XQQは、何故コーチへ転身したのか―「ZETA DIVISION」を世界ベスト3へ導いた影の立役者【独占インタビュー】

ZETA DIVISIONを『VALORANT』世界大会で三本指にまで導いたゲーミングコーチ・XQQ。彼がコーチになったきっかけから、かつてチームを率いた『レインボーシックスシージ』との違い、新エージェント「フェイド」まで、色々な話が飛び出しました。

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――「ゲーミングコーチ」。

現在のプロゲーミングチームでは当たり前となっているその存在は、つい数年前までは一般的なものとは言い難いものでした。

それが顕著であった国内において、プレイヤーからコーチへ転身し、時を経てチームをTier1に属するゲームタイトルの世界大会ベスト3まで導いた、コーチのパイオニアとも言える人物がいます。ZETA DIVISIONでヘッドコーチを務める「XQQ」さんです。

同氏は過去に『Battlefield4』や『オーバーウォッチ』のプレイヤーとして多くの実績を残し、多くの国内大会での優勝のほか、「Overwatch World Cup 2016」では日本代表として出場したこともある手練の選手でした。

それから2018年4月にコーチへと転身。CYCLOPS athlete gaming(CAG)の『オーバーウォッチ』部門のコーチとして活躍し、その後同チームの『レインボーシックス シージ(以下、R6S)』部門を国内優勝に導きます。

そして2020年11月、Absolute JUPITER(現:ZETA DIVISION )へ移籍し、現在まで『VALORANT』部門のヘッドコーチとしてチームを支えています。2022年4月には国際大会「2022 VALORANT Champions Tour Stage 1 ― Masters Reykjavík」にて世界ベスト3という、国内競技シーンの歴史に残る偉業を達成したことは、多くの読者が知っていることでしょう。

貫禄のあるルックスや、25歳とは思えない落ち着きから、どこかミステリアスな印象があるXQQさん。何故プレイヤーからコーチへ転身したのか、そのきっかけや、コーチが普段どんなことをしているのか、本人へインタビューをした模様をお届けします。

世界と戦えるチームを作る

――早速ですが、プレイヤーからコーチへ転身したきっかけを教えてください。自身でプレイをしている中で「コーチが必要だな」と感じたのでしょうか?

XQQ:選手としてプレイしていた当時、国内『オーバーウォッチ』の競技シーンで世界と戦えるレベルのチームはありませんでした。その要因として、反省会の内容やチームの練習メニュー、目的づくりなどの面で選手の意識のすり合わせが足りないと感じたんです。

その上で世界との差を考えたとき、コーチがいるチームがまず「無いな」と。似た業務をしているマネージャーなどはいましたが、海外チームのような“専門職としてコーチを立てること”をしているチームはありませんでした。いないからこそ、自分がそれをやるしかないと思ったんです。

――反省会をはじめ、プレイヤー同士の話し合いにコーチがひとり加わるだけでも、その濃度は変化するのでしょうか?

XQQ:大きく変わりますね。ただ最近はコミュニケーションができるプレイヤーが増えた上に、チーム単位での考え方を組み上げるノウハウが溜まってきたので、必須ではないかとは思います。

僕が現役だった当時のプレイヤーの多くは、我が強くてチームプレーもあまり意識できない。そんな状態で、お互いの意見をすり合わせるのはハードでした。それゆえにまとめられる人……例えば「こっちのほうがみんなに合っている」「反対意見もしっかり聞くべきじゃない?」と俯瞰して、声をかけられる存在が必要だなというのは感じていましたね。

――当時「コーチ」という役割が知られていないなかで、どのようにノウハウを身に着けていったのでしょうか。やはり手探りだったのですよね?

