10月5日のローンチが間近に迫る『オーバーウォッチ2』。9月15日より開催されたTokyo Game Show出展に先立ち、メディアを招いた質疑応答が行われました。前回のパートに引き続き、このパートではバトルパスの詳細について語られました。
Brizzzard Entertainment 登壇者
Aaron Keller(アローン・ケーラー)ゲームディレクター
Jon Spector(ジョン・スペクター)コマーシャル担当
Walter Kong(ウォルター・コン)ゼネラルマネージャー
――バトルパス採用に影響を与えたゲームはありますか?また、新ヒーローがバトルパスに含まれるとしたらどのような影響があるでしょうか。
Jon Spectorバトルパスについては『オーバーウォッチ』に最適になるよう一から取り組みました。もちろん私自身もバトルパスを採用している他のゲームをプレイしました。私たちがタスク設計をするときの目標は、まず「プレイヤーにとって公平であること」、次に「料金を払うかどうかにかかわらず、楽しさを得られるものを創ること」です。
3つめについては、基本無料サービスに移行する際に詳しくお伝えします。私たちが目指しているのは2週間後に迫るヒーローとマップ、その他様々な新しいことをリリースする、その素晴らしい瞬間です。しかしこれは出発点であり、9週間後にまた新しいヒーローとマップ、その9週間後に大きなアップデート、それを何年も継続してサポートできるようにしたいのです。バトルパスのようなシステムを考えるとき、重要な目標は長期的、持続的にビジネスをサポートできるものを作ることでした。
Aaron Kellerこの変更後も『オーバーウォッチ』は高い競技性を維持しますし、その重要性も承知しています。この1年間、私たちはこの点について協議を続けてきました。まず、新ヒーローはランクシステムによって解放されます。理由はいくつかあり、1つは様子を見ながら調整を行えるからです。また、コンペティティブモードの解放前に、バトルパスのフリートラックでも解放できます。またゲーム自体にも多くの変更があり、その1つがハードカウンター依存を減少させることです。プレイヤーに柔軟性と自由度を与えて、より多くのヒーローを使ってもらいたいと考えています。
そのため、バトルパスのフリートラックや、ヒーローチャレンジによってより多くのヒーローが解放されます。前作では多くの試合に勝たなければならず、多くの時間の投資が必要でした。そこにプレイするだけでアンロックできるシステムを組み合わせることで、コンペティティブに入る前にほとんどのヒーローを入手できるようになると思います。
――バトルパスとスキン以外のマネタイズが発表されていましたが、どのようなものを計画していますか?
Jon Spectorミシックスキンのことですね。シーズン1ではゲンジのものを発表しました。カスタマイズもでき、マスクのアニメーションやドラゴンブレード使用時はとてもカッコいいですよ。シーズン1では3つの新しいタイプのコスメティックアイテムが登場します。1つはウェポンチャームで、どのヒーローにも付けられます。2つめはスーベニア(お土産)と呼ばれるもので、その1つではピザにパイナップルを乗せるかどうかで議論が起こりました。個人的には反対ですが、アートチームが決めたことなので仕方ありません(注:ハワイアンピザの好き嫌いの話で、日本における“酢豚にパイナップル”のようなもの)。他にもネームカードがあり、プロフィールをカスタマイズして自分を表現できます。サービス開始時には新しいものを見せられるでしょう。
――有料と無料の違いについて教えてください。
Jon Spector無料のバトルパスでは全てのバトルパス報酬をバックアップします。無料とプレミアム両方に、できるだけいいものを追加できるよう努めました。有料無料どちらを選んでも、ラインナップを観てワクワクして欲しいですね。シーズン1では9つのスキンを用意しており、80の報酬のうち20は無料プレイで入手できます。プレミアム報酬のアンロックを希望する方には1,000OWコイン(10USドル)を用意します。
――ルートボックスが廃止されましたが、期間限定イベントなどは今後もあるのでしょうか。
Jon Spectorシーズン1の中盤でジャンケンシュタインのイベントを用意していますが、過去のものとは違う形式になります。ルートボックスの代わりにバトルパスのショップに並ぶでしょう。プレイヤーにとって楽しいショッピング体験を盛り込みたいと考えています。
――コンペティティブのバランス調整はどのくらいの頻度で行われるのでしょうか。
Aaron Kellerシーズンごとの調整を予定しています。シーズンの始まりに大きなバランス変更を行い、そのシーズンの間存続するようになります。それ以外しないということではなく、ゲームに悪影響があると思われるものは早急に対処します。今後はシーズン毎に新ヒーローを投入することを前提にした調整となり、大きなゲームプレイやアセットをリリースするたびに新しいプレイスタイルや戦略を得られます。シーズン毎の多様性を持たせつつ、新しいコンテンツでも公平を保てるよう善処します。
――フリートラックで新ヒーローを解放するにはどのくらいかかりますか?
