『VALORANT』のアジア最強チームは?と問われて真っ先に思い浮かぶのは韓国「DRX」でしょう。
“VS設置”など戦略の名称として定着するほどインパクトを持つ彼らは「Vision Strikers」として韓国リージョンでトップの座に君臨し続け、2022年1月にはDRXへ生まれ変わりました。世界の場ではなかなか花開かぬものの、昨年9月のVALORANT Champions 2022では快進撃を見せベスト3に到達。VCT 2023年の幕開けを飾ったLOCK//IN São Pauloではベスト4と、着実にその名前を世界へ知らしめています。
2023年3月に開始したインターナショナルリーグでは初戦で日本代表ZETA DIVISIONに対し圧倒的な力の差を見せつけ快勝。本稿公開時で未だ負け無しの、文字通りアジア最強チームです。そんなDRXのメンバーが日々練習・寝泊まりしている韓国のゲーミングハウスへ潜入することが叶ったので、その模様を写真多めでお伝えします。
なお、取材はリーグ開始の3月27日(月)に実施したもの。この日はDRX『VALORANT』部門のCEOであるCANさんが直々にスケジュールを組んで日本メディアとClutch_Fiさんら撮影クルーの来訪を暖かく迎えてくれました。
『VALORANT』部門専用の練習場であるこのスペースは、ソウル特別市の中心部から数キロ、川や緑にも近いタワーマンションの高層階にあります。共用部にはジムやプールなどもあり、選手たちは自由に利用することができるとのこと。
メインスペースには選手とコーチのデスクがあり、選手たちはここでスクリムやチームミーティングを行っています。デスクは全て昇降可能で、大きなマウスパッドを置いても余裕がある広々としたものが採用されています。
このメインスペースのほかにもベッドルームがあり、一部のメンバーはこの場所で寝泊まりすることができます。
各部屋の詳しい役割などは、Clutch_Fiさんが出演するこちらの動画をあわせてご覧ください。
ここからは、stax選手とFoxy9選手に実施されたメディアインタビューの模様をお届けします。
――リーグ初戦のZETA戦はDRXの圧勝と言える内容でした。今のZETAには何が足りないと思いますか?
stax:みんな自信が少なくなっているような感じがしました。ZETAはチームプレイがとても上手いチームです。そこに何も考えていないFoxy9が飛び込んでいったことでかき乱されたのかなと思います(笑)
あとは初めての環境で韓国チームと戦うのも辛かったと思います。2戦目以降を見てみないとなんとも言えませんね。
――練習日のタイムスケジュールを教えてください。
stax:練習の内容に関しては対外秘になっていて、契約上詳しくは言えません。練習のある日はだいたい11時半に起きてますね。
――一週間に休みが何日あるんでしょうか。
stax:オフシーズンには5日練習・2日休みです。試合が近づいたら1日だけ休み、試合のある期間では休みなし、といった具合で変化していきます。
――一日の練習時間がとても長いと伺いましたが、辛くなったりすることは?
Foxy9:もちろん大変ですが、今回の大会でも優勝したいので我慢して頑張っています。
stax:私も昔はFoxyと同じで「大変でも我慢して頑張ろう」と思っていました、でも最近は年を取ってきたからか、大変な状況になると家に帰りたくなります(笑)
――Foxy9選手がDRXに加入したきっかけはなんだったのでしょうか。
Foxy9:日本チームから抜けたあと、新しいチームを探していました。いくつかのチームから連絡が来たなかにDRXがあったときはとても驚きました。
――DRX側からのオファーだったんですね。
Foxy9:そうですね。
――Foxy9の加入によって、チームが変わったところなどはありますか?
stax:とても多くの変化がありました。Foxyはまるで未知の生物を見ているようです(笑)。
――未知の生物ですか(笑)
stax:もっと褒めた方がいい?(Foxy9に向かって)
Foxy9:(笑)
stax:ゲーム内ではもちろん、ゲーム以外でも良い影響を与えてくれていると思います。
――どのようなところで良い影響を感じますか?
stax:(少し考えたあとで)ゲーム以外のところでそんなに良いところはそんなに無いかもしれません(笑)。Foxy9は本当に韓国人なのかなと思うほどの新しい生き物を見る感覚です。
――マンションの共用部にはジムがあるとのことですが、おふたりはよく運動をされるのでしょうか。
Foxy9:自分はあんまりしないです!(日本語で)
stax:Foxyのような年齢だったらそんなことないと思いますが、私は最近年齢を感じているので、1時間くらい早起きして身体を鍛えています。
――トレーニングをすることでゲームプレイに良い影響はありますか?
stax:昨年のMasters Reykjavíkでは、本当に疲れてしまって集中できなかったんです。普段練習するときも体力がないとキツいので、体力の大切さを実感しましたね。
――LOCK//IN São Pauloではベスト4という成功を収めましたが、今のチームの目標を教えてください。
stax:まずインターナショナルリーグでの圧倒的な優勝を狙っています。もちろん国際大会での優勝もそうです。LOCK//INは大きな成功と言われていますが、自分としてはあまり時間がないのがとても大変でした。
――時間がないというのは?
stax:Talon戦(※)のあと、10日ほどダークデイがあったのですが、その間もずーっと練習していました。そのあと韓国に戻ってきてすぐ1ヶ月でリーグが始まったので、いろいろと大変ですね。
(※)DRXは対Talon Esports戦に勝利しベスト4へ進出、その後LOUDに対し2-3で惜敗した。
――最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。
Foxy9:昔からずっと応援してくれている皆さんに心から感謝しています。皆さんが描いてくれるファンアートや作ってくれる応援ボード、プレゼントなど、とても真心が感じられます。その期待に応えられるように頑張るので、これからも応援よろしくお願いします。
stax:日本に対してはとても良い記憶ばっかりです。ファンの方々は試合の外でもとても親切です。前に日本に訪れた時はあまりサインをできなかったのが心残りです。本当は一日使って大勢のファン一人ひとりにサインをしたいくらいです。そんな良い思い出がたくさんある日本・東京でまた皆さんとお会いできることを楽しみにしています。
stax選手が掲げた“リーグでの圧倒的な優勝”を実現しつつあるDRX。“わかっていても止められない”と定評のあるユニークで先鋭的な戦術は、チームからの手厚いサポートを受けつつ、快適な環境から生み出されているのでしょう。
VALORANT Champions Tour 2023 Pacific Leagueは、まもなくレギュラーシーズンが終了。現在DRXはその首位を独走しています。プレイオフを経てトップ3のチームが出場するMasters Tokyoで、その有志を見ることができると、多くの視聴者が確信しているに違いありません。