人気バトルロイヤルゲーム『PUBG: BATTLEGROUNDS』でひとりの男性と出会った女性が不法入国で懲役刑を受ける可能性に直面しています。ニューヨーク・タイムズ紙が報じています。
『PUBG』がきっかけで恋に落ちた女性
今回憂き目に遭っているのは、27歳のパキスタン人ムスリム(イスラム教徒)で4人の子供を持つシーマ・グーラム・ハイダー氏です。2019年に『PUBG』で22歳のヒンドゥー教徒の男性、サチン・ミーナ氏と出会います。お互いゲームをプレイする中で徐々に距離を縮めていき、2020年にはInstagramやWhatsAppなどのSNSに交流の場を移しました。
出会った当初ハイダー氏は結婚していたものの、夫が仕事でサウジアラビアに移った後、そのまま戻ってきませんでした。これが恋に落ちるきっかけになったといいます。ミーナ氏はささやかな仕事をしており月収は約100ドルと決して裕福ではありませんでしたが、ハイダー氏は仕事よりも『PUBG』のスキルに惚れていたそうです。
約4年の遠距離恋愛を経て、2人は今年3月にネパールで初めて直接会いました。2人は1週間の間ホテルに滞在した後一度離れましたが、すぐに再開を約束。YouTubeでネパールとインド間の国境をすり抜ける方法を調べたハイダー氏は、自宅を売却して旅の資金を得て、4人の子供と共に国境を超えました。
「彼のためにすべてを捨てた」
インド・ニューデリーの郊外で2ヶ月間ひっそりと暮らしていた両氏でしたが、ハイダー氏と子供たちはインドへの不法入国で、ミーナ氏と父親は敵を匿った共謀罪で起訴されました。これにはインドでの宗教間対立が背景にあり、政府が多くの人が信仰するヒンドゥー教と、インドではマイノリティであるイスラム教との関係を認めませんでした。
警察に連行される際、ハイダー氏は記者団に対し「戻りたくない。私はサチン(ミーナ氏)と結婚したい。彼のことが大好きだから、彼のためにすべてを捨てた。」と語りました。ミーナ氏も同様に「私たちはただ、結婚させ家庭を築くことを政府に認めてほしいだけなのです」と述べています。
この2人は数年の禁固刑に処される可能性があり、その後はハイダー氏と子どもたちが国外追放されることも考えられるといいます。
※UPDATE(2023/07/10):文中で二重になっている表現を修正しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございました。