あの騒動から1年……『バトルフィールド 2042』は何が変わり、何が変わらなかったのか。再び訪れた戦場の様子は【年末年始特集】

あの騒動から一年……何が変わり、何が変わらなかったのか。

特集 コラム
あの騒動から1年……『バトルフィールド 2042』は何が変わり、何が変わらなかったのか。再び訪れた戦場の様子は【年末年始特集】
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20211119日(一部の予約ユーザーは12日)『バトルフィールド 2042』は満を持して発売されました。

第一次、第二次世界大戦と続いた戦場の舞台は久しぶりに現代戦となり、新たに導入されたAI兵士や128人対戦にシリーズファンの期待は最高潮。筆者もGame*Sparkライターの中では特に熱心な『バトルフィールド』シリーズファンとして、複数のメディア向け発表会やインタビューの記事を執筆し、実際にプレイできるのを心待ちにしていました。

しかし、『バトルフィールド 2042』はバグの多さやシステムへの不満、パフォーマンス問題から大きな逆風にさらされます。発売直後からユーザーレビューの多くが不評となり、返金署名騒動にまで発展しました。

筆者もゲームをプレイしてすぐに違和感に気が付き、メディア向け先行プレイレポの時点で「個人的に「All-out Warfare」の環境に対して今のところ非常に批判的です。」と書かざるを得ず、その後のレビュー記事でも良い評価は下せませんでした……。

一方で、筆者はレビュー記事の最後には「改善できれば持ち直すポテンシャルを感じます。」とも書き記しています。果たしてその感情は正しかったのでしょうか。数々のアップデートが施された『バトルフィールド 2042』はどのようになったのか、1年間の道のりを振り返りつつ改めて評価していきます。

1年間の振り返りと追加要素の評価。

改めて評価する前に、簡単に『バトルフィールド2042』の一年間を振り返ってみましょう。2021年11月19日の発売直後から多くの不具合修正が始まり、2022年に入った21日にはシーズン1の開始を初夏へ延期する事が発表されました。

3月にはスコアボードが実装され、4月にはボイスチャット機能なども実装されます。一方で、Steam版同時接続プレイヤー数は減少の一途をたどり、4月11日午前2時には発売後最低となる832人となってしまいます。



少し時を隔て、6月には延期されていたシーズン1が開始。マップや武器、スペシャリストが追加されました。次いで9月にはシーズン2が開始。11月にはシーズン3も開始されます。1年と3つのシーズンを経て、3つのマップ、3人のスペシャリスト、8挺のメイン・サブウェポン、4種のビークル、その他ガジェットも複数追加され、現在のSteam版同時接続数は約6000~1万人ほどに回復しています。

こうして書くと様々な意味で盛りだくさんの1年で、開発陣の並大抵ではない諸々の努力が垣間見えます。ただ、純粋に追加要素のみで評価をすると少々手厳しくならざるを得ません。特に、追加マップ数は過去作の拡張コンテンツ(DLC)と比べると少なく感じます。

例えば、同じ現代戦の過去作『バトルフィールド4』では1500円と有料でしたが、4つのマップと約5丁の銃、新しいゲームモードや搭乗兵器が2か月程度の間隔で続々と追加されていきました。それと比べると、無料とはいえ追加マップが1年で3つ、というのは大分見劣りします。

とは言え、シーズンが更新され、アップデートされ続けているのはコンテンツとして生きている証明でもあり、一介のプレイヤーとして嬉しい限りです。

1年を経て、改めてレビュー!

ここからは、変わらない不満点と良くなった点を整理して、改めて評価していきます。

変わらない不満点。

まず、不満点、残念に思った点からです。1年前のレビューで指摘した、「根本的な解決が難しいであろう要素」には、やはり引き続き不満点がある状態です。

キャラクターは増えたが……

具体的には、破壊表現の不足や嚙み合わないアビリティ制、出来の悪いマップ、マッチングしないハザードゾーン(バトルロイヤルモード)が挙げられます。これらに関しては1年前のレビュー時の印象とほとんど変わりませんでした。

相変わらずマッチングしない。

また、新たに浮上してきた問題もあります。1年を経てユーザー数が少なくなったことで、筆者が遊んでいるPS5ではクロスプレイをオンにしないとマッチングしにくい状態となっています。

PS5ユーザーがまだまだ少ない事もあってか、PCユーザーの割合が高く感じる

しかし、クロスプレイをオンにすると、明らかにチーターらしきプレイヤーを見かけます。コンシューマー機でFPSをする最大の理由が「チーターを疑わなくて良いから」である筆者にとって、これは大きな不満でした。

もちろん、良くなった点も!

