ロジクールG初の完全ワイヤレスイヤホン「G FITS」1カ月使用レビュー。FPS、音楽、屋外など、いろいろなシーンで使い続けた上での正直な感想

1カ月使ってみてわかった、便利な点、不満な点。その結果は……?

ハード レビュー
ロジクールG初の完全ワイヤレスイヤホン「G FITS」1カ月使用レビュー。FPS、音楽、屋外など、いろいろなシーンで使い続けた上での正直な感想
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※UPDATE(2023/5/17 10:00):イヤーピースの販売が開始されたため、記事の該当箇所を修正しました。

Logitech internationalの日本法人であるロジクール、そのゲーミングブランドであるロジクールGは4月27日、完全ワイヤレスゲーミングイヤホン「G FITS」を発売しました。本製品は2022年10月頃から北米で先行発売されていたもので、今回、待望の日本上陸を果たした形です。

以前、弊誌では製品の国内発表に先立って、メディア向けのセッションの様子をお伝えしました。そんな筆者が今回お届けするのは、G FITSを1カ月間弱、ひたすら使用し続けた感想を記す、率直なレビューです。



直販価格が約35,000円の製品ということもあり、「果たしてどんなイヤホンなのか」と気になる読者の方も多いはず。上記の記事では、本製品の特徴的な部分や裏話を紹介しており、本稿の中でも触れる部分があります。ぜひ先にご一読ください。

筆者は有線イヤホン信者であり、SHURE SE215、SE215SPE、SE535、SENNHEISER IE40PROを経て、現在はSHURE AONIC4を使用していますが、本製品のレビュー中は、充電中を除いて「日常生活の中で使うイヤホン」を、すべて「G FITS」に切り替えました。先に言ってしまうと、用途によって使い分けてこそいるものの、レビュー期間を終えた今でもガンガン使いまくっています。

「G FITS」を一言で言えば、「今までになかったタイプの完全ワイヤレスイヤホン」です。正確には「シビアなゲームにも使える完全ワイヤレスイヤホン」とでも呼ぶべきかもしれません。フィット感は文句なしに最高クラス。音楽もゲームも楽しめて、しかも日常的に使用していても困らない“普通”のデザイン。確かに不満点もいくつかありますが、ガジェット好きとしても、一人のユーザーとしても、とても“最近のロジクールらしい”製品だったのです。

さて、内容へ入っていく前に、一つ注意事項があります。本稿での音質・ワイヤレス接続といった技術的な内容では、記事執筆時点で最新のバージョンである、

  • G FITS(イヤホン本体) ファームウェア:V1.1.12

  • LIGHTSPEEDレシーバー ファームウェア:1.1.5

  • G FITS アプリ(Android):1.15

  • G HUB(Windows):2023.3.390362

を使用しています。なお、G FITS本体、LIGHTSPEEDレシーバーのファームウェアに関しては、本稿掲載1週間ほど前のタイミングにて最新バージョンが案内されたため、すでに市場へ流通している製品には適応されていない可能性があります(これらはユーザーによってアップデート可能です)。これらの点を予めご了承ください。

◆パッケージ・外観

パッケージの外観は至ってシンプル。グレーの背景、機種の写真とメタリックブルーのロゴが入る、最近のロジクールG製品らしいパッケージデザインです。

紙製パッケージの中に保証書などが入っています

パッケージには、

  • G FITS 完全ワイヤレスゲーミングイヤホン(イヤホン本体)

  • 充電ケース

  • LIGHTSPEEDレシーバー(レシーバー本体はType-A。Type-C変換アダプターあり)

  • USBケーブル(Type-c to Type-A)

  • クイックスタートガイド・保証書・保証規定書

が同梱されています。

イヤホン本体は細長い形状をしており、これは他の完全ワイヤレスイヤホンではあまり見かけないデザインです。後述する新技術「LIGHTFORM」を用いたイヤーピースを装着するため、全体的なサイズ感としては大きめ。充電中などは、イヤホン本体表面のLEDライトが光ります。重量は若干重めの部類に入りますが、実際にはまったく気にならないレベルですし、何より後述する“フィット感”はそれを補って余りあるものです。

