暑い! 暑いですね、毎日。こんな酷暑の中、炎天下の霊園に墓参りに行っていたら、不意に先祖の仲間入りをしてしまうかもしれません。まもなくお盆期間に入ろうという2023年の夏、天気予報を見て思わずギョッとする方も少なくはないことでしょう。
そこで、今回はゲームの中で墓参りを済ませてしまおうというスーパー罰当たりな企画をご用意しました。クーラーの効いた部屋から一歩も出たくないけど、先祖に対する信心を捨てたくないという横着なアナタにピッタリです。
そんなわけで、墓参りができるゲームをいくつか調べてみたところ、大事なひとが眠る霊園から、あの有名な剣士を当て擦った墓碑まで、あらゆる形の墓参りが見つかりました。是非ともご覧、いや、ご参拝ください。
『Watch Dogs』
まず最初はユービーアイソフトの『Watch Dogs(ウォッチドッグス)』から。本作で訪れることのできる“お墓”の墓石には、主人公エイデン・ピアースの姪っ子であるレナ・ピアースの名が刻まれています。エイデンが裏社会との繋がりを断てなかったがために、哀れにも悪党どもの毒牙にかかってしまった幼き少女が埋葬されているのです。
エイデンは妹が止めるのも聞かず、レナのためにシカゴを牛耳るギャングを潰そうと決意します。その怒りの源は果たして本当に姪を想ってのものなのか……自警団を名乗り、自分の行動が義憤であると周囲に示しているのも、ちょっとチグハグな印象を受けます。
『Watch Dogs』は、シリーズの中でも最も渋い味のするストーリーが体験できること請け合いです。シカゴを見張る番犬の物語を、今一度確かめてみてください。
『Red Dead Redemption 2』
続いて、Rockstar Gamesが送る『Red Dead Redemption 2(レッド・デッド・リデンプション2)』。時は1899年。西部開拓時代は終わりを告げており、無法者がただ保安官に追い回されていく中、主人公のアーサーたちが身を寄せるダッチ・ギャングは命からがら逃げ回っていました。
こちらの墓にはそんなダッチ・ギャングの元メンバーが埋葬されています。ストーリー展開に応じて増えていく墓が最終的にいくつになり、また誰が埋まっているかの詳細は伏せます。しかし、懸命に時代を生きた男たちの墓は、簡素な作りであるからこそ、その人生を雄弁に語ってくれている気がします。
これは余談ですが、この“墓参り”が久々のプレイになったこともあり、颯爽と馬に乗って鞭を入れようとR2ボタンを押したところ、リボルバーから鉛玉が発射され、罪のない一般人と駆け付けた保安官のための新しい墓が掘られることとなりました。ガッデム! Rockstar GamesのアクセルボタンはR2じゃないのかよ!
『FINAL FANTASY XIV』
お次は『FINAL FANTASY XIV(ファイナルファンタジー 14)』。スクウェア・エニックスが送る『ファイナルファンタジー』シリーズの14作目、月額課金型のMMORPGです。神々に愛された土地・エオルゼアを股に掛けた冒険は、10年以上のアップデートを経て今なお続いております。筆者も4000時間以上をこの地で過ごしました……。
本作を牽引する魅力的なメインストーリーにおいて、多くの戦いが繰り広げられました。激しい戦乱に巻き込まれ、儚く散ったひとつの命が、クルザスの大地でひっそりと埋葬されています。
大陸の北方に位置し、ドラゴン族との千年に渡る戦争を繰り広げる宗教国家イシュガルド。血塗られた歴史を正そうとする主人公たちとともに戦った盟友は、星海で何を想っているのでしょうか。晴れた日には彼が愛した祖国がよく見えることでしょう。
『The Graveyard』
今でこそ、インディー・ゲーム界隈でビデオゲームをメディアアートとして捉える風潮が当たり前になってきましたが、2008年の段階ではまだそんな向きはほとんどなく、なんなら個人が独立してゲームを作ることも珍しかった時代でした。
『The Graveyard』は、老婆が墓を歩き、自らの人生を回顧するような詩を聞いたのちにバッタリと倒れるというだけのゲームです。そこには攻略も何もありません。10分もないゲームプレイという名の散歩の中でユーザーが何を感じ取るかは自由ですが、ドラマが用意されていないからこそ、どうとでも受け止められる深みがあります(もしくは、何にもないのかもしれません)。
木がグルグル回ってるのはちょっと面白いなと思いました。
『FINAL FANTASY』
今を遡ること36年前、1987年12月にスクウェアソフトが発売した「ファイナルファンタジー」の一作目、『FINAL FANTASY』にも墓参りのイベントがありました。といっても、ドラマの中で起きた悲劇をなぞるわけではありません。
エルフの村に鎮座された墓に刻まれた「リンク、ここに眠る…。」のエピタフ。そう、これは『ゼルダの伝説』シリーズの彼を擦ったジョークなのです。ずいぶんなブラックジョークを吹っ掛けたな……と思われるかもしれませんが、実はこれ、後追いだったりします。
同年1月に発売した『リンクの冒険』に「ユウシャ ロト ココニ ネムル」というネタがあります。これが元ネタだと睨んでいる人も多いようですが、真偽は不明。いずれにせよ、他社製ゲームの主人公を勝手に埋めるギャグが横行していたあたり、おおらかな時代だったのかもしれませんね。これが人生で初めて見たゲーム内のイースターエッグというプレイヤーもいるかもしれません。
その他、墓地が出てくるだけのゲームまで括りを拡げれば、実は『A Short Hike』なども挙げられます。また『METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS』では、墓場での邂逅が非常に象徴的でした。『DARK SOULS』に至っては、主人公は壮大な墓荒らしをしているだけと言っても過言ではありません(何せ他人の首をポケットに入れて持ち歩くようなやつですから)。
以上、墓参りができるゲーム特集でした。他にもこんなゲームもあったぞ! というのが思いついたら是非コメントいただけたらと思います。それでは皆さん、画面に向けて手を合わせて、深く一礼……。