『Apex Legends Mobile(以下、エペモバ)』のすごいところ。この連載で度々言及している通り、サ終が近づいている今でもプレイヤー数を保っているという点です。
その証拠に、WBC生中継の最中も何事もなくランクマッチを実行することができます。今こんな時に『エペモバ』にログインしても、きっと過疎ってるんだろうなぁ……と思っていたら、なんと普通にプレイできる状態でした。こ、これはすごいぞ!
モバイル版の「長所」
筆者はこの連載を担当するにあたり、PC版の『Apex Legends』とモバイル版である『エペモバ』を交互にプレイするようになりました。すると、両方の長所というものが自ずと見えてきます。
大きな画面のPCで『Apex Legends』をプレイすると、やはり臨場感も満点で実際のサバイバルゲームに近い感覚に見舞われます。一方でスマホの画面は小さく、PCほどの臨場感は期待できません。ですがそれでも需要が存在するのは、やはりその手軽さからだと思います。
仕事の合間、要はサボりの合間のプレイにも最適だし、学校の休み時間にやるのもよし。何なら通勤電車の中で、すし詰めの状態になりながら頑張ってスマホをいじるのだってひとつの選択肢です。
そして、お父さんがWBCを放映するテレビにくぎ付けになっている横で、子供が『エペモバ』をプレイするという光景も想像できます。これは筆者の子供時代には考えられなかった現象です。90年代当時、「ゲーム」と言えばファミコンかスーパーファミコンですが、これらはテレビにつなげて初めて稼働する代物。プロ野球中継が雨で流れない以上、平日のゴールデンタイムにゲームをすることは不可能でした。
それが今や、テレビがなくとも画面に着色されたゲームができるわけです。筆者はZ世代に生まれたかった!
大谷選手大活躍の片隅で
「野球に興味のない人々が『エペモバ』にインしている」ということを証明するデータはありません。しかし、ライター歴10年の筆者は何となくその空気を感じ取っています。「ああ、このチームメイトはWBCにはまったく興味のない人なんだな」という具合に。
テレビをつければ、地上波ではNHKも民放もWBCの話ばかり。それに興味がない人の行く道のひとつが、ゲームということなのでしょう。
ありがたいことに、こういう時ほど実力あるプレイヤーがインしてくれます。これも証明するデータのある話ではありませんが、筆者が何かしらのヘマをしでかしてもそれを即座にカバーしてくれる超人的プレイヤーさんが多いこと多いこと!
そして強い人は高確率でレイス使いということも、筆者は毎回のように感じています。レイスをどう使いこなすかで、その人の本当の技量がよく分かってしまうのです。倒れた味方の救出、バナー回収、複数の敵を相手にする場合の伏兵役等々。
「国民的スポーツの大きな試合」が行われる時は「強いレイス姉さんの時間」ということを、骨の髄まで思い知った筆者でした。
プロ野球が「絶対的娯楽」ではなくなった現代
外国人や野球に興味のないZ世代は、「なぜどこのテレビ局もWBC一色なのか?」ということに首を捻っているかもしれません。
それはつまるところ、プロ野球が国民的な娯楽として君臨していた時代があったからだと思います。
長嶋茂雄さんと王貞治さんが現役だった頃のプロ野球の地上波生中継(日本テレビの巨人戦の中継)は週5日行われていました。なぜ週5日かというと、昔のプロ野球は月曜日と金曜日は休みだったから(日曜日はダブルヘッダー)。当時の日テレは月曜日のゴールデンタイムには歌番組、金曜日にはプロレス中継を入れていました。そのため同じ局内の「野球以外の番組」が、特に金曜日のゴールデンタイムの枠を巡って激しく争うという現象も。それ以外の曜日のゴールデンタイムに入るといわゆる「雨傘番組」になってしまい、プロ野球が雨天中止にならない限りは深夜放送……という流れです。
見方を変えれば、プロ野球中継とは確実に高視聴率を取れる金看板だったということ。
スティーブ・ジョブズと同い年の筆者の父親は、家にいる晩は必ずプロ野球中継を視聴していました。子供の頃から「夜は野球中継」というのが習慣化していたため、父親が家にいる時のゴールデンタイムは(刑務官だったため週2日は泊まり仕事)リモコンに触ることができませんでした。
そのような時代があった日本では、野球中継はある種の尊重をもって扱われます。
しかし、現代はやはり現代です。もはやテレビは絶対的なメディアではなく、そこで放映されるスポーツ中継も国民全員が共有する重大事項というわけでもなくなりました。
スマホの向こう側を覗いてみると、そのような現代の「メディア事情」を鑑みることができます。
現役引退の危機に瀕する2人
さて、『エペモバ』には本家にはいないキャラが2人います。フェードとラプソディです。
彼らはPC及びCS版には未実装で、それ故に『エペモバ』には独自の価値があったのですが、タイトルのサ終で彼らは一体どうなってしまうのでしょうか? まさか、このまま解雇か!? このあたりはプレイヤーの間でも大いに危惧されていて、一部のコミュニティでも消滅の可能性について議論されています。
本記事を執筆した3月20日の時点で、フェードとラプソディが本家に実装されるという情報はありません。
かつて、プロ野球に高橋ユニオンズという球団が存在しました。僅か3年しか存続しなかったことで知られていて、所属選手の多くが解散と同時に引退を余儀なくされました。ま、まさかフェードとラプソディも高橋ユニオンズの選手みたいに……?
そのあたりについても、筆者は公式の発表に最大限の注意を傾けています。ああ、今夜も眠れねぇな!
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