LEDは暗い場所などでは割と便利です

付属の充電ケースは丸みを帯びたデザインで、ポケットにも入れやすいサイズ感です。ケース内部にはLEDライトが1カ所配置されており、充電中など、イヤホン本体と同じようなシチュエーションで光ります。筆者の主観で正直に言えば、充電ケースに関しては、国内価格30,000円オーバーの製品には見合わないクオリティと言わざるを得ません。どことなくチープさがあり、開閉のヒンジにも弱々しさがあります(勢いよく開けると、そのまま吹き飛びそうです)。各社のハイエンドでは一般的になりつつある、ワイヤレス充電にも未対応です。

開閉部のヒンジはかなり薄く、頼りなさがあります
ヒンジはやはり弱々しいです。ヒンジ下部にType-Cポートがあり、ここにケーブルを接続して充電します

なお、今回のレビューで使用しているカラーはホワイトですが、ケース内部はブルー系のカラーとのツートンカラーになっています。もう一方のブラックはイエロー系カラーとのツートンです。ケースを開けた時には必ず見ることになりますので、カラーのコンビネーションも検討材料にしてみてください。

ちなみに、筆者の周囲に尋ねてみたところ、女性は「優しい色が好き」「コーディネートにも合わせやすそう」といった理由でホワイトが人気、男性は「無難」「かっこいい」といった理由でブラックが人気でした(それぞれ10人程度に聞いてみましたが、かなり綺麗に分かれました)。

ここで注意したいポイントは、製品の素材上、ホワイトは非常に汚れが目立ちやすいこと。実際の使用中にも、充電ケースを革財布とともにカバンへ入れたり、デニムのポケットに入れたりといったシチュエーションで、すぐに色移りするケースが目立ちました(使用期間中に筆者は髪を染めましたが、染めたてのヘアカラーもイヤホン本体に移りました)。

がっつりと加工されているレザーはそこまで気にしなくてもOKですが、フルグレインレザーは天敵
かなり細かい汚れがついてしまいました
やや面倒ですが、汚れ自体は落ちてくれます

◆スペック

画像はロジクールより提供

オフィシャルなスペックは上記の通り。ドライバー口径は10mm(10mmダイナミックドライバー)となっており、感度は106 +/− 3 db SPL/mW、周波数特性は20Hz~20kHz、インピーダンスは16Ω。イヤホン本体のみにはなりますが、防水性能はIPX4となっているのも評価ができるポイントです。

この価格帯の完全ワイヤレスイヤホンとしては標準的な仕様となりつつある、「アクティブノイズキャンセリング・外音取り込み機能」は未搭載と思いきりがいい仕様なのも注目。この点は後に触れますので、ぜひ頭の片隅に置いておいてください。

接続方式はLogicool独自となるLIGHTSPEEDのほか、Bluetooth 5.2に対応。コーデックはSBC、AACとなります。製品の価格を考えると、個人的には、aptX、aptX Adaptiveには対応してほしかったというのが正直なところ。なお、Bluetooth接続には、「バッテリー消費が増加・接続距離が減少する」というデメリットを持つものの、遅延を減少させる「ゲームモードBluetooth」も搭載しています。

気になるバッテリー持続時間は、

  • LIGHTSPEED接続時:マイクミュート7時間(ケース充電で+8時間) / マイクオン4.5時間(ケース充電で+5時間)

  • Bluetooth接続時:マイクミュート10時間(ケース充電で+12時間) / マイクオン6.5時間(ケース充電で+7時間)

となっています。充電ケースによる追加時間はやや短い印象を受けるものの、本体の稼働時間と合わせれば、実用上は必要十分と言えるでしょう。消費が激しいLIGHTSPEED接続でも、マイクオンの状態で4.5時間は稼働が可能なため(もっとも連続して4.5時間喋り続けるケースも稀でしょうが)、少なくとも筆者が実際に使用した限りでは、バッテリー切れで使えなくなる……というケースはほぼありませんでした。概ねスペック通り、もしくはそれ以上の持続時間を発揮しています。