XQQ:ロールモデルすらなかったので、ほぼ手探りでしたね。フィジカルスポーツの指南書やコーチングの書籍などからノウハウを吸収していました。

もともと僕は、『Counter-Strike: Global Offensive(以下、CS:GO)』などをプレイしていて、戦略的に戦うことへの憧れと言いましょうか。ちょっとクサイ話ですが、アニメやマンガでめちゃくちゃ頭いい選手がゲームの主導権を握るみたいな展開に憧れを持っていたんです。

――そういった既存のフィジカルスポーツにおけるノウハウを、eスポーツ向けにチューニングしていった感じなんですね。

XQQ:プロフェッショナルなシーンでプレイヤーをまとめ上げる”という面においては、フィジカルスポーツから学べることは多いと思います。

そもそも「ゲーミングコーチ」とは

――改めて、選手とはまったく違う“コーチの役割”について教えてください。

XQQ:ゲームタイトルによって変わりますが、基本的には練習メニューの組み立てと、練習試合のセッティングなどです。チーム間の折衝やプレイヤーの管理も行っているので、半分はマネージャーのような業務内容ですね。

――事務的な作業も多いんですね。

XQQ:そうですね。なかなか多いです(笑)。

――ZETA DIVISIONには、コーチ2名のほか、アナリストのgya9さんもいらっしゃいますが、コーチとアナリストはどのように役割が異なるのでしょうか?

ZETA DIVISIONが展開するラジオ「THE XQQ AND CROW SHOW」では、gya9のゲスト回を配信中

XQQ:アナリストを迎えた状態でのコーチ業は、『R6S』がはじめての経験でしたが、あまり上手くいきませんでした。1年半くらいは手探りでしたが、最新の『VALORANT』では、試合相手の傾向分析などを担当するのがgya9で、それを選手へ流して良い情報かを判断し、できるだけ短く、必要な情報のみ伝えるのが僕らコーチというように役割分担をしています。

――『R6S』では上手くいかなかったというのは?

XQQ:僕もアナリストも、どのように情報を取得していけばいいのか。そしてなんの情報が有益なのか、あまりに手探りだったんです。僕は『R6S』に関しては、めちゃくちゃ詳しいとは言えませんでした。だからこそ、情報収集・伝達はアナリストや選手に任せっきりになっていて上手く機能しませんでしたね。当時のコーチングは、どちらかというと選手たちのパフォーマンスを引き出すような方向性を重視していました。

対して『VALORANT』では、僕自身のゲーム理解度が(『R6S』と比較して)高いので、戦術の提案もできるようになりました。また本作は比較的王道な5v5なので、『CS:GO』プレイヤーとしての知識なども活きていますね。

――先の質問に戻ってしまいますが、「選手たちに流して良い情報」はどのような基準をもって判断しているのでしょうか?

XQQ:これはゲームに限った話ではありませんが、試合中の選手にたくさん情報を与えても、パフォーマンスにマイナスな影響しか与えません。

選手がそれぞれ、どの程度情報を受け取れるキャパシティがあるのか見た上で、全員が共通認識を持てるように上手くバランスを取っています。

――ZETA DIVISIONは、大きくロースター(プレイヤー)が変わりました。情報伝達の仕方が変わったりしましたか?

XQQ:変わったとは思いますね。以前のロースター変更からの過程で、学ぶことがたくさんありました。その反省を踏まえつつ、対戦相手への対策なども勿論大切ですが、まずは自分たちが情報をしっかりと受け入れられる体勢を作る必要があると考えました。

すなわち今回のロースター変更では、まずは基礎的な部分、土台を作ることを大切にし、その上で選手が情報を受け入れて戦えるチームワークづくりに時間をかけたんです。それが去年の段階からできていれば、もっとパフォーマンスを出せたのかなと思います。

僕自身、アブソリュートを崩して新しいチームを作ることに対し、大きな責任を感じました。だからこそ新たなプレイヤーを迎えるにあたっては考えに考えを重ねましたね。Lazとcrowを基盤において、どんな新たな選手をどう入れるか……絶対にミスは許されませんでした。

コーチ視点から見る、今のZETAの強み

――ZETA DIVISIONがこの5人のプレイヤーを迎えた今の強みは、どんなところにあると感じていますか?

XQQ:世界に対するモチベーションの高さ”でしょうか。彼らは競技シーンの中でずっと上を目指して努力してきたプレイヤーたちです。

例えばDepは『オーバーウォッチ』時代から世界の壁を感じながら、それでもずっと戦ってきた選手です。Laz・crow筆頭に、全員が同じ方向を目指せているのが大きいと思います。

――先のVCT Mastersでは、「OpTic Gaming」戦後のインタビューでLaz選手が「新たな世界の壁を感じた」と答えていました。コーチ目線でも同じことを感じましたか?

