人気配信者「柏木べるくら」さんに、初の『Dead by Daylight』有観客大会の感想&今後の展望を訊く…「国内の『DbD』ファンにとって新しいステップ」

オフラインイベント「DIC Tokyo series #0」の後に『Dead by Daylight』公認配信者である「柏木べるくら」にインタビューを実施。同作の黎明期から本作の魅力を発信し続けてきた彼に、イベントの感想や今後の『DbD』イベントシーンに期待したいことなどをお伺いしました。

コミュニティ インタビュー
人気配信者「柏木べるくら」さんに、初の『Dead by Daylight』有観客大会の感想&今後の展望を訊く…「国内の『DbD』ファンにとって新しいステップ」
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去る12月3日。LFS池袋 esports Arenaにて、非対称対戦型ホラーサバイバルゲーム『Dead by Daylight』の国内初となる有観客大会「DIC Tokyo series #0」が開催されました。

実況MCに顔芸さん、解説に柏木べるくらさんを迎え、2022年9月に結成されたプロチーム「LVGALPANDA」と人気ストリーマーチーム「OFFLINE」が、3ラウンド制の真剣勝負を繰り広げた本イベント。現地観戦チケットは、予約開始から10分で応募枠に達し、その抽選は十倍近い倍率に。さらにはオンライン同時視聴数も3000人を越すなど大盛況を博しました。

今回は、そんなイベント会場の中心で熱戦を見届けた柏木べるくらさんにインタビューを敢行。世界に約50人しかいない『Dead by Daylight(以下、DbD)』公認配信者であり、その黎明期から本作の魅力を発信し続けてきた同氏に、その感想や今後の『DbD』イベントシーンに期待したいことなどをお伺いしました。

ーー長時間のご出演お疲れ様でした! まずは国内初の有観客大会「DIC Tokyo series #0」を終えて、率直な感想を教えてください

柏木べるくらさん(以下、べるくら):ありがとうございます。1対4という不釣り合いなシステムであることから、競技性が高いとは言いづらい『Dead by Daylight』がここまで進化したのか!と、不思議な達成感と高揚感を覚えましたね。それは選手の方々はもちろん、観覧に来てくれた方々にも感じてもらえたと思います。

ほかの競技性の高いタイトルをウォッチしている人は慣れていることかもしれませんが、国内の『DbD』ファンにとっては新しいステップになったのではないでしょうか。

ーーこれまで経験されてきたオンラインイベントでのMC・解説と比べて、オフラインはどんなところが違いましたか?

べるくら:やっぱり、選手の顔を見ながら実況できるところですかね。どのようなテンションでプレイしているのかが見て取れるので、いつもより熱が入った気がします。そして、その選手たちを応援しに駆けつけている観客がいるので、身が引き締まると言いましょうか……オンラインであればもっと砕けた感じでいけるんです。

それは我々MCだけではなく選手もそうで、観客も含めた全員がオフラインならではのパフォーマンスを出せていたと思います。なにより『DbD』で歓声が上がり、それを間近で感じられたことが嬉しかったですね。「来たな……!『DbD』!」って感じで(笑)

◆意地と意地のぶつかり合いだったオフラインの激戦

――べるくらさんがお話しされたとおり、すごく熱狂に満ちたオフラインイベントだったと思います。そんななかで、印象的なシーンや選手を挙げるならどこでしょうか?

べるくら:やはり最後のラウンドですね。チーム「LVGALPANDA」が、ここから3人以上脱出をしなければならないというプレッシャーのもと、チェイスをしなければならなかった場面です。キラー側のKAMETARO選手の押さえつけるようなテクニカルな動きに対して、そこまで耐えれるのかってくらいに攻撃に耐えながら、生き残っていくというチェイスを後半まで続けていましたよね。

もうスタッフさえも「あ、終わったな」とカメラを切り替えてしまうくらいの絶望的状況だったにも関わらず、“まだ何かしらあるぞ”というのが『Dead by Daylight』の面白いところで、この場面は「ここで踏ん張らねば!」というLVGALPANDAと、「絶対に完封してやる!」というOFFLINEの意地を感じられましたし、多くの人に見てほしい試合内容になりましたね。

――確かに最後の試合は、LVGALPANDAの「決死の一撃」から復帰して「デッド・ハード」という流れは大変興奮しました。カメラが切り替わった後は「解放」でさらに……ですよね?

チーム「LVGALPANDA」

べるくら:そうですね。「解放」で抜け出して攻撃に耐え、最後の最後までハッチを目指すと。しかも「決死の一撃」の前も「親近感(仲間意識)」「安心感」と、ひとりの命をなるべく間延びさせるという……最後の選手インタビューでも「ちゃんと計算に入れてやっていた」と話していて、さすがだなぁと思いましたね。

それこそパークのことがよくわかっていない観客・視聴者でも、盛り上がれたような場面で、オフラインだからこその一体感がありました。あの瞬間は会場のみんなが同じ思いを持っていたと言いましょうか、LVGALPANDAに生き残て欲しいし、KAMETARO選手にも勝ってほしいという空気感が印象的でした。

――本当に会場全体は盛り上がっていましたよね。ところで今回の試合はOFFLINEが勝利しましたが、なにが勝敗を決めたポイントだと思いますか?

