『VALORANT』の国内大会「VALORANT Challengers Japan Split 2」Playoff DAY2で行われた「FENNEL vs Crazy Raccoon」。6月3日、6月4日に大阪で行われるオフライン出場の最後の1枠をかけた対決は、マップスコア3-2でFENNELが勝利しました。
Split 1の決勝と同じカードであるこの戦いは、両チームの意地がぶつかり合い、5マップにまで及ぶ激戦に。負ければ敗退という緊張感のなか、Split 1に続いてBO5をことごとく制してきたFENNELが底力を見せつけました。
さて今回は、そんなCrazy Raccoon戦を終えた直後に、FENNELのCLZ選手とMltdwnコーチに話を伺いました。
◆FENNELはBO5専用の練習を組んでいる
――まずはおめでとうございます!今回の勝利の要因は何だと思いますか?
CLZ:他のチームではBO5において2マップ取られた段階で焦りなどがあると思いますが、僕らは「5マップ目に持っていけば絶対に勝てるぞ」というマインドがありました。そこから余裕も出ているのかなと思います。
――今回の試合を振り返ってみていかがでしたか?
Mltdwn:今日勝てたのは本当に選手のおかげだなとつくづく感じています。スプリットやフラクチャーではCR側が構成を変えていて、対策もないままその場の即興の対応で頑張ってくれました。アセント・ヘイブンも大差で勝利することができましたが、それも今までやってきたことを選手が忠実に実行してくれて、かつ彼らの個人としての努力が勝利に繋がったのかなと思います。
――3マップ目(アセント)での圧勝から5マップ目までもつれ込む接戦でしたが、メンタル管理はどうされていましたか?
CLZ:3マップ目を勝利した際に「これは相手もメンタル相当来てるぞ」と、このままの流れで行けると思いました。ただそう簡単にはいかず、4マップ目は取られてしまいましたが、僕たちはBO5強いという思いがあったので、5マップ目は切り替えて挑めたことが勝利の要因ですね。
――5マップ目(スプリット)では前半の連取から後半取り返される展開でしたが、この辺はどのようにしてメンタル管理をしてましたか?
CLZ:正直管理できていたかというと怪しいです。僕は今までにないくらい感情が出てしまっていました。それでもやっぱり皆が強いので自信は揺るぎませんでした。
――FENNELはこれまでのBO5、6回中5回フルマップの試合をしていますが5マップ行う上で体力的な問題はありますか?
CLZ:疲れはするのですが、多分ほかのチームの方が疲れているのかなと思っています。僕たちはBO5の試合期間の前には、BO5専用のスクリムを組んで練習しているので体力的には全然問題はないです。
――ミスも少しありましたがそれも緊張からくるものでしたか。
CLZ:そうですね。多分焦りから来るものだったと思います。
◆JoxJoはCRの考えを把握しきっている
――オフラインへ向けての反省点はありますか?
CLZ:今回の試合でもそうだったのですが、僕たちの課題は勝ててはいるもののどうしてもストレート勝ちができないところです。そこは僕らのメンタル面にも問題があるのかなと感じているので強い精神面を持てるようになりたいですね。いつも自信をもって挑んではいるんですけどね(笑)
――コーチ&アナリスト陣が4名とほかのチームと比べても多いですがどのように役割分担を行っていますか?