また、G FITS本体・充電ケース双方の残量を0(ペアリングなどで認識されない状態)にしてから、付属のケーブルでPC(デスクトップPCのマザーボードポート)から充電したところ、2時間未満で、ケース、本体ともにフル充電されました(目を離していたので、実際に要した時間はそれ以下です)。個人的には、充電スピードにも不満は感じません。ケースからイヤホンへの充電速度も良好で、使わない時にサッとしまえば、そそくさとチャージしてくれます。

ワイヤレス充電にこそ対応はしていませんが、充電まわりは基本的に良好です

◆個人の耳の形へと“変形”するLIGHTFORM

G FITSの大きなポイントと言えるのが、LIGHTFORMと呼ばれるロジクール独自の技術を用いたイヤーピース。一部のオーダーメイドなどを除き、市場の多くのイヤホンは、シリコン、フォームといった素材のイヤーピースを装着することが大半です。

特徴的なイヤーピース。画像は成形後のもの

それらのイヤーピースは基本的に汎用であり、多くの場合、サイズのバリエーションこそあるものの、各々に必ずフィットするものとは言い難いもの。しかし、G FITSは、このLIGHTFORM技術によって、イヤーピースが使用者の耳の形へ“変形”するのが最大の特徴となっています。プロセスの要点を抑えれば、

  • 紫外線で硬化する特殊なイヤーピースが装着されている

  • 耳に装着し、イヤホン本体から紫外線ライトを照射

  • 個人の耳の形に固まる(このプロセスは一度きり)

というものです。変形のプロセスや詳細は、メディア体験会の記事を参照していただければと思いますが、完全オーダーメイドのIEMほどでこそないものの、市販されている多くのイヤホンより、圧倒的にハイレベルなフィット感を得られます。付け心地は少し特殊なので、「あれ、落ちないかな?」と最初は不安になるでしょう。ですが、不思議と落ちません。安心して使ってください。

メディア体験会の記事で、「成形に失敗すると取り返しがつかない」と記しましたが、イヤーチップにはXS、M、XLの3サイズが用意されており(製品に付属するのはMサイズ)、各サイズ4,950円で販売されているので、失敗してしまった場合は買い替えることできます。

イヤーピースは取り外しができます。成形後は水で洗っても大丈夫でした(自己責任で!)

G FITSの装着感、音質は、「イヤーピースの成形に成功するかしないか」で大きく変わります。「失敗が怖い」と焦らず、アプリやマニュアルをよく読んで、確実に進めましょう。指示に従って成形すれば、失敗することはほぼないと思われますが、「失敗がどうしても怖い!」という方は、スペアのイヤーピースが発売されるまで待ってみても良いかもしれません。

画面の指示に従って正確に進めればOK!

「本当に変形するの?」「ぼったくってんじゃないの?」と思われる方もいるかもしれません。そんな方のためにお伝えしておくと、筆者の耳の形に合わせて成型したG FITSを、数名の知人に使用してもらったのですが、「耳が痛くて使い物にならない」「なんかブカブカ」といった反応が返ってきました。もちろん、筆者はすこぶる快適です。つまり、そういうことです。

◆設定は「Logicool G FITS」アプリから。イヤーピース成型からイコライザーまで

先ほども軽く触れましたが、イヤーピースの成型、イコライザーの設定などは、モバイル向けに提供されている「Logicool G FITS」アプリから操作します(ペアリングのみ機器本体側で行います)。

アプリでは、この二つの機能のほか、タッチコントロールの割り当て(左右のイヤホン本体側面をタップすることで、各種コントロールが行えます)、フィットの確認(満足な音質やフィット感が得られない場合、ロジクールの専任担当者がサポートしてくれます)、自撮り写真の撮影(イヤーピースを固める際に照射する紫外線ライトを点灯させる)といった機能があります。自撮り写真の撮影機能は人を選ぶかと思われますが、サポートへの連絡がアプリに一本化されているのは好印象です。