チーム「OFFLINE」

べるくら:OFFLINEのキラーの“殲滅力”ですね。やっぱりキラーってひとりでプレイしなければならないので、すごくプレッシャーがかかるんですよね。最後のインタビューでKAMETARO選手本人が言っていましたが、手が震えるほどに。

でも、それを感じさせないような、練習の積み重ねによる安定感を感じましたね。パークを練りに練ってチームと作り上げたものでもあり、KAMETARO選手の経験値からなる判断力の賜物でもあって、すべての試合で全滅させるまで至ったんじゃないかな。

――対して、残念ながら敗れてしまったLVGALPANDAの印象についても教えていただけますか?

べるくら:全体としてサバイバーのプレイレベルが相当高かったですね。キラーも勿論うまかったんですけど、サバイバーの結束力・チームプレイという点で相当に技術が高かったです。

『DbD』はランダム要素の多いゲームなので、“パークを計算したタイミングで使う”というのが難しいんですよね。ゲーム実況をやっていて感じるんですけど、あれやこれを使うぞ!と想定しておいて、それが刺さることってなかなか無いんです。でもLVGALPANDAは、大会でやってのける……というのがチームの力なのかなと思いました。

そしてそれは一戦目から現れていたので、試合結果はどっちに転がってもおかしくなかったですね。まさに“勝負は時の運”だったと。

――結果だけ見ると完封負けではありますが、実力差がそんなにあるわけではないんですね。

べるくら:ちょっと噛み合わせがズレるだけで、大きく展開が変わってしまうんですよね。サバイバーのチェイス力はすごく高かったので、また少し嚙み合わせが違っていたら、すごい脱出も何回かは見れたんじゃないかなと思いますね。

――確かに一戦目、LVGALPANDAがサバイバーの際に、最終的にハッチ脱出をしようとして、ハッチがゲートが見える場所に出現してしまうという場面もありました。

べるくら:あれは運が悪かったですよね。その結果ポイントが積み重ねられず、3ラウンド目に3人以上脱出しなければいけなくなり……、もちろんプレッシャーがあったから良いプレイができた面もあるかもしれませんが、余裕があることでもっと良いプレイができたかもしれませんよね。

――ありがとうございます!今回のイベントに関しての質問はこちらで最後なのですが、もし“べるくら賞”のようなものを授けるとすれば、どのプレイでしょうか?

べるくら:そうですね……やっぱり最後の「親近感(仲間意識)」「安心感」から「決死の一撃」でチェイスをしたところですかね。あのコンボは出そうと思っても出せない、少なくとも私がキラーだったらココロが折れるようなプレイなので(笑)

それにしても、あそこは追いたくないですよね……。会場のみんなもそう思うところを、(KAMETARO選手は)全滅させたという……。サバイバー側だった選手たちは「本当はもっと長生きできたはずで、反省点が多かった」と言っていたんですけど、「充分に生き残ってるよ!」っていうか、さらに先へ行こうとしているポテンシャルも考慮して、あのプレイですね。

◆フォグウィスパラー(公認配信者)であることの“責任”

――それでは、以降はべるくらさんに関する質問をさせていただきますね。今回を含めて『DbD』のMCや解説でご活躍されていますが、今後もそのような活動は積極的に続けていきたいという思いはあるのでしょうか?

べるくら:はい、基本的にはそう思っています。『Dead by Daylight』のコミュニティが盛り上がってほしいので、本作のイベントはもっともっとやって欲しい。

コラボカフェのようなものも良いですが、コミュニティという観点で言えば、競技シーンは欠かせないというのを、今回のオフラインイベントを通して痛感しましたし、そういう『DbD』の楽しさを広めるお手伝いができれば嬉しいなと思うので、色々と積極的に関わっていけたらなと。

――イベントでMCを務めた顔芸さんも最後に、今回を通して色んな方に競技シーンに興味を持ってもらいたいと話していましたね。

べるくら:その通りですね。それと、顔芸さんはもともとは選手で、現在はMCをされているという……ひとつの活路を見出された方なので、個人的には彼にもっともっと活躍してほしいですね。

――べるくらさんは日本では数少ないフォグウィスパラー(公認配信者)ですが、それに選ばれてから配信活動をするうえで意識が変化したことはありますか?

