません。
なんと試合の途中でShutoが使用スタイルをモダンからクラシックに変更! ワンボタンで対空技や基本コンボが出る代わりに、火力が下がってコンボルートが狭まるモダンスタイルですが、まさか大会の途中でチェンジしてくるとは思いませんでした。その結果が吉と出たか凶と出たかは、ぜひその眼でチェックしてみてください!
キンバリーの可能性は無限大! 「CAPCOM Pro Tour 2023 World Warrior Japan #1」 GRAND FINAL
こちらもCAPCOM公式の世界大会。「CAPCOM CUP X」という名誉ある大会への出場権をかけて、名プレイヤーたちが激突します。
全体的にSFLやEVOではちょっと振るわなかった選手の素晴らしいプレイが観られるので、この大会も是非ともチェックしてもらいたいところですが、その中でもずば抜けて面白かったのがこちらの試合。名古屋OJABODYSTAR所属Oniki(キンバリー)対SNB所属Fujimura(ケン)。
突進中段やめくり、知らないと絶対当たる補正切りなど、ニンジャらしい多彩な攻撃手段が魅力のキンバリーですが、全体的な火力不足や無敵技がSAにしかないなどの理由で、トッププレイヤーからは敬遠され気味なキャラでした。
しかしながら、Onikiのキンバリーはそんな下馬評も何のそのといった具合で、筆者も初めて見るような連携やセットプレイをバシバシ決め、Fujimuraを圧倒します。全国のキンバリー使いの方は絶対に観るべきマッチと言えるでしょう。
令和格ゲーブームの火付け役! Vtuberとプロゲーマーの夢のコラボ! 「第1回 Crazy Raccoon Cup STREET FIGHTER 6」 決勝戦
最後は世界大会ではなく、プロゲーミングチーム「Crazy Raccoon」が主催するイベントを紹介します。といっても、CRカップと言えばもはやゲーム配信業界において知らぬ人はいないほど盛り上がっているイベントで、普段はFPSタイトルが中心でしたが、ここにきてついに対戦格闘ゲームの大会が開かれることとなりました。
本イベントの目玉は、何と言ってもプロゲーマーとVtuberが入り混じってチームを組んでいるところです。あんまり対戦格闘ゲームをやり込んでいないプレイヤーに対して、プロが丁寧にコーチングをしている場面などを多くの人が視聴し、「格ゲーってこういう感じなんだ」というのが伝わった良い試みだったかと思います。
色々な名言が飛び交ったイベントでしたが、やはり抜粋したいのは決勝戦でのウメハラ(ケン)対ふ~ど(ダルシム)ですね。
ウメハラと言えば、ギネスにも登録されている伝説のプロゲーマー。EVO2004でのJustin Wongとの激闘は「背水の逆転劇」と言われ、未だに語り継がれています。
対するふ~ども、人間性能最強と謳われる猛者で、『ストリートファイター4』では縦横無尽な活躍を見せています。グラビアアイドルの倉持由香と結婚されたのも話題になりましたね。
そんな二人がチームの期待を背負ってぶつかり合います。特にウメハラがバーンアウト且つ低HP状態をひっくり返した瞬間は、「令和版・背水の逆転劇」として各地で話題になりました。
「CAPCOM CUP X」や「ストリートファイターリーグ」をはじめ、これからもまだまだ盛り上がりを見せる『ストリートファイター6』。このビッグウェーブに乗り遅れないようにチェックし続けていきましょう!