もちろん、良くなった点もあります。3種類の完全新規マップが追加され、一部の初期マップに関しても遮蔽物を多くするなどの改修が追加されました。

現在のスコアボード。1年前は右側の全体情報が一切無かった
1年前のスコアボード

戦闘中のUIも良くなったと感じます。情報量が異様に多いスコアボードはともかく、初期と比べると、マップがとても見やすくなりました。

初期の全体マップ、暗く、自分の位置も分からない
現在の全体マップ、自分の位置がハイライトされている

バトルパスの進行状況確認といった戦闘外のUIも完備されました。

致命的な不具合も改善され、突然のアプリケーションが落ちる問題や、銃が撃てなくなったりカスタマイズできなくなったりする問題はなくなり、試合を最初から最後まで楽しめるようになりました。

ただ、これらの大半は最初から欲しかった要素です。今挙げた追加要素や不具合修正で全体的な評価が覆るか、というと難しい所だと言わざるを得ません。

唯一無二のゲーム性でライバルはシリーズ過去作

思えば、過去のシリーズの多くが「オーパーツ」のようなゲームでした。

バトルフィールド3

初週の売上が500万本を突破し、名実ともにシリーズを超人気ゲームにした『バトルフィールド3』は、広大なフィールドと大規模戦闘に幅広い破壊表現が両立したシリーズの完成形と言っても過言ではない作品です。グラフィック等も現在と遜色ないクオリティですが、驚くことに10年以上前に発売されています。

その後、『バトルフィールド3』を発展させた『バトルフィールド4』。舞台を世界大戦に戻した『バトルフィールド1』、『バトルフィールドV』と続きます。

シリーズが続くごとに同世代のゲームと比べた時の「オーパーツ」具合は徐々に下がっていった気はしますが、それでも20年以上前に64人対戦を実現した初代『バトルフィールド1942』がやりたかったビジョン、すなわち、大規模戦闘や破壊表現、空陸海入り混じった戦闘、拠点の争奪、兵科同士の協力、などが共有されていたように感じます。

対して、本作は破壊表現が弱まり、拠点の争奪に熱気が無く、広大すぎるフィールドはむしろ大規模戦闘感を弱めてしまいました。極めつけは兵科システムの解体により協力の雰囲気が減少したことです。チーム全体の一体感すら弱くなってしまいました。

本作のUIやアビリティ制、マップ、銃をフィールド上でカスタマイズできる仕様は明らかに流行していたバトルロイヤルタイトルを意識していますが、筆者はバトルロイヤルは『バトルフィールド』に求められていなかったのだと感じています。時を経てマッチングが困難になった結果、銃の種類の少なさや広すぎるマップなど、バトルロイヤルの様式を取り入れるための変更点の悪影響をより強く感じる始末です。

これらの根本的なシステム上の欠陥は一年を経てもなお、多くの問題が解決していません。しかし、発売当初から多くの修正が加えられており、決して「欠陥品」ではない、と断言できるゲームには仕上がりました。いままでの指摘のトーンをひっくり返すような話ですが、2022年末現在の本作は『バトルフィールド』でさえなければ、その範囲で十分に秀でた大規模戦闘ゲームだとは感じられるのです。

『バトルフィールドV』は同時接続数2万人を超える。対して『2042』は約8000人

概して、本作は気軽に大規模戦闘がしてみたいプレイヤーにはおすすめできる必要十分なクオリティのマルチ対戦シューターです。ですが、2022年末現在でも、なお「プレイヤー人口に恵まれた『バトルフィールド』新作」ではなく、それを望むのであればまだプレイしていない旧作に解を求めるべきでしょう。


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《大塩@Game*Spark》
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