ドイツ、ボン大学の博士課程学生モーリッツ・バーグマン氏をはじめとする研究グループが、3Dビデオゲーム『スーパーマリオオデッセイ』を利用した鬱病への治療効果に関する研究論文を発表しました。
強い鬱症状が半減!?治療への意欲もアップとの研究結果
精神疾患に関する学際的なジャーナルFrontiers in Psychiatryに掲載された記事によると、『スーパーマリオオデッセイ』を使用した患者グループは他のグループに比べ、鬱病の症状と認知トレーニングへの参加意欲について最も効果が見られたとのこと。高いレベルの鬱症状を持つ参加者の割合はほぼ半減したといいます。
行われた実験は46人の鬱病患者を『スーパーマリオオデッセイ』をプレイする「3D ビデオ ゲーム」グループ14人、認知トレーニングコンピュータプログラム「CogPack」グループ16人、心理療法および薬物療法による通常の治療グループ16人に分けて6週間の治療を行い比較するというもの。それぞれのグループで治療前後の鬱病の症状と治療への参加意欲、視空間認知機能についての、アンケートを含む神経心理学的評価が行われました。「CogPack」グループおよび通常の治療グループでは、症状、意欲の面で回答の個人差による変動を無視できない程度の減少であったといいます。
視空間認知機能については「CogPack」グループが最も高い効果を示していますが、「3D ビデオ ゲーム」グループにも治療の効果が見られたいいます。一方鬱病の標準治療を受けている参加者は、改善を示さなかったそうです。
まだまだ研究規模は小さいもののゲームの新しい利用の形に期待高まる
著者たちは結果を受け、「ビデオゲームトレーニングが鬱病患者にとって、費用対効果が高く、実行可能な介入である可能性がある」と結論づけています。同様の比較研究はこれまで例が少なく、本研究についてもデータの規模が合計46人とまだまだ小さいものではありますが、ゲームの新しい社会への貢献の形の第一歩として今後の研究の発展に期待が高まります。
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