シナリオ、楽曲、考察…泣きゲー『Kanon』が打ち立てた数々の業績を振り返る【年末年始特集】

『Kanon』の話をすると無性にたい焼きを食べたくなります。

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シナリオ、楽曲、考察…泣きゲー『Kanon』が打ち立てた数々の業績を振り返る【年末年始特集】
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ニンテンドースイッチ『Kanon』公式サイトより

2022年12月22日、美少女ゲームブランド・Keyの処女作である『Kanon』のニンテンドースイッチ版が2023年春に発売されると発表されました。本稿では、1999年発売のPCゲーム版にリアルタイムで触れた筆者が『Kanon』の起こしたムーブメントを振り返ります。

『ToHeart』の大ヒットにあやかった学園モノ

PC用アダルトゲーム『Kanon』が発売されたのは1999年6月4日のことでした。本作は当時の新興ゲームブランド・Keyの第1作にあたるゲームですが、ユーザーからの期待度は発売前から高かったといえます。

シナリオの久弥直樹氏、シナリオと作曲を兼任する麻枝 准氏、音楽の折戸伸治氏、原画の樋上いたる氏らはチーム単位でTactics(ネクストンのゲームブランド)から移ってきたという経緯があり、同スタッフによる『MOON.』や『ONE ~輝く季節へ~』がすでに高く評価されていたからです。

本作は雪の街を舞台とする学園モノで、『MOON.』『ONE ~輝く季節へ~』とは雰囲気を異にする明るい雰囲気が魅力の一つでした。(『ONE』も序盤は十分明るいですが終盤になると見えてくる「えいえんのせかい」という概念がなかなかヘビーでした)

これは、後年にKeyとならぶ二大美少女ゲームブランドと称されるLeafがひと足早く『』→『』→『ToHeart』の3作品で大成功を収めているのを見て「暗めの作品→暗めの作品→明るい学園モノ」という流れがヒットを呼び寄せるのでは、とあやかったのだそうです。

もちろんそれだけではないと思いますが、実際に『Kanon』は大ヒットを記録し、Keyはブランド1作目でいきなりPC美少女ゲーム業界のトップティアに躍り出ることになりました。

メインヒロインの月宮あゆ。サイフを忘れてたびたびたい焼きの食い逃げをキメてしまう困った女の子です

ノベルゲームにおける体系のひとつ「泣きゲー」の元祖

物語は、7年前までよく訪れていた叔母の水瀬家に居候することになった少年・相沢祐一を主人公に、彼が慣れない北国で送る学園生活が描かれます。無類のネコ好きなのにネコアレルギーな従姉妹の水瀬名雪や、7年ぶりに再会する無邪気な少女・月宮あゆたち5人の攻略ヒロインがストーリーを彩ります。

本作とKeyの名を美少女ゲームにおける不動の地位にまで押し上げたのはブランドのお家芸となる「奇跡」を軸にした感動のストーリーです。それに涙した多くのプレイヤーが絶賛したことで、本作は泣きに特化したノベルゲーム「泣きゲー」という呼称の先駆けとなりました。

泣きゲーは言及される際に「アダルトシーンはお飾り」と言われることがありますが、それは照れ隠しでも、アダルトゲームをやっているという後ろめたさでも、当時の樋上氏のタッチはちょっとクセが強かったからでもなく、それだけ「シナリオの攻撃力が高かった」からなのです。…すみません、言いすぎました。ちょっとは照れ隠しもありました

また、当時はWebベースのライトノベルがまた今日ほどに隆盛しておらず、長尺のシナリオ/ストーリーを発表するにはアダルトゲームがもっとも適したフィールドであったから…というのも無関係ではないでしょう。

従姉妹の水瀬名雪は陸上部の活動に精を出す一方で朝が極端に弱く、のんびり屋。独特のテンポで動く女の子です

インターネットを賑わせた「Kanon問題」

本作のヒロインたちはそれぞれ異なる形で困難を抱えていたり、または物語の途中からそれと向き合うことになり、物語は祐一が彼女たちに寄り添い、ともに向き合うことで解消・解決を得るという構造を取っています。それを受けて、発売後ほどなくしてインターネット上で「Kanon問題」と呼ばれることになる議論が盛んになりました。

