さいたまスーパーアリーナにて開催された『VALORANT』の国内大会「VALORANT Champions Tour 2022: Japan Stage 2 Challengers Playoffs」。そのグランドファイナルは、「ZETA DIVISION」vs「Northeption」が激闘を繰り広げ、マップスコア3-1で「Northeption」が勝利。「Northeption」は2022年7月10日~25日にかけて、デンマーク・コペンハーゲンで行われる「2022 VCT Masters Copenhagen」に出場することが決定しました。
そんな激闘をわかりやすく観戦できるのは、キャスター陣のおかげです。今回編集部では、キャスターのひとりであるyukishiroさんにミニインタビューを刊行。「Northeption」が変わった瞬間や、オフラインならではの臨場感を語っていただきました。
ーーはじめて会場に入ったとき、どのように感じましたか?
yukishiroさん:準備日に入らせていただきまして、まずひとつは大きいなという印象を受けましたよね。本番中にも触れたように、自分が選手だった時代にはこんなに多くのお客さんが入れるハコ(会場)でのイベントなんてありませんでした。「こんなたくさん椅子があるのに、本当に埋まるの?」と思っちゃいましたね(笑)
ーー実際にお客さんで埋まってる情景を見て如何でしたか?
yukishiroさん:実際にその椅子が埋まっていて、みなさんがバルーンスティックを叩いてくれて。本当に『VALORANT』すごいなと。
僕らは選手でなくキャスターという立場ですが、実況席へ僕らが移動しようものなら、横にいたお客さんから「頑張ってください!」「写真を撮ってください!」と囲まれたり、手を降ってくださって「どうなってるんだ!?」と驚きました(笑) ふわふわして変な気持ちと言いましょうか、おかしな感覚ですよね。
ーーオフラインだからこその盛り上がりは感じられましたか?
yukishiroさん:すごく感じられましたね。スティックバルーンの音の大きさで僕らの声が入らないので、鳴り止むまで待っておこうというシーンもあったくらいで。ACEなどすごいプレーが見られると、実況席の前の席のお客さんから声が漏れるんです。肌でお客さんの熱気を感じられました。
ーーグランドファイナルではNthが勝利しました。この結果、試合の展開をどうお考えですか?
yukishiroさん:今までの結果を踏まえるとZETAのほうが勝率が高いかなとは思っていました。ただ、それがわからなくなったのは、Day4(オフライン初日)のCR戦でした。初戦はZETAがNthを2-0で下したという結果でしたが、CR戦ではNthの動きがガラッと変わっていて、ラウンド数的に競っていた部分はありましたが、試合の内容としてはNthが圧倒していた印象を受けました。Nthは自分たちの「より強い姿」をこのオフライン会場で見つけたんだなと感じました。それを見てグランドファイナルの勝敗が少し読みにくくなったなと。
また、グランドファイナルでは1stマップがNthが固定でBANしていたアイスボックスでした。ZETAとしてもここは取れるマップだと思っていたのではないでしょうか。そのアイスボックスをNthが取ったとき、これはNthの勝ち筋が見えてきましたね。
どうしても普段あまり練習をしていないマップというのはあるんですよ。Nthとしても他のマップよりも自信を持ちにくいアイスボックスで勝ち切れたのは素晴らしかったですね。全てのチームがそうできるわけではありませんし、あの大一番でやってのけたあのアイスボックスが一番大きかったかなと思っています。
ーー世界戦でNthと戦ったら面白そうだなと思うチームはありますか?
yukishiroさん:Nthからしたら嫌かもしれませんが「FNATIC」ですね。EMEAの強豪チームです。前回はメンバーが突如変更になったという背景もあってZETAに倒される結果となりましたが、FNATICは連携面がとても丁寧なことが特徴的です。Nthはスピードを重視した攻撃的な姿勢を取っていたので、それをFNATICにぶつけたらどうなるか気になりますね。
yukishiroさんの感慨深そうに語る姿が印象的なインタビューはあっという間に終わってしまったものの、試合の展開をしっかりと読み取って伝えてくれるその姿勢は、『VALORANT』コミュニティがVCTを軸に発展していくことを強く感じさせるものでした。
次の公式大会は2022年7月10日~25日にかけて、デンマーク・コペンハーゲンで行われる「2022 VCT Masters Copenhagen」です。日本から出場する「Northeption」へ、惜しみない応援を送りましょう!
<取材・執筆:岡野朔太郎/編集・撮影:矢尾新之介>