なお、ロジクールG製品をPCで使用する際の定番となる「G HUB」ですが、G FITSはモバイル向けアプリからのコントロールをメインとしているようで、設定できる項目は極めて少なくなっています。基本はアプリから操作すると考えておいて良さそうです。

なお、アプリは「アプリが入っている端末と、Bluetoothで接続されているG FITSのみ」操作が可能です。そのため、LIGHTSPEED接続を用いている場合でも、モバイルとはBluetoothで繋ぎっぱなしというスタイルになります。LIGHTSPEEDのみでの利用も可能ですが、アプリで設定したイコライザーが反映されたり、されなかったりと動作が不安定です。ここは今後のアップデートで解決してほしいところ。

◆気になる接続方式。ゲームモードの存在意義が問われる結果に

G FITSに期待することと言えばなんでしょうか。LIGHTSPEEDによる超低遅延?……これは当たり前です。これがなければ、“普通”の付け心地のいいワイヤレスイヤホンです。では、音質?……これも気になるところです。どれだけ低遅延であろうと、音質がお粗末であれば使用に耐えません。それ以外だと、接続安定性?使い勝手?......色々と気になるところが出てきましたね。というわけで、すべてチェックしてしまいましょう。

まずは、ワイヤレス接続から見ていきます。先に記した通り、本製品が対応するのは2種類のコーデックによるBluetooth接続のほか、通常のBluetooth接続より遅延を減少させるというゲームモードBluetooth、LIGHTSPEED接続に対応しています。ただ、遅延がもっとも少ないLIGHTSPEED接続を使うには、同梱されているUSBレシーバーを用いる必要があります。このレシーバーをPCなどの機器に挿入し(ドライバーレスで使用できます)、イヤホン本体の側面を3回タップすると「Bluetooth→LIGHTSPEED」「LIGHTSPEED→Bluetooth」と切り替わる仕組みです。切り替わるのに必要なスピードは2秒~3秒ほどですが、スムーズに切り替わります。

Type-Aが本体。Type-Cがアダプター

USBレシーバーは、レシーバー本体がType-Aとなっており、Type-Cへの変換アダプターが付属。PCはともかくとして、モバイル端末に装着する場合は、“レシーバー+アダプター”の構成となり、かなりお邪魔な出っ張りが出来上がることになります。

レシーバー単体。そこまで頻繁に動かさないものであれば、大きさも気になりません
スマートフォンで用いるのはあまり現実的ではありません。置いて使うタブレットならOKでしょうか

LIGHTSPEED接続を、モバイル端末で日常的に用いることは想定されていないのかもしれませんが、ここは「Type-Cレシーバー/Type-A変換アダプター」仕様にしてほしかったと個人的には思います。せっかくの超低遅延ですから、様々な場面で使いたいと思うのは私だけではないはずです(その場合も突起はできますが、サイズによっては許容できるでしょう)。「普段はType-AアダプターことPCに挿していて、モバイルで必要な時はType-Cレシーバーのみを装着する」だとスマートですし、本製品のユーザー層にも合っていたと思います。ここはマイナスポイントです。

では、気を取り直して遅延の差をテストしてみましょう。用いるのは『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』のタップタイミング調整機能です。それぞれ10回テストした上で、もっとも平均値に近い数値を記載しています。

筆者が普段から使用している有線イヤホン(SHURE AONIC4)を使用したところ、結果は13となりましたので、この数字を基準とします。数値が大きくなればなるほど、遅延が大きくなっているという認識でOKです。

  • 通常モードのBluetooth接続は37。

  • ゲームモードのBluetooth接続は37。数値のバラつきを見ても、体感的には通常モードとほぼ差が見受けられませんでした。

  • LIGHTSPEED接続時は17。Bluetooth接続と比較し、遅延が大きく減少したのが見て取れます。これは納得の低遅延です。

さて、ここで一つの疑問が思い浮かびます。「ほとんど遅延が減少しないゲームモードとは何ぞや」ということです。機器の再起動、再ペアリングなども行いましたが、結果はほぼ変わらず……。