Jon Spector私たちが想定しているのは、のめり込まなくても定期的にプレイしているプレイヤーがシーズン終了前にアンロックできる設計です。無料バトルパスでのヒーロー解放はTier55です。他社タイトルのバトルパスでは目玉となるものを一番最後の解放要素に持ってきていますが、私たちはそうしたくありません。お金をかけなくてもアンロックできる道筋を明確にしたかったのです。
Aaron Kellerバトルパス以外にも入手する方法はあります。1つは後のシーズンで常駐のチャレンジを用意しています。もう1つはPvEチャレンジでOWコインを獲得し、それを使ってプレミアムにアップグレードする方法です。例えば特定のキャラクターやロールしかプレイしない人であれば、年に1回欲しいヒーローが出たときに、貯めていたコインを使えば楽にアンロックできるでしょう。
――シーズンパスの内容にゲーム内クレジットが含まれないのは何故でしょうか。また、シーズンパスの完了期限などはありますか。
Walter Kong私たちはシーズン中のプレイを楽しみ、報酬を得るためのバトルパスに注力しています。私たちの利益のためにバトルパス進行を妨げるようなことはしたくありません。通貨を得る手段を別に用意することで、プレイヤーが自分の方針でアンロックし、2つが競合しないようにしたいと考えています。
Aaron Kellerプレイヤーに提供するチャレンジはバトルパスを完成させる最速の手段であり、デイリーやウィークリーで大幅な経験値ブーストを得られます。特定のヒーローを使う、普段と違うスタイルをするなど、プレイヤーが楽しめることを目標に設計しています。2つ目の質問の答えは1シーズン9週間で、その次にはまた新しいバトルパスが登場します。
――シーズンパスのサイクルを維持するために開発体制はどうなっているのでしょうか。
Aaron Kellerミシックスキン、ヒーロー、マップなどの製作には1年以上を要します。私たちのチームは3倍の規模になり、社内の他部署の手も借りて多くのリソースを投入しています。数年がかりの計画が必要になりますから、シーズンのプレイテストを数ヶ月間行い、その間にシーズン11、13で登場するマップに取りかかっています。確かに膨大な手間がかかりますが、私たちは「最高の品質をお届けする」という理念に見合う力を持っていると思います。
――レベルスキップのようなものがあるなら、その料金はどうなりますか。また、取り逃したアイテムはショップに並ぶのでしょうか。
Jon Spector無料パスでもプレミアムでも、料金を払ってスキップをするオプションを利用できます。しかし一度に大量に購入するのではなく、どうしても欲しいものに1、2ぐらい足りないという方に向けたものとして設計しています。また、シーズンパスのコンテンツを再度登場させる計画は今のところありません。ここで入手したものは特別であると考えています。
――シーズン毎にヒーローを足していくと5年で30人近くになってしまいませんか?
Aaron Kellerヒーロー追加は毎シーズンではなく、1年に3~4人を予定しています。ヒーローが増えるほど選択肢も広がり、必勝法に頼らず相手に合わせて編成することができます。
サービス方針の大幅な転換にはなるものの、無料の範囲内でも継続して遊べばヒーロー解放は可能で、救済手段もあることが明らかになりました。基本無料となって、本作のコアに掲げられている「多様性」のコミットメントをどう果たしていくのか、サービスローンチを楽しみに待ちましょう。