「今は通じない懐かしのファミコン用語5選」は「誰も知らなかったファミコン用語」だった―あるWEBメディアが公開した記事に波紋

WEBメディア「ENCOUNT」が公開した記事が波紋を呼びました。

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「今は通じない懐かしのファミコン用語5選」は「誰も知らなかったファミコン用語」だった―あるWEBメディアが公開した記事に波紋
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WEBメディア「ENCOUNT」が公開した記事「今は通じない懐かしのファミコン用語5選」がYahoo!ニュースに提供され、コメント欄は「世代にもかかわらず聞いたことがない」と混乱に陥っています。

ENCOUNTより

◆聞き馴染みのない「ファミコン用語」に波紋

株式会社Creative2が運営する、ゲームをはじめさまざまなカルチャーを発信しているWEBメディア「ENCOUNT」は、6月13日午前に“今は通じない懐かしのファミコン用語5選 「ファミカー」「さお」…どこまで分かる?”を公開しました。

任天堂のゲーム機「ファミリーコンピュータ」が今年7月に発売から40周年を迎えることをきっかけに、一部の地域や仲間内だけで使われていた「ファミコン用語」を解説するという本記事。ファミコンを好む人らを「ファミカー」と称したり、『スーパーマリオブラザーズ』で1UPキノコを追いかける最中に死んでしまうプレイを「1UP自殺」と呼んだりといった「ファミコン用語」が述べられていますが、Yahoo!ニュースのコメント欄では「聞いたことがない」というコメントが多く寄せられることに。

◆他のWEBサイトを参考にしたか

Twitterでは、レトロゲーム専門ニュース&コラムサイト「ファミコンのネタ!!」管理人として活動するオロチ氏が以下のように指摘。自身が掲載した「誰も使わないファミコン用語辞典」が元ネタとして使われていると主張しています。投稿によると、この用語辞典はオロチ氏の身の回りでしか使われていなかった言葉を集めたものであるとのこと。

「誰も使わないファミコン用語辞典」より

オロチ氏は「Yahooニュースに「誰も使わないファミコン用語辞典」が無断転載され大混乱が発生してる件」と題した記事を執筆し、ENCOUNTとは関わりがないことや元ネタとなった記事の解説をしています。また、ENCOUNT側よりダイレクトメッセージで引用元を明記する対応がとられることが明かされました。

ENCOUNTに掲載されているファミコン用語(ファミカー・ファミ筋・大人マリオ・1UP自殺・さお)は、全て「誰も使わないファミコン用語辞典」に掲載されているものであり、それぞれの単語で検索しても、ENCOUNTとオロチ氏のサイト以外にはほとんどヒットしません。「誰も使わないファミコン用語辞典」を元ネタとして扱ったととられても仕方ないでしょう。

なお、ENCOUNTはこの記事掲載からやく6時間後にオロチ氏のWEBサイト「ファミコンのネタ!!」内の「誰も使わないファミコン用語辞典」から内容を一部引用したことを文末に加筆しています。

◆ゲームライターとして思うこと

ここからは、この騒動から筆者が思う長い余談となります。筆者自身、ゲームメディアで文章を書く仕事に携わっているなかで、他のWEBサイトを参考にすることは多々あります。特に今回のように用語解説を扱った内容では、ゲーム内のTIPS、攻略本やサイト、他メディアの記事を参考にすることもありました。しかし、言うまでもありませんが、ひとつの情報のみをソースとする場合は(特にニュース記事などでは)それを明記する必要があります。

このENCOUNTの記事がどのような成り行きで企画され、執筆されたのか筆者は知るよしもないため、ライターがどのような状況にあったかわかりません。

ライターを擁護するつもりは毛頭ありませんし、責任の所在がどこにあるのか判断しかねますが、結局のところ公開ボタンを押すのは編集部の人間でしょう(ほとんどのメディアはライターが直接公開することはない)。しかし、メディアは編集部とライターの信頼関係で成り立っているのもまた事実であり、編集部とてライターから提出された文章がまさか他のWEBサイトを明らかに参考にしたようなものとは夢にも思わなかったのではないでしょうか(その体制が問題であると言われればなんの反論の余地もない)。

また、ライター名(ペンネーム)が明記されているものの、その人物が不透明であることも問題に感じます。正直、問題となった記事のライターも、ライター名を変えてしまえば(それをENCOUNT編集部が許すかはともかく)お咎めなしに活動を続けることができるでしょう。

改めてこれは筆者の考えであり、他のライターに押しつけることはしないと前置きしますが、筆者は本名を明かし、自身の文章に責任を持つという意思の上でライター活動をしています。これは鎖のようなものであり、下手を打てば一瞬にして、SNSで盛んに行われる私刑の対象となる状況に追い込まれてしまいます。

ENCOUNT編集部の体制を見直せ!ライターが本名を晒せ!など唱えるつもりはありませんが、弊誌・そしてこの記事を執筆している私自身も、襟を正す必要があるということです。

《Okano》
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東京在住ゲームメディアライター。プレイレポート・レビュー・コラム・イベント取材・インタビューなどを中心に、コンソールゲーム・PCゲーム・eスポーツについて書きます。好きなモノは『MGS2』と『BF3』と「Official髭男dism」。嫌いなものは湿気とマッチングアプリ。

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