べるくら:それはありますね。例えば、私が言ったことが公式の見解だと捉えられることが多いんですよ。決してそうではないんですけど。なので、誤解を招いてしまうような表現、言葉選びには気を付けるようになりましたね。

さらに言うとフォグウィスパラーになってからは、“正しくエンターテインメントを提供したい”という意識を持つようになりました。日本の『DbD』のコミュニティを、カナダからウォッチしている開発会社Behaviour Interactiveに、「日本は盛り上がっているんだ!」というのを正しく見せるために導いていきたいですね。

――『Dead by Daylight』国内シーン全体のことを考えられているんですね。

べるくら:公認でも何でもない時はそこに責任なんてないし、自由にやれはしました。別に日本で盛り上がらなくても、世界で盛り上がってればいいやという雰囲気ですらあったと思います。でも、せっかく認めていただいたからには、責任感を持って表現していきたいですね。

◆べるくらさんが考える『Dead by Daylight』が長く愛される理由

――ところで本作は2022年6月に6周年を迎える長寿タイトルと言えますが、これだけ長く愛される要因はどこにあるのか、べるくらさんの考えを聞かせていただけますか?

べるくら:これはやっぱり、”リプレイ性の高さ“だと思うんですよ。1試合の長さが平均13~14分くらいなので、結構サクサクとプレイできます。かつてはロードが長かったこともあったんですが、いまはマッチングも早いので、リプレイのしやすさがどんどん増しています。

そして同じシチュエーションがほとんど存在せず、自分の行動次第でどんどん展開が変わってしまう……人間性に訴えてくるものがあるんじゃないかと思っていまして、ここで味方を見捨てるべきなのか?それとも自分だけが脱出すべきなのか?自分の命の代わりに誰かを逃がすのか?……みたいな“自分へ問いかけてくる”というような瞬間がたくさんあることが、大きな魅力なのではないでしょうか。

誰かの身代わりになるような場面が、大会だけでなく野良試合でも多々起きますし、その度に感情が揺さぶられますよね。やっぱり感情を引き出すゲームが長生きすると私は考えていまして、「悔しい」「悲しい」「嬉しい」……選んだ行動に色んな感情が紐づくのが、長生きの理由のひとつだと思いますね。

――なるほど……!

べるくら:それともうひとつあります。それは「鬼ごっこ」「かくれんぼ」という、子どもの頃に誰もがやったことがある、ごく基本的なルールであるからこそですね。もちろんそれに色んな要素が加わって複雑なようには見えるんですけど、やっていることは「鬼ごっこ」と「かくれんぼ」なので(笑)。

コンセプトとしては、実際に映画に登場する殺人鬼もいっぱい登場するので、自分がホラー映画の主人公になったかのようにプレイできますしね。

――確かにやっていることは毎回「鬼ごっこ」と「かくれんぼ」ですね(笑)

べるくら:はい、同じことをやっているんですけど(笑)。その中身が毎回同じものではない。同じシチュエーションがほぼほぼ存在しないっていうのが、このゲームの大きな魅力ですね。

――今後もべるくらさんが配信活動を続けていくなかで、今後の展望と言いましょうか、“どのような思いで活動をしていくのか”についても聞かせていただけますか?

べるくら:私が活動開始当初からやろうとしていることは変わっていません。テクニカルな技術を求めるというよりは、ゲームの楽しさを伝えることをコンセプトに動画を作っているんです。上手い下手ではなく“こういう面白いことが『Dead by Daylight』では起こるんだ”というドラマを見せたい。だからこそプロセスが重要であって、結果は時の運と言いましょうか……ドラマを強調した動画コンテンツ作りを重視していきたいですね。

そして、それとは別に「べるくら杯」のようなミニ大会。タレントさんを呼んでのエキシビションマッチなどを通じて、プラスアルファの“楽しい”を追及していけたらと思っています。

――貴重なお話をいただきありがとうございました!最後に読者や、『DbD』ファンに向けてメッセージをお願いします。

べるくら:読者のなかには、まだ『DbD』をプレイしたことが無い人、(実況動画などを)見る専という人もいるかもしれません。今の『DbD』は初心者の方でも入りやすい、すごく遊びやすい環境なので、始めるなら今だと思います。

もちろん見ていても楽しいんですけど、自分がそこに飛び込むとすごくヒヤヒヤしたり色んな感情が引き出されるので、ぜひたくさんの人に先程お話ししたドラマを体験してもらいたいですね。


長時間にわたる「DIC Tokyo series #0」の解説の後にも関わらず、快くインタビューを受けてくれた柏木べるくらさん。同氏が話したように、同大会をきっかけに『Dead by Daylight』のイベント、そして競技シーンはステップアップしていくのでしょうか?

シンプルな「鬼ごっこ」「かくれんぼ」なのに、奥深いゲームシステム……そんな本作のゲームを越えた今後の展開に期待しましょう!

DIC-JAPAN公式サイト:https://dic-japan.cocosho.com/
べるくら企画(柏木べるくらさん)のYouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/@jakalopesoil7

<取材・執筆:HACHIWARE/撮影・編集:矢尾新之介

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