なんで日本は海外よりも発売が遅いの?ゲーミングデバイスの老舗「SteelSeries」CEOのエティシャン・ラバーニ氏に訊いてみた【独占インタビュー】

SteelSeriesの本国CEOであるエティシャン・ラバーニ氏氏にインタビューを実施。日本市場への印象や今後の展開のこと、デバイスのハイエンド化などさまざまな話が飛び出しました。

ハード インタビュー
なんで日本は海外よりも発売が遅いの?ゲーミングデバイスの老舗「SteelSeries」CEOのエティシャン・ラバーニ氏に訊いてみた【独占インタビュー】
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デンマークに拠点を構えるゲーミングデバイス専門ブランド「SteelSeries」は、“ゲーミングデバイス”を語るうえで欠かせない、先駆者的なポジションであり続けています。

7月26日(火)に行われた新製品記者発表&体験会では、同社CEOを務めるエティシャン・ラバーニ氏が自ら登壇し、自社の歴史や製品をアピール。今やeスポーツシーンでお馴染みであるヘッドセットやメカニカルキーボードなど、ゲーミング向けのさまざまな“世界初”を生み出してきたと説明しました(関連記事)。

新製品記者発表&体験会より

今回、日本向けに発表されたヘッドセット「Arctis Nova Proシリーズ」も、世界初のゲーミングパラメトリックイコライザ「Sonar Audio Software Suite」に対応しているほか、ゲーミングキーボード「Apex Pro Mini」「Apex Pro Mini Wireless」も、世界初のアクチュエーションポイント(キーが反応する押し込みの深さ)調節を可能にした「Apex Pro」がベースになっています。

「Arctis Nova Pro」

本稿では、そんな“世界初”を世に送り続けきたエティシャン・ラバーニ氏にインタビューを実施。日本市場に対するイメージや、なぜ海外と日本で製品の発売タイミングが異なるのかなど、ユーザー目線で直撃しました。

ーーよろしくお願いします。早速ですが、今回来日したきっかけや理由を教えてください。

ラバーニ氏:2019年以前は毎年来ていたんです。残念なことに新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって、最近はなかなか訪れることができなかったので、今回こういう機会を得られて嬉しく思っています。やはり日本のゲーマーやeスポーツチーム、ユーザーと直接会って現地で何が起こっているかを訊くのはとても重要です。新製品発表も目的のひとつではありましたが、一番は“皆さんの声を聞くため”に来たんです。

ーー日本のeスポーツシーンをどのように捉えていますか?

ラバーニ氏:スロースタートではありましたが、今となっては本当にたくさんの人たちが楽しんでいますよね。日本のプロチームも、少しずつ国際的なイベントで勝利を収めるようになってきて、とてもエキサイティングな状態だと思います。

ーーSteelSeriesとして、日本市場に向けてのブランド展開で重視していることはなんでしょうか。

ラバーニ氏:まだSteelSeriesの存在自体や、私たちのストーリーを知らないゲーマーが日本には多いと思います。他社と比べてどういったところが優れているかという点を含めて、SteelSeriesの製品について、もっと理解していただけるように努力しているところです。そのために、このようなインタビューを通したコミュニケーションも大切に捉えています。

その上で大切なのは、私たちがもっと“日本と関わっていくこと”です。SteelSeries Japanのメンバーをはじめ、eスポーツチームへのサポートや、インフルエンサーたちとのコミュニケーションも増やしていきたい。さらには、ゲームのパブリッシャーとももっと協力をしていきたいと考えています。

ーーゲームパブリッシャーとゲーミングデバイスとの協力関係というのは、具体的にどのようなものを想定されていますか?

