ELECOM GAMINGの中の人が駄々をこねて作られたワイヤードマウスの救世主―「まるで無線」な使い心地を作りだす『ケーブルリフト』を使ってみた

ELECOM GAMINGの中の人にも話を聞いてきました!

ハード レビュー
ELECOM GAMINGの中の人が駄々をこねて作られたワイヤードマウスの救世主―「まるで無線」な使い心地を作りだす『ケーブルリフト』を使ってみた
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去る先日、エレコム株式会社のゲーミングブランド「ELECOM GAMING」より、ワイヤードマウスユーザーの救世主……になるかもしれない、とある製品が発表されました。

その製品は革新的なセンサーを搭載しているわけでもなく、極上のフィット感を持つ形状でもなく、めちゃくちゃギラギラ光るといった特徴もありません。正直に言ってしまうと極めて“地味”なものです。それでも“ありそうだけどなかった”着目点から、発表の翌日には直販サイトの在庫が一時的に品切れになってしまうほどの人気っぷりを見せています。その名は……『ケーブルリフト』!

「こーれ最強です」とのこと。中の人もかなりのゲーマーらしい

今やゲーミング戦国時代。マウス、キーボード、ヘッドホンといった電子機器から周辺機器、食品に至るまで、もはや“ゲーミングと名乗ったら勝ち”とも言えるご時世ですが、本当に実用性があるものから、「果たしてこれはゲーミングなのか?」となる製品まで、その世相を反映するかの如く、市場には多種多様な製品が送り出されています。

そんななか、ELECOM GAMINGから発売されたケーブルリフトは極めて実用性があるタイプの製品。使用方法もまったく難しくなく、しかもお求めやすい価格で「ゲーミング製品だからって足元見やがって」となることもない、何とも“カユイところに手が届く”製品なのです。今回、エレコム株式会社より製品をお借りすることができ、有線マウスユーザーの筆者が実際に使ってみたので、そのフィールをお届けします。

ワイヤレス全盛期にあえてワイヤードを使う意義

ゲーミングマウスの定義は難しいところがありますが、強いてポイントを挙げるなら「ゲームプレイに適したデザイン」「高性能なセンサーを搭載している」「連続しての過酷な使用に耐えうる耐久性」といったところでしょうか。それに加えてここ数年で「ワイヤレス」「軽量化」というトレンドもあり、事実、各社のフラッグシップモデルはこのトレンドを抑えた製品が多いでしょう。

その一方で様々な理由から、ワイヤードマウスを使用するユーザーが一定数存在するのも事実です。例えば筆者は「本来はワイヤレスを使いたいが、使用しているマウスのワイヤードモデルとワイヤレスモデルの重量差」を理由にワイヤードマウスを使用していますが、「いちいち充電するのが面倒くさい」「ワイヤレスは信頼できない」「使っているマウスにワイヤレスモデルがない、もしくは極端に手に入りにくい」といった理由の方もいるはず。

安心感と引き換えに抵抗を作るケーブル。ワイヤードユーザーのズッ友

そんな質実剛健を地で行くワイヤードマウスの欠点。それは利点であり欠点であり、アイデンティティでもある「ワイヤードであること」。これに尽きます。断線さえしなければ、繋がっていればひたすら動くという安心感を与えてくれる頼もしいケーブルですが、同時に「ケーブルがマウスパッドと接触して抵抗を生む」「マウスを振った際にケーブルがバタつく」という問題も抱えており、そもそもケーブルが存在しないワイヤレスと比較すれば諸刃の剣とも呼べる存在です。

これらを軽減すべく、メーカーによっては柔軟なパラコードを採用したり、結束バンドでケーブルの根元を持ち上げる“ワイヤレス風”DIYをしてみたりといったユーザー側の努力もあり、ワイヤレス全盛期においても、ワイヤードユーザーは独自のポジションを持っています。

快適にワイヤードマウスを使うためのケーブルリフト

そうしたワイヤードマウスユーザーへ向け、ELECOM GAMINGから発表されたのがケーブルリフト。同時に発売されたケーブルバンジーとのセットもありますが、ケーブルリフト単体での販売も行われています。白と黒の2色のカラーリング展開がされており、バンジー&リフトセットはそれぞれ1つずつが同梱、リフトは黒と白が2個ずつ、計4個のセットになっています。ケーブルバンジーを使用していない方にはセット、すでに使用している方にはケーブルリフト単体での購入がオススメ。メーカー直販価格はセットが2,490円(税込)、リフトが980円(税込)です。

ケーブルバンジーはスプリングアームを備えた“よくある”タイプ。バンジー本体のケーブルを通す幅は実測で約5mmで、ゴムやシリコンの比較的細いケーブルから布製の太めのコードまで幅広いマウスに対応しています。適度な重さと接地面に装着された滑り止めにより、設置場所にしっかりと固定が行えます。実際の使用感も典型的な「ザ・バンジー」というものであり、操作フィールの向上が期待できます。