Kanon問題は「主人公に選ばれなかったヒロインは、プレイヤーの見えないところで不幸になってしまっているのではないか」「『Kanon』という物語はみんなが同時に救われるようにはなっていないのではないか」を問う議論です。

その問いに対する明確な答えはなく、各プレイヤーが自分の中で納得のいく答えを見つけるしかありませんでしたが、後年の美少女ゲームで完全無欠の大団円をむかえる「トゥルーエンド」が増えていくのはこの盛り上がりに対するメーカーの答えのひとつだったともいえるかもしれません(『Kanon』前からそういうエンディングを用意しているゲームはありましたが)。

ともあれ、本作を機に「美少女ゲームを考察する」という遊び方も一気に広まったように思います。そしてそれは、翌2000年にKeyがリリースするブランド2作目『AIR』でひとつの頂点をむかえました。

祐一の初恋の女の子と同姓同名である沢渡真琴。出会い頭からなぜか祐一にケンカ腰ですが…?

音楽制作プロダクションI'veの台頭

本作はシナリオだけでなく、楽曲も高く評価されました。麻枝氏作曲のOPテーマ「Last regrets」と折戸氏作曲のEDテーマ「風の辿り着く場所」両楽曲を編曲した高瀬一矢氏と、高瀬氏が設立メンバーの1人である音楽制作プロダクション「I've」の名は本作で大きく知れわたり、『Kanon』以降の美少女作品でI'veのクリエイターやボーカリストが頻繁に起用されるようになりました。

Keyの作品ではありませんが、2002年放送のTVアニメ『おねがい☆ティーチャー』の主題歌「Shooting Star」は作曲・折戸氏/編曲・高瀬氏という「風の辿り着く場所」と同じ座組による曲で、当時『Kanon』を知らなかったアニメファンにも女性ボーカリストによるポップなダンスチューンの魅力を広く知らしめました。いいですよね。みずほ先生。

学校に通わず、日々をのんびりと過ごしている美坂栞。通学していたら後輩にあたる年下の女の子です

二度にわたるTVアニメ化

また、本作は2002年、2006年と二度にわたって異なる制作スタジオによってTVアニメ化されためずらしい美少女ゲームでもあります。2002年の第1作は東映アニメーションが制作を担当しました。当時の時点でも同スタジオは「キン肉マン」、「ドラゴンボール」、「聖闘士星矢」などのジャンプ作品や「美少女戦士セーラームーン」など人気少女漫画を原作とするアニメを多く手がけるようなスタジオであったため、元々はアダルトゲームである作品をアニメ化するのには驚きました。

本作のビジュアルのやや独特なタッチに寄せたキャラクターデザインを採用しており、一部からは「アゴ(顎)アニメ」などとものすごい呼び方をされる向きもありましたが、筆者は放送をリアルタイムで毎週楽しんで見ていました。

筆者が見ていたフジテレビでは編成の都合上で一挙2話放送となった回があったのですが、私市淳さん演じる祐一がシリアスな声で次回予告をしているところにあゆが割り込んできて「祐一くん大変だよ!その話は来週じゃなくてこの後すぐ始まるんだって!」というようなメタ的なかけあいをしているのを見て、東映アニメーションは自分が思っていたよりオタクが好むムーブもできるんだな、と笑いながら驚いたのを覚えています。

2作品目のアニメは京都アニメーションが制作を担当し、祐一は杉田智和さんが演じました。2023年発売のスイッチ版も、同様に杉田さんのボイスが採用されています。(※祐一の音声は一部パートのみ)

夜の学校でひとり”魔物”と戦い続けている不思議な上級生・川澄舞。しかし”魔物”などというものが本当に存在するのでしょうか?

筆者は本作にかぎらない一般論として、発売当時の盛り上がりや立ち位置を知らない若い人が昔のゲームの移植やリマスターをあえてプレイする必要は薄いと考えています。今のゲームと比較したら、大抵の場合はただ見劣りするだけだからです。

しかし「これが一時代を築いたゲームなのか」というような"往年の名作に触れる意義"を見出せるならば、本作は美少女ゲーム史に深いくさびを打ち込んだ作品としてうってつけの一本でもあります。そうした目線を持てる方は、ぜひ手に取ってみてください。筆者は本作の月宮あゆにショートパンツ+ブーツ属性を刷り込まれ、美坂栞にストール属性を植え付けられました。


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