ラバーニ氏:さまざまな形がありますが、まず私たちができることのひとつに「PrismSync」があります。これはゲーム内の情報に応じて、デバイスのライティング(照明)が変化するというもので、例えば『CS:GO』の試合中にHPが低くなったとき、デバイスが赤色に光るなどの演出ができます。他にも、次のラウンドが始まる直前にヘッドセットがバイブレーションで知らせてくれたりと、つまり私たちの製品がゲームの一部になるのです。いわばマルチバースのようなものですよね。ゲームと現実、それぞれの世界が一体となる体験を生み出しているもので、既に多くのゲームデベロッパー・パブリッシャーに気に入っていただけています。

SteelSeries GGの様子。ゲームの状況に応じてデバイスのライティングを変更する設定が可能

もうひとつは「Sonar Audio Software Suite」です。『VALORANT』の開発者によると、特定のサウンドを設計したとして、プレイヤーが使うシステムによってそれが同じように聞こえないという問題があったそうです。そこで「Sonar Audio Software Suite」を使えば、どのシステムであっても、その開発が意図したサウンド体験を得られるようになります。これらが、我々がゲームパブリッシャーとの関わりの一例です。

ーーデベロッパーの意図をそのままプレイヤーに届ける、“ゲーム体験とプレイヤーをつなぐ架け橋”としてデバイスを発展させるんですね。話は変わるのですが、昨年11月にSteelSeriesは音響メーカー「GN Store Nord」に買収されました。本件が経営や製品開発に及ぼす影響などはありますか?

ラバーニ氏:悪い影響は全くありません。株主は変わっても、SteelSeriesが独立企業として経営していくことには変わりありませんから。むしろ良い影響として、GNが持つオーディオなどのノウハウを私たちの製品に転用することができます。

ーーなるほど……!ところで近年のゲーミングデバイスはハイエンド化が著しい中、その性能は頭打ちではないかという懸念も聞こえます。デバイスの進化の方向性に迷ったりすることはあるのでしょうか?

ラバーニ氏:そもそも私たちは、ゲーマーの体験をより良いものにしていきたいと考えているなかで決して現状に満足はしていません。おっしゃる通り、ハードウェアだけを見ると頭打ちの面はあるかもしれませんが、いま注力している「SteelSeries GG」などソフトウェアに関しては、無限の可能性があります。ハードウェアとソフトウェアが揃えば、全く限界がないと思っています。

ーーこれは伺いにくい質問ですが、ゲーミングデバイスは日本国内外で発売タイミングが異なり、多くの場合で国内での発売は遅れがちです。こちらはどういった要因があるのでしょうか?

ラバーニ氏:良い質問ですね。キーボードに関しては日本語へのローカライズに時間がかかるなどの要因があり、ここ半年は世界中で部品が不足している影響も受けています。そんな現状はありますが、将来的には同時展開を増やしていきたいと考えています。それと実はアジア地域で見ると、本日の発表の目玉である「Arctis Nova Proシリーズ」に関しては、日本が最初に展開される国なんです。最もプライオリティの高い日本からスタートして、少しずつ販売地域を増やしていく予定です。

ーーアジア地域の中での優先度の高さはとてもありがたいです。ただやはり、海外向けのソーシャルメディアを見ていると、大々的に発表されているなか、同じタイミングで手に入らないのは少し寂しく感じます。今後さらにそのギャップが縮まっていってくれることを願っています。

ラバーニ氏:悲しく思わないでください。今後より良くなっていきますし、実はアメリカでもなかなか手に入らない状況にあります。そんななかでも日本向けにしっかりと数を用意しています。

ーーありがとうございます。では最後に、SteelSeriesファン、読者にメッセージをいただけますか?

ラバーニ氏:私たちのビジョンでもありますが、私たちの人生はとても特別で、決して普通・平凡なものであってはなりません。毎分、毎秒、ひとつひとつの瞬間が光り輝くべきだと考えています。ぜひみなさんも、普通に留まらずに星を掴みに行って欲しいと思います。

ーー素敵なメッセージ、そして貴重な機会をありがとうございました!


自ら来日してゲームコミュニティと積極的に関わろうとする姿勢や、自社の製品やサービスに対して熟知していることはもちろん、アジア地域での日本の重要度などが伺えたインタビューとなりました。

なお、SteelSeriesは9月に行われる「東京ゲームショウ2022」へ出展することも発表しています。どのような情報が公開されるのか、同ブランドの限界なき挑戦に期待を寄せましょう。

《Okano》
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東京在住ゲームメディアライター。プレイレポート・レビュー・コラム・イベント取材・インタビューなどを中心に、コンソールゲーム・PCゲーム・eスポーツについて書きます。好きなモノは『MGS2』と『BF3』と「Official髭男dism」。嫌いなものは湿気とマッチングアプリ。

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