筆者はそこそこゲーミングノートPCを触る機会がありますが、どの機種を触っても思うのが「ファンの音がうるさい」ということです。
美麗なゲームをスムーズに動かすために必要なGPU(グラフィックカード)には、それ相応のパワーが必要であり、発熱を伴うというのは、スマートフォンやコンソールゲーム機と同じです。スマートフォンでゲームをしているときにほんのり熱くなったことは、誰しもあるのではないでしょうか。
ゲーミングノートPCも同様に、特にグラフィックカードが高い熱を発しているため、それらの熱を逃がすためにファンでPCの中の空気を循環させ、冷やそうと頑張っているのです。するとファンが大きな音を立てざるをえなくなり、ゲーミングノートPCによくある「爆音ファン」が生まれてしまいます。
“では、水冷にしてしまえば良いのでは?”
というのが、本稿で紹介する「G-Tune H5-LC」です。本モデルはゲーミングノートPCの力を極限まで引き出す「G-Tune」史上初の水冷ノートPCであり、もちろん通常のゲーミングノートPCのように空冷で使用することもできますが、本体とは別に用意された「水冷BOX」を接続することで水を使って冷却することができるのです。
水冷とは、熱を発するパーツ類にあたるように冷却水の通り道を作り、ラジエーターで冷却水をファンで冷やし、再び冷えた冷却水をパーツ類へ送る、ということを繰り返す仕組みです。今回は水冷BOXがそのラジエーターの役割を果たし、ゲーミングノートPCを効率よく冷やしてくれます。
本モデルには、ノートPC本体と水冷BOXのほかに、BOXとPCの間で水を受け渡すケーブル、排水アタッチメントのほか、冷却水として精製水(不純物を含まない水)と、注水用のボトルが同梱されています。特に他のものを用意することなく、水冷システムを構築できます。
水冷BOXの外観はWi-Fiルーターのようなサイズ感で、外付けHDDを置いているかのような存在感。水冷BOXとPCをつなぐ水冷チューブは約60cmで、PCのそばに常に置いておく必要があります。なんせ、液体をやり取りしているので、手軽に取り外すことは少々難しく、
家の中で頻繁にさまざまな場所に持ち運ぶといった用途には不向きに感じます。ただ、電源に関しては工夫が凝らされていて、コンセント→水冷BOX→ノートPCと、一直線に電源を確保することができるようになっています。
初めて使うときには、冷却BOXに冷却水を注入してPCと接続。冷却BOXの電源を長押しして水を循環させます。これにより、冷却水がノートPCの内部へ循環し、冷却水が完全に張り巡らされるのです。もちろん、空冷で起動させることも可能です。
冷却BOXはBluetoothでPCと無線接続します。冷却BOXをペアリングしたのち、PCにプリインストールされている「Mouse Control Center」から、ファンの回転数や、冷却BOXにデザインされたLEDをRGBでカスタマイズすることができます。ファンの回転数は40%・50%・60%の3つから選ぶことができます。
「Mouse Control Center」では冷却BOXセッティングのほか、キーボードやライトバーの光り方の設定やパフォーマンスの設定などを行うことができます。なお、キーボードにはメカニカル式を採用しているため、打ち心地がよく、タイピングやゲームでも快適に使うことができます。
轟音がしないという感動
冷却BOXを装備してしばらくゲームなどをしていると、第一印象として感じるのが“騒音が気にならない”ということ。冒頭でも述べた通り、GPUを搭載したゲーミングノートPCは、その性能を発揮するために多くの熱を持ち、それを逃がすためにファンが回ります。これは体感で扇風機の“強”ほどの音で、「これは正常な動きなのか?」と不安になることも少なくありません。それを水冷にすることで冷却が効率化し、PC本体のファンが轟音を発することのないのが、「G-Tune H5-LC」なのです。
ゲーミングノートPCを水冷化するという凄さはなんとなく感じ取っていただけたかと思いますが、凄いのはそれだけではありません。スペックもハイエンドです。
最新技術がつめこまれた高スペック
CPUには「インテル® Core™ i9-12900H プロセッサー」を採用し、2022年5月発売の「G-Tune H5」と比較して、空冷時に約50.4%、水冷時に約57.9%性能が向上しています。GPUには「GeForce RTX™ 3070 Ti Laptop GPU」を採用、こちらも「G-Tune H5」 と比較して、空冷時に約7.2%、水冷時に約12.2%性能が向上してしています。また、メモリは最新規格のDDR5-4800を32GB、ストレージにはNVMe Gen4のM.2 SSDが1TBと、至れり尽くせりなスペックになっています。実際に使用してみると、文書作成や表計算などのビジネスソフトはもちろん、写真現像・動画編集ソフトなども快適に動作します。ゲームだけではなく、クリエイティブ用途や普段使いでも十分動作するスペックです。実際にCPUベンチマークソフト「CinebenchR23」で計測してみると、空冷時と水冷時では数値に差が出ます(以降のベンチマークはパフォーマンスモードで測定)。
また、FF15ベンチマークで計測してみると、空冷時に比べ、水冷時のほうが若干良いスコアが出ています。
また、「G-Tune H5-LC」には2,560×1,440 (WQHD)のリフレッシュ・レート240Hz対応の15.6型液晶パネルが搭載され、高い競技性を求められるシューターなどではその真価を発揮します。『Apex Legends』で見てみると、設定を落とすことで240fpsへ近づけることができます。
ゲーム用途で考えると、数値という面ではそこまで大きな恩恵はないように見えますが、実際に使っていると、ゲーミングPC特有のファンの轟音がなく、キーボードが熱くなってしまうようなこともありません。やはりこの「効率的に冷える」というのが、「G-Tune H5-LC」の最大のメリットに感じます。自宅に大きなデスクトップPCを置くスペースはないけど、ゲーミングノートPCならなんとか……というユーザーや、ノートPCを水冷すること自体に価値を見出しロマンを求めるユーザーにはうってつけの製品と言えるでしょう。
製品名:G-Tune H5-LC [ Windows 11 ]
URL:https://www.mouse-jp.co.jp/store/g/gg-tune-h5-lc/
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