そして満を持して紹介するのがケーブルリフト。シリコン製で、への字の形をしています。対応ケーブル径は約直径3.8mm。使用方法は極めて単純。有線マウスのケーブルの根元に取り付けるだけ。その効果も極めて単純で、ケーブルの根元が持ち上がるだけ。「たったそれだけで何が変わるねん!」と言いたい気持ちも分かりますが、これが本当にすごい。

使用状況によって異なるので一概には言えませんが、従来のバンジーとこのリフトを併用することで、ケーブルがマウスパッドなどの操作面に触れにくい環境を作り出すことができます。これにより「マウスを振った際にケーブルが操作面に触れて起こる抵抗やバタつき」を大きく軽減できるという、マウスを激しく操作することの多いゲーマー(のワイヤードマウスを使っているユーザー)にとって非常に大きなメリットを得ることができます。

従来のバンジー単体でも大きな効果はありましたが、その性質上、どうしてもケーブルの根本付近がマウスパッドに触れてしまうという問題はつきまとうものでした。

解決策の一つが先述した「ワイヤレス風DIY」だったわけですが、そのような手間なく、取り付けるだけで効果を得られるという本製品は極めて画期的でしょう。重量も約1gと非常に軽量で、個人的には重量が増えることで生まれるデメリットよりも、操作感向上のメリットの方が上回ると感じました。ワイヤードマウスユーザーであればこそ分かる、“ありそうだけどなかった”、単純ながら何とも奥深い一品なのです。

たったコレだけだけど効果は大きいのです

ここで一つ注意点を。このように非常に優秀なケーブルリフトではありますが、製品自体に約2mm~3mmの厚み(場所により異なる)があるため、ケーブルが取り付けられている箇所が底面に近いマウスだと、マウスパッドなどの使用面にリフト本体が干渉する場合があります。

例えば筆者の手元にある「Logicool G502 Xゲーミングマウス」だと干渉し、実際に使用するには干渉箇所を削るなどの加工を必要としました。底面より3mm以上の隙間があれば問題なく使用できそうなので、気になる方は事前にチェックして購入しましょう。いや、確かに装着できるマウスを選ぶという欠点はあるけど、本当にすごいよこれ!

  • 注意事項
    製品の加工はメーカーのサポート対象外の行為です。本稿の記載内容を試す場合には、すべて読者自身の責任で行ってください。いかなる問題が発生した場合でも、メーカー各社、販売店、RUGs編集部、筆者は一切の責任を負いません。記載内容は原稿執筆時のものであり、今後の製品仕様について保証するものではありません。


また編集部は、東京ゲームショウ2022への出展や、今回のケーブルリフトの発売など、市場での存在感を大きくし続けている「ELECOM GAMING」の“中の人”にメールインタビューを実施しました。

──今回の製品(ケーブルリフト)は「担当者の熱意によって商品化した」と聞いていますが、その経緯を教えてください。

ELECOM GAMINGの中の人(以下、中の人):もともと弊社のVcustomシリーズが発売されるまでワイヤードマウスを使っていました。3年ほど前、コミュニティでワイヤードマウスをワイヤレス風に使う小技としてケーブルの根元を結束バンドで持ち上げるカスタマイズが流行し、私も同じことをしていまして。今年に入って社としてゲーミング製品に改めて注力する方針となり、周辺アクセサリの拡充に取り組む際、ケーブルバンジーの製品化の話が上がったので「それならば、ケーブルバンジーだけでなくリフトも是非取り組んでほしい」と私が駄々をこねて作ってもらいました。

──現在、お使いのマウスはワイヤードマウスなのでしょうか。

中の人:先の通り、現在はVcustomのワイヤレスマウスを使用していますが、ケーブルリフトが発売になったので、ワイヤードマウスに戻そうかと悩んでいる最中です。

──ELECOM GAMING製品でイチオシの製品を教えてください。

中の人:VM500 ワイヤレスゲーミングマウスです。東京ゲームショウ2022で発表したモデルで、自身も家でゲームをプレイする際に使用しているのですが、非常に使いやすいです。

日本人の平均的な手の大きさに合わせたサイズ感とアピールされるVM500

──マウスバンジーとのセット販売だけではなく、当初からリフト単体でも販売を行うという“かなり思い切った”製品展開だと感じます。今後もこうしたニーズに応えるような製品展開に期待してもよいでしょうか。

中の人:ニーズに応えられるような製品展開を目指していきます。

──本年度のTGSへの出展や、Vcustomシリーズの展開など、社としてゲーミング製品に注力していることが伺えますが、今後の製品作りやマーケティングなどへの意気込みを伺ってもよろしいでしょうか。

中の人:ゲーミングデバイスメーカーはまだまだ海外メーカーが国内市場の大部分を占めている状態です。長年デバイスを作ってきた日本のメーカーとして、日本のお客様の声に耳を傾け、より最適なデバイスを提供できるように努めてまいりますので、ぜひご期待いただければと思います。

ゲーミングデバイスとして定番のキーボードもラインナップ。テンキーレスや独自の日本語配列65%キーボードなども用意されています

突如現れた“ワイヤードマウス”の救世主はもちろん、今後の製品展開にも要注目のELECOM GAMING。気になった方は各製品や公式Twitterアカウントをぜひチェックしてみてください。

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