XQQ:そうですね。これはOpTicの意図的なものなのか、偶然の結果かどうかはわかりませんが、今までやってきたプレイスタイル、チームへの対策、マクロ面でも戦略も含め、すべてが我々よりも一枚上手でした。

自分たちが用意してきた更に上を、リアルタイムで対策してきたんです。リベンジマッチでそのような返しをされるのはよくあることですが、ラウンド中や、BO5の中で1マップ後にすぐ対応されたのは印象に残っていますね。

――ちなみにLaz選手は、レイキャビクでのスクリムは、AM11時などの早い時間からスタートするので健康的とお話されていましたが、そう感じましたか?

XQQ:一般的な考え方では、11時からスタートはそこまで健康的ではないですけど……確かにゲーマーからすると朝方と言えますね(笑)

日本での練習は13時くらいからスタートして22時くらいに終わることが多いので、社会が動いている時間に外に出ることは少なくなってしまいがちです。なので、できるだけ早めにスタートして早めに終わるのは良いですね。ただ、今回はアイスランドと他国の時差の関係でそうなっていた面もあります。

Masters Reykjavíkを終えたZETAが迎えるStage2

――Masters ReykjavíkからStage2まで、どのような練習を重ねて来ましたか?

XQQ:ありがたいことではありますが、インタビューや取材などが多くあって半日練習などが多く、十分に練習できているわけではありません。Stage2 Main Eventは、一旦レイキャビクでのパフォーマンスをそのまま出せるようにしつつ、Playoffsへ向け、別途しっかりとした練習を積んでいきます。

今ちょうどパッチが当たってキャラクターが増え、別のゲームになっているので、大慌てです(笑)

――パッチと言えば……新エージェントの「フェイド」はいかがですか?

XQQ:僕は強いキャラクターだと思っています。スカイとソーヴァの中間にあるキャラクターなので、戦い方の幅を出せるかなと。他のチーム含めまだまだ理解し切れていない部分が多いので、色々と初見殺しができそうです(笑)

――チェンバーとジェットもだいぶ変わりましたよね。

XQQ:EMEAの試合ではアイスボックスからジェットが消えるなど、ほぼ前の構成は出てないですよね。それでさえひとつ前のパッチで、さらに僕らはメインイベントでそのあとパッチからなので、だいぶ阿鼻叫喚しています。

レイキャビク後初のヘイヴンでは、Dep選手がフェイドをピックするなど、新たな戦略も見られた

――ありがとうございます(笑) 最後に、Stage2への意気込みをお聞かせください。

XQQ:レイキャビクではとても良い結果を残せましたが、またここから、一からのスタートだと思っています。Stage1と変わらず、Main Event、Playoffsを一歩ずつしっかりと勝ち、最終的には優勝を目指したいと思います。


「一歩ずつしっかりと勝つ」という言葉通り、Main Eventをしっかりと勝ち上がり、Playoffsへの出場を決めたZETA DIVISION。フェイドの積極的な採用など、新たな戦略を魅せつつも、Depが弱体化された(はずの)ジェットでスーパープレイを繰り出すなど、その強さと挑戦、変化を求める姿勢を見せつけました。個々のプレイヤーとしての強さと、それを支えるコーチ・アナリストの頭脳が一丸となって、更なる高みを目指します。

ZETA DIVISION も出場するPlayoffsは、6月10日~12日までをオンライン、25日~26日を「さいたまスーパーアリーナ」にてオフライン有観客での開催を予定。試合の模様はYouTubeTwitchでも配信されます。

<取材・執筆:岡野朔太郎/一部撮影・編集:矢尾新之介>

《Okano》
Okano

「最高の妥協点で会おう」 Okano

東京在住ゲームメディアライター。プレイレポート・レビュー・コラム・イベント取材・インタビューなどを中心に、コンソールゲーム・PCゲーム・eスポーツについて書きます。好きなモノは『MGS2』と『BF3』と「Official髭男dism」。嫌いなものは湿気とマッチングアプリ。

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