筆者が使用しているスマートフォンはSONY Xperia 1 Ⅲ。デフォルトでは、G FITSとAACでの接続を行うのですが、機器本体のBluetooth機器設定画面で「HDオーディオ:AAC」をオフにすると、接続がSBCに切り替わります。その段階でテストを行うと……。

  • 通常モードのSBC接続は38。全体的にもAAC接続とほぼ同程度か、若干遅れる程度の遅延となりました。

  • ゲームモードのSBC接続は33。数値が30前半に収まることが多く、これは“遅延が減少した”といっても良い数値でしょう。

これは「筆者の使用環境による結果」という前置きが必要ですが、「SBC接続時でのみ、ゲームモードが作用した」(という風に見える)という結果となりました。機器の相性が悪いのか、はたまた不具合かは不明ですが、ひとまず検証結果として記しておきます。筆者としては「Bluetoothに低遅延はそこまで求めてないのでいいです」と割り切っている部分はありますが、ともかく、音の遅延が許されない状況では、レシーバーの出っ張りが邪魔であろうとなかろうと、LIGHTSPEED接続を行うのが無難です。

◆音質はどう?→悪くない

G FITSは完全な新規機種ではなく、Ultimate Ears社(通称UE。2008年にLogitechが子会社化)が一部の地域で販売する「UE FITS」ワイヤレスイヤホンがベースになっています。そこで気になるのは音質です。

箱出しの状態ではやや高音が強く、耳に刺さる印象を受けました。アプリからイコライザーで調整を行い、高音を落とすと、かなり聞きやすくなります。この状態では割とフラットな傾向になるため、いわゆる“ドンシャリ”系イヤホンが好きな方には向かないと感じました。イコライザーで調整しようにも、“無理して頑張ってる”系の音になってしまう雰囲気です。

デフォルトで、いくつかのイコライザープリセットが用意されていますが、FPS、MOBAといったものはともかく、低音ブーストだけは「これいつ使うの?」というくらい残念な音になります。操作は直感的に行えるので、イコライザーに関しては、自分でカスタマイズして使用するのが無難だと思われます。

イコライザーの管理や調整は簡単です。初期設定の「Gシグネチャー」は汎用型で、これをベースに調整しても良いかもしれません

約1カ月、毎日使い続けていると、いわゆる“エイジング”が行われてきます。いくつかのイヤホンを使い続けてきた筆者ですが、エイジングの効果を顕著に感じたのが、このG FITS。もともと“サラウンド的な空間表現”が得意な機種とは感じていましたが、その方向性を維持しつつも、埋もれていたディテールが出てきます。「この音を出したかったんだろうな」(これが本来の姿なんだろうな)と強く思いましたし、スネアが平たいまま刺さってくるような部分こそあるものの、かなり楽しい音になります。

正直に言いますが、本製品の価格と比較しても、これより“いい音”を出すイヤホンはいくらでもあります。有線タイプなら、SHURE SE215(AONIC215)シリーズ、SENNHEISER IE100PROといった“1万円くらいで買える、ステップアップに最適なイヤホン”がありますし、G FITSと同じ価格を出せば、“格段にいい音”のイヤホンが買えるでしょう。完全ワイヤレスでも、SENNHEISER MOMENTUM True Wireless 3(4万円近くにはなりますが、定評のある機種です)、SONY WF-1000XM4(こちらも定評のある機種で、現在の市場価格は30000円を切っています)といった強力なライバルがいます。

筆者手持ちのSONY WF-C500と。こちらの価格は約1万円ですが、十分な音が鳴ります

内蔵されるビームフォーミングマイクについてですが、過度な期待は禁物。端的に表現するなら、「スマートフォンやノートPCの内蔵マイクよりいい」程度です。「ちょっと掛かってきた電話に出る」くらいなら十分な性能ですが、「日常的に長時間のボイスチャット、オンライン会議などをする」、「デスクトップなどの据え置きでPCを用いる環境」であるなら、別途でマイクを用意したほうが確実に幸せになれます。