Mltdwn:基本的にチームの根幹となる部分はJohntaが行っていて、そこに僕が通訳を入れながらサポートしています。具体的な構成や細かい部分についてはEulerが担当していて、僕はそのサポートにも入っています。Kir1nに関しては日頃からスクリムのデータを取っていて、そのデータから得られるフィードバックをチームの活動に活かしています。
――kir1nアナリストはまだ学生であったりもしますが、その中でのVCJのこのハードスケジュールはいかがですか。
Mltdwn:ハードですね。僕は以前アナリストをしていた経験もあるので、スカウティングも担当したりと少しずつ業務分担が変化しているので、安定はしていないですね。
――JoxJo選手は「CRキラー」と言われたりもしていますがチームメイトとしてはどう感じていますか。
CLZ:CR戦の時は本当に自信のあるIGLをしているので、CRのAstellコーチの考えをJoxJoが把握しきっているという感じはありますね。
――どういったところに自信を感じますか。
CLZ:普段自信のないときは他のメンバーに尋ねたりするのですが、JoxJoが自信を持っているときは「みんな聞いて」と言ってから説明するので、そういうところでわかりますね。
――メンバーの中ではJoxJo選手は年上だと思いますが、頼れる存在のような感じですか
CLZ:普段落ち着いている選手なので頼れますね。僕のチームは2人がはしゃいでいて3人が落ち着いてるみたいな感じですね。
――CLZ選手は以前オペレーターに自信がないとおっしゃられていましたが、今回の試合ではかなり刺さっているように感じました。このSplit 1から2にかけてどのように取り組んできたか教えていただけますか。
CLZ:今でもオペレーターに自信があるかと言われると怪しいですが、Johntaコーチや『CS:GO』出身のhiroronn君とオペレーターの置き幅や置き方の話をして、ちょっと自信はついたのかなと思います。あと、JoxJoにワンピックの方法とかを教えてもらったので、自信が持てました。
――試合中のVCを聞いていると「カバーしてあげて」のように誰かが誰かをちゃんと管理しているのが目立っていた気がしたのですが、味方へのサポートはどのような感じで気にしていますか。
CLZ:僕のチームはエージェント関係なく味方とどう動くかについて教え込まれています。それができていなかったら負けているし、それができたら勝てるというのも言われていて、常に味方の動きを全員が見ているので、みんなから指示が出るチームなのかなと思います。
――日本チームでも数少ないゲッコー採用チームですが、FENNELが採用している理由やFENNELが考えるゲッコーの強さのようなものはありますか。
Mltdwn:ゲッコーがリリースされるタイミングで、Johntaから「採用してみるのはどうだろう」という話は出ていて、タイミングを見て使えるようにしたいと考えていました。パールが伸び悩んでいた時期があったので、そのタイミングで採用したら案外良い感じだったので、その流れで採用することになりました。
――構成で言うとフラクチャーでは構成を1つ前の構成に戻していましたが、それは昨日のCGZ戦でマップを落としたことからの影響ですか?
Mltdwn:個人的には2コントローラーの構成も2デュエリストの構成もどちらも十分に戦えると感じています。ただ前の試合のCGZ戦では防衛サイドを2デュエリスト構成で1本も取れなかったという経験があったので、今回は防衛スタートということもあり防衛の際に強いアビリティが多い2コントローラーの構成を使用しました。
チームの中では2デュエリスト構成の方が自信を持っている選手もいれば、2コントローラーの構成の方に自信を持っている選手もいたりするので、そこも僕たちを難しくさせてしまった理由なのかなとも考えています。
――FENNELのチアパは日本一熱狂している場所だなと感じたのですが、実際このチアパが選手に何らかの影響を与えていますか?
CLZ:めちゃくちゃあると感じています。やっぱり応援されていると「頑張らないとな」と感じますが、特にチアパでは目に見えて応援していくれているのがよくわかります。「こんなにも色んな人が応援してくれているんだ!」と実感が湧いて、頑張れる理由になります。
――オフラインに向けての意気込みをお聞かせください。
CLZ:今回もオフラインに行けて嬉しくて本当に楽しみです。Split 1では、僕らはオフラインでも勝てると証明できたので、残る相手も強敵ですが絶対に勝ちたいと思います。
Mltdwn:前回優勝という点でのプレッシャーもかかる中、選手と共に成長した姿をお見せできるように全力を尽くしていきます。
――大阪の皆さんや応援してくれているファンの方々にメッセージをお願いします。
CLZ:Main Stage、Playoffまで本当に応援ありがとうございました。皆さんの応援が力になって僕たちも頑張れているので、引き続き応援よろしくお願いします。
FENNELは6月3日(土)にエディオンアリーナ大阪にて行われる「VALORANT Challengers Japan 2023 Split 2 - Playoff Finals」に進出。アセンショントーナメントへの道である優勝を目指して戦います。
そして、ここで敗北したCrazy Raccoonは2023年の競技シーンから姿を消すことになりました。CRの思いを背負ったFENNELが再びLowerから這い上がるのか、舞台はオフラインへ移ります。