2023年5月21日、『VALORANT』のインターナショナルリーグ「VALORANT Champions Tour 2023: Pacific League」のPlayoffs Lower Bracket Quarterfinalsにて、日本チーム「ZETA DIVISION(ZETA)」は、韓国チーム「T1」に対してマップスコア1-2で惜しくも敗れました。
これによりZETA DIVISIONはプレイオフ敗退が決定。残念ながら、日本で開催される世界大会「Masters Tokyo」への出場は叶いませんでした。ZETAはこの後、Champions 2023出場を賭けたLast Chance Qualifier(LCQ)へと駒を進めることとなります。
試合直後、ZETA DIVISIONからチームの屋台骨であるcrow選手にお越しいただきインタビューを実施。試合の内容や初めてのVCT Pacificの振り返りなど、お話を伺いました。
◆リーグを通じて改善されたコミュニケーション
――お疲れさまでした。試合が終わった今の率直なお気持ちをお聞かせください。
crow:負けてしまって、これで、終わっちゃったな……というか。今は頭が真っ白という感じです。
――まず1マップ目のヘイヴンは、相手の8連取から0-8でスタートし、後半追い上げるも10-13という形でした。相手の対策の強さについて驚きや焦りはありましたか?
crow:もちろん、自分たちも対策を用意していたのですが、試合の序盤は先に相手の対策が自分たちに嚙み合ってしまいました。それへの対応を試合中にみんなで話し合って、逆に防衛に回ってからは相手の傾向を読んでの守り方がよくできていたのかなと。
――まさにcrow選手が今おっしゃった、試合中での傾向と対策について。前へ仕掛けてくるSayaplayer選手などに対して、自分たちから勝負を仕掛けることで崩しているように見えました。そのような修正がタイムアウト含めて話し合いの中で作られていったのでしょうか。
crow:そうですね。相手の今までのラウンドの傾向を見て、相手の薄そうなところ、寄りの早いところを考えた攻めをしていました。
――ありがとうございます。続いて、2マップ目のバインドでは激しいシーソーゲームを制しました。その2マップ目を終えてのチームの雰囲気をお聞きしたいです。
crow:試合中・外において、雰囲気はこれまでで一番よかったかなと思います。細かい連携やコールがかなり多くて、最後の最後までみんながしゃべり続けていました。
――そして3マップ目は、疲労もあるであろう中で、細かい連携の凄みが増しているように見えました。コミュニケーションの徹底は意識されていたのでしょうか。
crow:コミュニケーションの徹底という点に関しては、問題に感じていた……というほどではないものの、リーグの序盤から増やしていこうという話をしていて、かなり改善されて今に至ります。
◆リーグを戦い抜くことの大変さと、そこから得たもの
――残念ながら今回は敗退という形になってしまいましたが、7月にはLCQが控えています。この3月からの長い戦いについて、韓国での生活、ロールチェンジなどを踏まえ、crow選手個人としてどのように総括されますか。
crow:そうですね。長いようで短い、短いようで長かったです。練習やロールチェンジの部分では、僕だけではないと思うのですが、今まで体験したことがないくらい大変でした。
――リーグ戦を戦う中で「練習」「対策」「試合」と密度の濃い時間が続いていたと思うのですが、自身やチームのコンディションを整えるために意識したことはありますか。
crow:長いリーグ期間中、起きている間はずっとゲームをしているという状況が続くので、本番で一番良いパフォーマンスを出せるような生活リズムや適度な休息を意識することが大切かなと感じました。
――最後に、7月のLCQへの意気込み、ファンの皆様への一言をお願いします。
crow:まずは、応援ありがとうございました。Masters Tokyoに行けないという残念な結果になってしまいましたが、このリーグを通して、自分たちに必要だったものと必要な練習が分かり、得られるものは多かったと感じています。これらの収穫を絶対に生かして、必ず修正していきたいと思います。これからも応援よろしくお願いします。
――ありがとうございました。これからもお体にお気をつけて頑張ってください。全力で応援し続けます。
敗退が決まった試合直後のインタビューということもあり、始まって少しの間はcrow選手自身の言葉通り「頭が真っ白」という印象を受けました。しかし、そのような中でも誠実かつ丁寧にひとつひとつ質問に答えてくださる姿にcrow選手の強いプロ意識を感じました。
また、最後の質問で「これらの収穫を絶対に生かして、必ず修正して、練習していきたい」と話す言葉の力強さとカメラを見据える目が印象的で、きっとZETA DIVISIONはLCQでさらに強くなって舞い戻って来てくれるに違いない、と感じさせてくれました。これからも戦い続けるZETA DIVISIONを引き続き全力で応援しましょう。