「絶対的な音質を求めるなら同じ金額で有線イヤホンを。完全ワイヤレスでも厳しいライバルがいる。ちなみに内蔵マイクにはあまり期待しないでください」と、かなりキツいことを並べた後ですが、その上で、G FITSをセレクトする理由とはなんでしょうか。

それは「LIGHTFORMによる抜群の装着感」と、「LIGHTSPEEDによる超低遅延」“悪くない”音質に尽きます。LIGHTSPEEDがある以上、他の製品と「音質の割に値段高すぎるだろ」という単純な比較はできないのです。ここまでを簡潔にまとめるなら、「家(ゲーム)ではLIGHTSPEED、外ではBluetoothの、音質は確保された完全ワイヤレスイヤホン」という感じでしょうか。

◆街の喧騒からランニング、PCの前まで。G FITSを“酷使”してみる

イヤホンを約1カ月以上使い続けるということは、生活の中の様々な場面でイヤホンを使うことと同義です。かくいう筆者も、本稿を執筆するまで、実際に様々なシチュエーションでG FITSを使ってきました。

まず、ご紹介したいのは、LIGHTSPEEDを最大に味わえるPCゲーミングです(正式な動作要件は「LIGHTSPEED USB 2.0 port (USB-A or USB-C port). PC with Windows® 10, macOS X 10.14 PlayStation 5, or PlayStation 4, Nintendo Switch (Stereo sound only), Android™ 9 以降」[ロジクールG公式サイトより引用]になります)。モバイルでは使いにくいレシーバーも、PCや据え置きのゲーム機なら気にせず使えますからね。

筆者は日頃から、様々なFPSタイトルや、『ファイナルファンタジー XIV』といったゲームをプレイしていますが、これらをプレイしていて、「あれ、遅れた?」というような遅延を体感したことは一度もありませんでした。FPSでは「定位感・距離感の違い」から、当初は感覚を掴めずに困惑したこともありましたが、1週間も使い続けていると自然と慣れたと記しておきます。

次にBluetooth接続で音楽を聞いてみましょう。今や主流となったストリーミングサービスと組み合わせて、様々な曲を聞いてみます。使用したアプリケーションはSpotify。Xperia 1 Ⅲにインストールされている「Dolby Sound」「360 Upmix」「DSEE Ultimate」といった、音に関わる機能は、すべてOFFにしています。

まずは、デヴィッド・ボウイのCat People (Putting Out Fire)から。冒頭から臨場感たっぷりに、音の躍動感が溢れます。ボウイの歌声、息遣いもいい具合に聞こえます。ただの“ゲーミングイヤホン”にしておくにはもったいない、パワフルでクリアな音で楽しませてくれます。

次は、“ニー祖堅”こと祖堅正慶氏の、忘却の此方~希望の園エデン:共鳴編~をセレクト。『ファイナルファンタジー XIV』に登場する名曲の中でも屈指の名曲ですが(筆者の個人的な意見です)、エレクトロとロック、ボーカルが融合した至高のフレーズが冴えます。G FITSが持つ、思わず踊りだしたくなるようなグルーヴ感がマッチしています。

続いて、ZONE OF THE ENDERS ReMIX EDITIONより、Beyond the Bounds feat. K Á R Y Y N -Eshericks Remix-。個人的には、G FITSで聞いていちばん楽しい曲でした。とにかく聞いていて楽しい。強弱のある旋律、華やかなボーカル、その音をしっかりと鳴らします。

最後に、YELLOW MAGIC ORCHESTRAのライブアルバム、アフター・サーヴィスより、Tong poo / 東風。それまでのイメージから「ライブアルバムなどは合うのでは?」と思っていましたが、これが綺麗に的中しました。数ある東風のテイクの中でも、スピード感溢れる一曲ですが、音が失速せずにしっかり伸びていくため、最後まで心地よく聞くことができました。

このほかにも様々な楽曲を聞きましたが、とくに思い出に残った曲たちをリストアップしました。“ゲーミングって名乗っただけのイヤホン”では決してありませんので、G FITSを購入された方は、ゲームだけではなく、ぜひ音楽も聞いてもらえればと思います。

では、屋内での使用だけではなく、屋外ではどうでしょうか。結論から言えば、「問題なし」でした。都内でも屈指に人が多い、新宿駅、渋谷駅といった人混みの激しい場所でも、接続は極めて安定していました。

LIGHTFORMによるフィット感は変わらず最高で、筆者の日課のランニングでも使用していますが、耳から落ちてしまったことは、本稿執筆の今に至るまで一度もありません。その点も、屋外での使用に安心感を持たらしてくれる要因の一つです。「長時間付けていても疲れないし、走っても落ちる気配がない完全ワイヤレスイヤホン」。これだけでも価値を見いだせるというものです。

これだけのフィット感を持ちながら、外れにくいスポーツタイプによく見受けられる“耳にかける”タイプでもないため、アイウェアとも干渉しません

ですが、一つ注意点をお伝えしておきましょう。LIGHTFORMによる高いフィット性により、周囲の遮音をパッシブ的に行うG FITSには、アクティブノイズキャンセリングが搭載されていません。これは裏を返せば、「何もせずとも、つけているだけで周囲の音が聞き取りづらくなる」ということ。この遮音性に関しては、筆者の体感だと「シリコンイヤーピースを装着した、イヤーモニター系イヤホン」と同程度であったので、交通量が激しい場所などでは注意が必要です。外音取り込み機能は装備されていないため、状況によっては「一時的に外す」「片耳だけ使用する」などの工夫をしたほうが良さそうです。

◆満点ではないけれど、とてもクールで楽しい製品

さて、ここまでのレビューはいかがでしたでしょうか。筆者にとって、G FITSはすでに欠かせないアイテムになっています。スペックは十分だし、LIGHTSPEEDによる超低遅延接続はヤミツキになるし、何より本当に便利。接続方式の切り替えも簡単です。LIGHTFORM技術によるイヤーピースのフィット感も最高ときています。

また、デザインが「“ゲーミングゲーミング”していないのも最高」でした。どんなに性能が良かったとしても、どこかトゲトゲしていて、1680万色に光るイヤホンであれば、そのまま外出するには月面着陸並みの勇気が必要でしょう。その点、G FITSは、ただのイヤホンにしか見えません。日常生活に寄り添うプロダクトとして、デザインは極めて重要です。

その反面、音質は充分であるものの、「完全に価格相応か」といわれると「う~ん…」となりますし、マイクは“ないよりマシ”程度の性能。さらに言えば、外音取り込み機能は欲しかったところです。ケースがチープなのもマイナスポイント。勢いよくガッと開くと、そのままフタが吹き飛びそうな感じは“ちょっと”いただけません。

このように、不満点もありますが、筆者的には「LIGHTSPEEDを搭載したワイヤレスイヤホン」(体感できる遅延がない。使っていて疲れない。Bluetooth接続で普通のワイヤレスイヤホンのようにも使えるし、外見も普通)という点が、G FITS最大の魅力であり、評価すべきポイントだと考えています。とにかく疲れにくいことから、長時間プレイするイヤホン派のゲーマー、配信者といった層にも刺さるイヤホンでしょう。

「スマートフォンからBluetoothで音楽を聴きながら帰宅後、接続をPCのLIGHTSPEEDに切り替えれば、イヤホンを一度も外すことなくそのままゲームができる」という経験は、非常に新鮮でとても楽しいものだった、とも付け加えておきます。

決して100点満点の製品ではないものの、市場の潜在的なニーズを確実に満たす製品であることは間違いありませんし、その性能も、実際にニーズを満たすものでした。気になっている方がいれば、ぜひ手に取っていただけたら嬉しく思います。

なお、汚れが気になるならブラックを“強く”オススメします!




《夏上シキ@インサイド》
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